表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿】転生したら悪役令嬢の兄になったのですが、どうやら妹に執着されてます。  作者: 陽七 葵
第一章 学園入学まで

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/47

フィンとの出会い

 ドキドキワクワクしながらダンジョンの中に足を踏み入れた。まずは、初心者に優しい最下層からだ。


 爽やかな風が吹き抜け、太陽が燦々と降り注ぐ。どこまでも続く緑の絨毯は、外の世界と何ら変わらないのではないかと錯覚させる。ここは平和な地なのだと、魔物などいないのではないかと。


 とはいえ、ここはダンジョン。最下層だからといって油断は禁物。緊張しながら歩を進めていくと、さっそくスライムが現れた。


「これが、かの有名なスライム……」


 生で見られるとは! 生きてて良かった。いや、死んで良かった。か?


「クライヴ。やれそうか? ああ見えて結構素早いぞ」

「ああ、やってみる!」


 スライムは水だから……。

 両手をかざし、魔力を込める。


「氷結」


 スライムは素早く避けた。それから二発三発と魔法を放つが全て避けられる。ゲームと違って現実は意外と難しい。


「あ、二つに分かれた」


 標的が小さくなり、動きも更に素早くなっている。こうなったら――――。


氷弾(アイスバレット)


 氷の弾丸はスライムに直撃し、射抜かれた。射抜かれたところから氷漬けになったスライムはシュッと音を立てて消えた。


 実感はないが、これで経験値が上がったのだろうか。


「さすがクライヴ! 初めてなのにやるではないか!」


 ステファンに褒められ満更でもない顔をしていると、ルイもうんうんと頷いた。


「意外と皆さんアレに苦労するんです。触れたら火傷したように皮膚が爛れますし」

「うわぁ……」


 取り込んだ物を消化するんだったっけ? 危ない危ない、油断大敵だ。


 それから更に歩を進めて行くと、木陰に頭に一本の角を生やしたウサギがちょこんと佇んでいるのが見えた。


「ホーンラビット? か、可愛い……」

「クライヴ?」

「これは魔物ですよ。弱いので、ひと思いにやっちゃいましょう!」


 ルイは思ったより残酷なやつなのだろうか。こんな可愛いウサギを誰が倒せよう。


「よしよし、良い子だ、こっちへおいでー」


 俺は幼子をあやすように、ホーンラビットへとゆっくり近付く。すると、ホーンラビットは角をこちらへ向けて駆けてきた。


「クライヴ、危ない!」

「クライヴ様、早く魔法を!」


 ステファンとルイの声を他所に、俺は正面から受け止めた。

 角が当たって少し痛かったが、抱き止めるのに成功した俺は、よしよしとその頭を撫でてやる。鼻をスンスンしている姿が可愛すぎる。


「攻撃を体で受け止めるとは……」

「クライヴ様、それの肉は美味しいんですよ。皮を剥ぐのをお手伝いしますね」


 ルイが横からホーンラビットを鷲掴みにしようとするので、俺は抱き抱えたままルイと距離を取る。


「この極悪人! こんな可愛いウサギを食べるだなんて許さん!」

「クライヴ様。しかし……」

「クライヴ。今回はルイが正しい。それに、角で突かれて腕から血が出ているではないか」

「これは攻撃されている訳ではない。愛情表現の裏返しだ」

「「……」」


 そう、俺はホーンラビットを抱きしめているが、角でツンツンされている。血も多少流れてはいるものの、死に至るほどでもない。


 皆これを攻撃と言ってくるが、これはツンデレの一種に過ぎない。いつかデレが来るはずだ。


「俺はこいつを飼う」

「無茶ですよ。魔物はダンジョンから出られないんですから」

「そうだぞ。魔物は魔素がないところでは生きていられない。ダンジョンから出れば死んでしまう」

「そうなのか……」


 ルイとステファンに宥められ、飼うのは諦めた。だが……。


「冒険中、連れて歩くのは構わないだろ?」

「まぁ、邪魔ではあるがな。この魔物は弱いから反撃してきてもすぐ殺れるから良いだろう」


 ルイだけでなく、ステファンも残虐なことを言う。

 とはいえ、連れて歩く許可がおりた。


「よし、決まりだ。お前はフィオナのようにお目々クリクリで可愛いから、フィンと名付けよう」


 こうして、冒険の仲間が一匹増えたのだった。


◇◇◇◇


 それから小一時間経っただろうか。ダンジョンの空は二十四時間変わらないようなので、その感覚は分からない。


「慣れてきたみたいですね、クライヴ様」

「おう! 初級の魔物は何とかなりそうだ」


 フィンが仲間に加わってから、俺達は森の奥に入っていった。コボルトやゴブリンの群れも出てきたが、順調に倒していった。


 しかし、剣で倒す時には少し躊躇ってしまった。剣術の訓練はしてきたが、生きているものを斬るのは初めてなのだ。


 いくら魔物でも抵抗がある。初めて斬った時の生々しさは忘れられない。


 それでも人間慣れるもので、五体目くらいからは躊躇せず切ることが出来るようになっていた。


「フィンも褒めてくれるのか、ありがとな」


 フィンが俺の足元で角をぐりぐりしているので、よしよしと頭をなでてやる。


「クライヴ様、それは攻撃されているのでは……」


 ルイが何か言ったが、聞こえない振りをしておいた。


「二人とも、少し休憩にしないか?」


 ステファンが休息を促すが、俺は駄々っ子のように反発する。


「えー、俺もっと倒したい」

「気持ちは分かるが、いくら弱い魔物でも体力や魔力は確実に消費されている。休息を取らないと後で痛い目をみる」

「そうですよ。フィンだって休憩したそうですよ」


 ルイは卑怯だ。フィンを出されたら断れない。


「分かったよ」

「じゃあ、私は食べられそうな果実をパパッととってきますので、お二人はここでお待ち下さい」


 爽やかに走り去っていくルイを目で追いながら、大きな石の上に腰かけてステファンに話しかけた。


「屋敷で稽古つけてもらってるけど、やっぱ実践は違うな。相手は初級の魔物だけど……」

「危機感が違うのだろうな。初級も上級も関係ない」


 やはり人間同士の稽古では相手を殺そうとまでは考えていない為、本能で手加減している。その反面、魔物は本気で襲ってくる。こちらも自然と本気が出るというものだ。


「ダンジョンに誘ってくれてありがとな」

「クライヴ、大丈夫か? やけに素直……ん!?」

「ステファン?」


 木々に止まっていた鳥達が逃げるように飛び立ち、辺りは妙な空気に包まれる。


「ここの環境って二十四時間変わらないんじゃ……?」

「クライヴ、剣を構えろ。何か来る」

 

 ステファンが臨戦態勢をとるので、フィンをそっと木の側に座らせて言った。


「危なくなったら逃げろよ」


 フィンをひと撫でし、俺もステファンに倣い臨戦態勢を取る。


 ――パカラバカラパカラッ。


「何故、アレがこんな最下層に?」 


 ステファンが緊張した面持ちで呟く。無意識に俺も冷や汗が流れる。


 音のする方をじっと見ていると、馬が駆けてくるのが見える。上に乗っているのは鎧の兵士。ただし、首は付いていない。


 ――デュラハン!?


いよいよダンジョン突入です!

ワクワクドキドキで書いてます。


読んで下さってありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ