表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第一章:固定された世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/121

第11話:選択の代償

第11話です。


選択には、代償がある。

それでも――

選ばなければならない時がある。


空気が、張り詰める。


「……見つけた」

静かな声。だが、その圧は圧倒的だった。


クロエとセレナが振り向く。

そこに立っていたのは――

レグルス・ヴァイン。

その背後には、ミリア。


逃げ場はない。


「追跡完了」

ミリアが淡々と告げる。

「対象:黒翼契約者レイヴン・バインダー

そして――

「逸脱個体:セレナ・アルヴィス」


セレナの瞳が揺れない。

もう、迷っていない。


クロエが一歩前に出る。

「……来るね」


ノクスが笑う。

「今度は逃げねぇんだろ?」


クロエは小さく息を吐く。

「うん」


その瞬間――空間が固定される。


絶対拘束アブソリュート・バインド

レグルスの一言。

見えない圧力が、二人を押さえつける。


「――っ!」

クロエが動けない。


だが。


「……もう、止まらない」

セレナが前に出る。

白翼が静かに広がる。


今までとは違う。揺れている。だが――強い。


「命令は、受けない」

はっきりと。レグルスを見据える。


「私は――」

一瞬の静寂。

「選ぶ」


その言葉と同時に、光が弾けた。

拘束が砕ける。


レグルスの目が僅かに細まる。

「……自我の確立か」


ミリアが即座に動く。

「排除」

分解光ディスラプト・レイが放たれる。


だが――

「させない!」

セレナが前に出る。

光と光が衝突。空間が歪む。


「……防いだ」

ミリアの声に、初めての“僅かな驚き”。


セレナは息を荒げながらも立つ。

「クロエは……」

その言葉は、迷いなく――

「守る」


完全な変化。観測者ではない。戦う存在。


その背を見て、クロエの中で“何か”が繋がる。

――思い出す。消えた世界。消えた人。

自分の力で。


「……やだ」

小さく、呟く。

黒が揺れる。

「もう……消したくない」


ノクスが低く笑う。

「なら、どうする」


クロエは顔を上げる。瞳が変わる。

「選ぶ」

セレナと同じ言葉。


黒翼が広がる。

だが今度は――暴走ではない。制御されている。


「終わらせる」

静かに。


「でも」

一歩踏み出す。

「守るために」


その瞬間――黒が収束する。

今までとは違う、研ぎ澄まされた力。


「――行くよ」

影走シャドウ・スライド

消える。


次の瞬間、レグルスの背後。

「速い」

だが、反応する。空間が圧縮される。

クロエの動きが止まる。


その瞬間――白が割り込む。

「今!」

セレナ。タイミングが完璧。

クロエの拘束が解ける。


「――終焉一閃ラスト・レイヴン

黒が走る。

レグルスが受ける。初めて、正面から。

衝撃。地面が砕ける。


「……なるほど」

押されながらも笑う。

「面白い」


その時――空間が歪む。

違う。レグルスでも、ミリアでもない。

ノクティアが浮かんでいる。瞳が強く光る。


「……観測介入」

初めての“意思ある声”。

世界が、一瞬“止まる”。

「分岐、再構成」


その瞬間、クロエの動きが加速する。

レグルスの予測を外れる。


「……何だと」

初めてのズレ。

クロエは迷わない。

「これで――!」


黒が極限まで収束する。

過去の記憶、失ったもの――全部抱えたまま。


「終わらせるッ!!」

終焉一閃ラスト・レイヴン――極。

一閃。今までとは別次元の威力。

レグルスの防御を貫く。


「――っ!」

後方へ吹き飛ぶ。地面を削りながら止まる。


静寂。

ミリアが初めて声を荒げる。

「隊長!」


レグルスはゆっくり立ち上がる。傷がある。確実に。


「……いいな」

その声に、熱が混じる。

「やはり、お前は排除すべき存在だ」


クロエは息を整える。

隣に、セレナが立つ。


「……まだ来る?」

クロエが聞く。

セレナは迷わない。

「来るなら、戦う」


その言葉に、クロエは笑う。

「そっか」


ノクティアが静かに降りる。

今度は――クロエとセレナ、両方の間に。

「……観測、継続」

だが、その意味は変わっている。


レグルスは二人を見る。小さく息を吐く。

「……今回は、ここまでだ」


ミリアが驚く。

「隊長?」

「データは十分だ」


視線を向ける――クロエへ。セレナへ。

「次は、排除する」


その言葉を残し、二人は消えた。


静寂。

クロエはその場に座り込む。

「……勝った?」


ノクスが笑う。

「引かせただけだ」


セレナは空を見上げる。

「……でも」

小さく呟く。

「変えた」


確かに。何かが。


クロエは笑う。

「うん」


二人の距離は、もう消えていた。

戦いは続く。だが、迷いはない。


ここまで読んでくれてありがとうございます。

“終わらせるだけの存在”だった少女は、

初めて“終わらせない”という選択をした。

――その矛盾が、世界を壊す。

続きが気になったら、

ブックマーク・評価で応援してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ