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このゲームのいいところは
攻略対象が全員フリーなところ。
なので、婚約者を奪って幸せに…なんてことはない。
断罪的なものはあるが、大勢の前で辱めるようなことはない。
そういうところが、前世で好きだった理由でもある。
「「リア〜!帰ろう!」」
そういえばこの双子、学園で結構人気らしい。
公爵家の令息でかなりのイケメン、成績も優秀。
攻略対象じゃないのが不思議なくらい。
すれ違う令嬢達がみんな顔を赤らめている。
「友達できたみたいでよかったな〜」
「あの人嫌いなリアが、珍しい〜」
「だって私、可愛い人には弱いんだもの。」
「「一番可愛い子が何言ってるの?」」
いや、なんでさっきまでフワフワしてたのに急に真顔で言うの?キャラ変?怖いよ?
それにクリスティーのツンデレは本当に可愛いんだからね。美少女の照れた顔なんて最高よ。
「まぁでも、ラクシア嬢達と仲良くなってくれてよかったよ。変な虫に話しかけられなくて済むし。」
「身分が下のものからは、よっぽどのことがなければ話しかけられないからね。同じ公爵家か王太子くらいじゃないと。」
そう、私が割と平和に過ごしてるのはこの身分のお陰でもある。
原作だとヒロインは伯爵令嬢、攻略対象は身分が高い人達ばかりだから逃げるに逃げれない。
今は王家の次に身分が高いので話しかけられる心配が少ないのだ。
「やぁ、ラヴェルディ家の皆さん。」
ただし、王・家・の・次
「「王国の一番目の星であらせる王太子殿下にご挨拶申し上げます」」
なぜ、このタイミングで。
フラグ?フラグを立ててしまったのか私は。
あーぁ。会わないようにしてたのに。
しかも攻略対象を3人も引き連れてくるなんて。
トホホ…
「楽にしてくれて構わない。噂のラヴェルディ家の姫君に挨拶をと思ってね。」
「改めまして、リーリア=フォン=ラヴェルディです。失礼ながら殿下、"噂の"とは?」
「社交界でも姿を見た人間は殆どいない」
「外部から探ろうにも公爵家、および公爵領の鉄壁のガードにより年齢、性別以外は非公開。」
「陰口を言おうものなら即座に家ごと潰される。」
「それはそれは大事にされてるラヴェルディ家の宝」
なんて恥ずかしい噂なんだ!
実際はただの引きこもりなだけなのに!
というか、殿下に聞いたのになんでしれっと答えてるの?
「コリー、ジェディ、こんな恥ずかしい噂ないわよね!?嘘だと言って!」
「「へへっ!」」
あ、うん、どうやら本当らしい。