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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
幽霊屋敷の廃王子

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悪夢

 ベッドに横になったヴィルヘルムはこれからどうなるのだろうかと思いながら暗い天蓋を見つめた。

 いつもであれば起きている時間に寝るのは奇妙なものだ。

 ヴィルヘルムを目を閉じると急激に疲れたように眠りについた。



 ──してやる

 ────殺してやる。

 ──────殺してやるぞ。


 囁くような声がヴィルヘルムに起床を促した。

 周りは未だに暗闇であった。

 ヴィルヘルムは気のせいか、それとも心の声が騒いだのかわからなかった。

 夜目はきかなかった。

 サイドテーブルに手を伸ばせば新聞があった。

 おかしい、机においたはずなのに。

 誰か入ったのか?


 トイレに行こうと思うがまるで何も見えない。

 立ち上がって扉を探すが見当たらなかった。

 ここはどこだ?いや、部屋ではあるはずだ。寝てる間にベッドごと移動させるわけがない。

 気が付かなかったのだとしてもおかしい。

 壁に手を当てて、触りながら出口を探すものの一面はすべて壁であった。


「おい!誰か!どういうことだ!」


 声を荒げても反応はなかった。

 壁を蹴り、祟次第に叩きながら叫んでも反応はなかった。

 窓があるとカーテンを開けたがそこには漆黒の闇が広がっていた。

 窓を開けようとするが全く開かない。

 びくともしない。

 何かをぶつけて割ってやろうと窓を離れ、ゆっくりと机があるだろう場所を探すがm手も足も空を切る。

 ベッドはどこへ行った?

 ヴィルヘルムがそう持ったの束の間、後ろから首を絞められた。


 殺してやるぞ。


 耳元で囁かれる中、ヴィルヘルムは首に手を回そうとするが全く動かず、かがもうにも足も動かなかった。


 殺してやるぞ、殺してやる。


 この距離で囁かれるにしては遠い声にヴィルヘルムは疑問に思うこともなく暴れるが、やはり体が全く動かなかった。


 私が何をしたというのだ、お前は誰だ!


 殺してやるぞ、私がされたように首を絞め、頭を叩き割り、見世物にしてやる!


 やめろ!やめろ!


 首を絞める力が強くなるとヴィルヘルムの意識は徐々に落ちていった。




 目を覚ますとヴィルヘルムはベッドの上だった。

 ひどい悪夢を見たと明るくなった方を見るとカーテンは完全に開かれていた。

 誰かが入ったのだ。そうに違いない。

 サイドテーブルに新聞はなかった。

 起き上がり、机を見ると新聞が折りたたまれている。

 やはり夢だ。

 王族から貴族か、貴族かもわからない地位になったのだ。

 ひどい悪夢も見るだろう。

 気のせいか、家具が動いてる気がする。

 昨日は気が付かなかったがこの部屋には鏡がない。

 まぁ燭台がないのだ、鏡だってないのだろう。

 鏡で蝋燭の光を反射させて明るく見せるなんてことはよくあることだ。

 顔を洗ったり鏡で確認するときはどうするのだろうかとも思ったがおそらくは……。

 いや、使用人は自前で雇えと言っていた。

 場合によってはトイレの手洗いで顔を洗うことになるだろう。


 ヴィルヘルムは部屋を出ると近衛騎士の方を見た。

 彼らはちらりと見ると何事もなかったように職務に戻っていた。

 昨夜の人間とまた変わったのかも知れない。

 用を足したあとで手を洗い、顔も洗ったヴィルヘルムはそういえば水洗で水が出るならなかなかの屋敷のはずだなと、今更ながらに考えていた。

 顔をふこうと思うが、手を吹く布では流石に憚られた。

 パジャマの袖で顔を拭うとトイレを出て、近衛騎士に向かっていった。

 露骨に嫌そうな顔を向けているのは昨日自分を案内したの騎士であった。


「なにか御用ですか?」

「いや、昨日何かあったかと思ってな」

「何かあったのですか?」


 探るように聞いた近衛騎士にたいして悪夢を見たなどと言えばどれだけバカにされるか朝から非常に不快な思いをしたくないヴィルヘルムはそれとなく誤魔化した。


「いや、別段と。カーテンを開けてくれたのは誰だろうか?」


 そう言った瞬間、近衛騎士達は顔を見合わせていた。


「さぁ?ご自分で開けたのではないのですか?」

「いや、閉めたはずなのだが」

「暗かったのでお間違えになったのでしょう」


 そう言われてしまうととたんに自身がなくなってしまうのが今のヴィルヘルムであった。


「まだ新聞は届いておりませんし、朝食もまだですよ」


 どうやら思ったより早く起きてしまったらしい。


「あの部屋に鏡はないのか?」

「…………ありませんね、最初からありませんから」

「最初から?」

「ええ、最初から。なぁ?」

「ええ、最初からありません」


 近衛騎士たちのキッパリとした言葉にヴィルヘルムも納得するしかなかった。


「鏡は買うしかないのか?」

「お好きなようにどうぞ」

「金銭の限りはご自由に」

「今の鏡はいくらほどだ?」

「もの次第です。部屋に合うものであれば金貨の7,8枚くらいでしょうか」


 ヴィルヘルムは鏡の購入を大人しく見送った。

 トイレで顔を洗う日々が始まるだろう。


「そうだ、燭台は一切ないのか?」

「は?」


 奇妙な反応をした近衛騎士は訝しげにヴィルヘルムを見た。


「昨日も聞かれたのだがな。今のところ必要がないが燭台も鏡がないのも気になってな」

「…………いえ、燭台はあるはずです。不法侵入でもされて持っていかれていない限りはですが……」

「まぁ、手軽に盗めて換金もできるからな。ここは長らく空き家だったのだろう?」

「ええ、そうですね。本当にないのですか?」

「…………そうだな、少し探してみよう」


 ヴィルヘルムはそういうと部屋に戻っていった。

 近衛騎士2人はその姿を見送り、扉が閉まると顔を見合わせた。


「誰が盗むものかあんなもの」

「そもそもなぜないんだ?」

「さぁな」

ヴィルヘルム「夢見が悪いのか」

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