新王朝の政策報道
『王家の借金返済は新しい王朝とは別。レズリー財務大臣が明言。先日、レズリー財務大臣が王家の借金の返済はサミュエル家にあり、新王朝にはないことを明言した。これにより様々な商会が反発しているが、ライヒベルク公爵は一切取引がない商会のことなど知ったことではなおと一蹴した。新王朝の運営はどの様になるのかは不明である。商会の中にはライヒベルク公爵家と敵対しているものがあり、その意趣返しの意味もあるのではないのだろうか?「国家としての借金ではないことは支出を見ても明らか」と財務大臣ははっきりと言い切った。ライヒベルク公爵家と懇意なのは多くの領土に店舗を出店し、暴利を貪った商会を叩き潰してきた平民の味方、マッセマー商会である』
私が払うかもしれないのか?それとも……。
いや、どうやっても金貨10枚ではどうにもならない。
その時は諦めよう。
マッセマー商会か、結局そうなるわけだ。
兄上が生きていたらマッセマー商会もライヒベルク公爵家ではなく王家に付いただろうに。
つかない。
そもそもが蛮族を支援していた、王家の命でする羽目になっていたマッセマー商会は早期に王家を見限る方針を立て、ライヒベルク公爵家と天秤にかけた。
そしてエリーゼの采配を見てエリーゼ個人の投資を決めた。
それは娘のシャーリーよりも早い。
大盤振る舞いをする相手にはついていく、利益を与える相手に付く、そして勝ちの目がみえるのであればなおさら。
王太子が国王になろうと、エリーゼ一派がどれだけ負けようと蛮族領域を抑えている以上は蛮族領域の産出物や加工物の売却貿易、ブルーオーシャンの参入が可能なのだ。
蛮族をすべて兵とできるエリーゼが負けるとしたら一時的な撤退か、大義名分を生み出すためのものに過ぎない。
エリーゼは力で押せばそれで片がつくことをゆっくり、足元を固めてここまでやってきた。
ベルク商会を抱えつつも、マッセマー商会に莫大な利益を与えているのだ。
王太子の政権がどれだけ安泰であろうとマッセマー商会、少なくとも商会長は一蓮托生で最後まで立っているだろう。
エリーゼはそこまで追い詰められたら商人は離れると思っているのだが、思うよりも恩には答えるのが商人というものでもある。
よりにもよって商会長も娘も離れる気がないのが不安であるが、商会も利益で考えたら特に文句も言えないだろう。
「金も人もないということか」
ヴィルヘルムは他の記事に目を通していた。
『株式銀行構想は?ライヒベルク公爵が提言した国家銀行の株式制度はどの様になるのかが注目されている。この株式には商会の資本を当てにしてるのではないかと言われているのだが、一部商会はそっぽを向いている。果たしてこれをどう動かすのだろうか?王家関係で借金を踏みされるような形になった商会もこれには介入し、王家を操ってやるかと乗り気な商会もいる。だがそのような隙を見せるとは思えない。この権に関してはマッセマー商会がどうでるのかにかかっているのではないか?』
あの公爵家は小賢しいことをしているわけだ。
意味があるのかわからないが、金欠というわけか?まぁ戦争を独自ですればそうもなるだろう。
ヴィルヘルムは鼻で笑いながら新王朝の行くすえを高みの見物と思っていた。
実際のエリーゼは別に金に不自由をしてるわけではないが、王家の財産問題が宙に浮いたのでさてどうするべきかと思っているだけである。
『一部貴族徴税権の返納の兆し。新王朝の方針として現時点においても統治不適格な貴族が摘発されることが多い。借金を帳消しにすることで徴税権や領地の返上を迫っている。これを飲んだ貴族は約20家になる。貴族はこのザマであり、王家がこのようなバカげた貴族を支援していたというのは恐るべきことである。王家直轄地として新しき領土になった地域は前より税も下がり、暮らしやすなることだろう。重税をかける貴族を摘発するように王太女殿下は指示をしているが、はたして木っ端貴族どもがどこまで戦えるかは見ものである。あくまで地位と権利を維持しながら領民を苦しめる貴族に待つ末路はゲーリング子爵領を見れば明らかであるのだから。無能なる貴族には必ず相応の終りがあるだろう。それはさぞ高貴なる血筋であっても避けられないことは第1面を見ればわかることだろう。国家は健全に進もうとしている。古き殻を脱ぎ捨てて新しき体勢は向かうのだ。これに対して王太女殿下の周辺の貴族も健全な領地運営をしているがこの無能貴族が亡き後で返上する予定である。また、早くにブタン子爵夫人は寄付の必要があるとして一部領地と一部徴税権を返上することを公言している。この領地はブタン子爵夫人が所持している領地で赤字を出しており、ブタン子爵夫人の所持する全領地としては全体的には大幅に利益が上がっているが早期に領地と徴税権を返上して流れを作るのではないかと思われている。ただし、一部領地は重要地を含んでいるのではないかと言われている』
どうやら、もう一波乱はあるかも知れない。
新聞とは便利なものだ。最も書いてあることが真実かどうかはわからないが……。
ここまであけすけに書かれても大丈夫なのかともヴィルヘルムは思ったが、もはや関係はないと新聞を畳んだ。
エリーゼ「ワタクシの新聞なんだからワタクシの批判はNG」
アーデルハイド「私も記事かけるからあんたの批判記事書くけどね」




