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割り切れない数


「さくら〜、ひばり〜、降りてきて〜」


夕食後、ベッドに転がっていたらママの呼ぶ声がした。

声のトーンは悪くない。


「さくらねえ、ママ呼んでるよ」


隣の部屋に一声かけて、アタシはダイニングへ向かう。


キッチンの奥で、ママがドヤ顔している。

両手は背中の後ろ。


(あぁ、これ、何か出てくるやつだ)


そこへ、さくらねえもやって来た。


「ばば〜〜ん!」


「おお〜」

「おおー」


アタシとさくらねえのハーモニー。


ママが突き出した紙袋の中を覗く——


駅ビルで人気のマカロン!


(マジか〜。ママ好き! 神!)


「どうしたの、それ!」


「スーパーに行ったついでに駅ビル寄ったら、

 美味しそうだったから買っちゃった」


(母よ。スーパーから駅ビルは、ついでの距離じゃないぞ)


突っ込もうとして、やめた。

機嫌を損ねたら、分け前を失う。


「ママ、割り切れないよ」


さくらねえが冷静に言う。


アタシはマカロンの数を確認する。

六個。うちは四人家族。


ひとり一個ずつ——あとはジャンケンか?


「大丈夫、パパは今いないじゃない」


(母よ、あなたの愛はスイーツより劣るのか?)


突っ込もうとして、やめた。

ママの言葉に従えば、二個もらえる。


ママを取るか、パパを取るか——

スイーツを目の前にして、悩む理由はない。

こんばんは、ひばりです。


ママが買ってきたマカロン。

家族四人で割り切れません。

「パパは今いないじゃない」

ママの声に従うしかないのか…


次回

「割り切れる数」お楽しみに!


2026年7月1日(水)公開です。

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