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公爵令嬢は♡姫将軍♡から♡降魔の巫女♡になる  作者: 変形P
第1部 闇神殿編
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022 匂う♡侵入者♡

今回のお話は、お食事中の閲覧はご遠慮ください。

私の指示でバストルとレクターは馬を降り、手綱を馬車に結びつけると馬車後端のステップから乗り込んで来た。


「あ、あの中だよ」とニェートが籠を指さす。


バストルが籠の蓋を取り外すと、ラメダの葉の中に人間が横たわっていた。


「出ろ!」とレクターが脅すと、その人物が立ち上がった。とたんに悪臭が増す。


「お、お嬢様〜」と泣きべそをかくその人物は、バネラだった。


「バネラ!あなた何をしているの!?」


「ど、どうしてもお嬢様とご一緒したかったんです〜」


「あなた、臭いわよ!どうしたの!?」と問うと、バネラは泣きながらスカートを上げた。


バネラはもっこりした白い下袴をスカートの下に履いていた。そしてその一部にしみが付いていた。


「何を履いているの?」


「これはおむつです〜。下袴を2枚重ね、間にラメダの葉を詰めて縫い合わせたものです。粗相をしても漏れないと思っていたんですが、漏れちゃいました~」


籠の中を見ると、食べかけのパンが一切れと、水が入っているらしい革袋があった。どうやらここに隠れてついて来ようとしたらしい。


「とにかく、しもの始末をしないとね。・・・バストル、悪いけどガンダルに軍を停めて休憩するように伝えて。そしてまた戻って来て」


「は!」と言ってバストルが馬車から降りた。


「どうするのですか?」とスニアが聞く。


「馬車を降りて、その汚れたおむつを捨てて、用水路の水で洗うしかないじゃない」


「そんな、恥ずかしいです〜」とバネラが泣いた。夜ならともかく、昼間だと丸見えだ。


「隠してあげるから心配しないで」と私はバネラを安心させるように言った。


そのとき私はあることに気がついた。


「バネラ。ロルネとペニアは?まさか、一緒に乗り込んでいるんじゃないでしょうね!?」


バネラは黙って籠の下にある長持ちを指さした。レクターが開けると中にロルネが泣きながら横たわっていて、同じく悪臭が漂ってきた。


「ロルネ、あなたも粗相をしたの?非常食を入れておく長持ちの中で?」


「ごめんなさい、お嬢様〜」と泣くロルネ。


「それでペニアは?」と聞くと、バネラとロルネが天井を指さした。


レクターが馬車の中から出、後のステップから馬車の上によじ上った。そしてラメダ酒が入っているはずの大樽の上蓋を引くと、簡単に外れた。


「中にペニアさんがいます」とレクターが叫んだ。


照れ笑いをしながら大樽の中から出てくるペニア。スカートを履いているのに器用に馬車の側面を伝ってステップに降りて来た。


「お嬢様、申し訳ありませ・・・。うっ、くさっ!!」ペニアが鼻をつまんだ。


「あなたは粗相をしていないの、ペニア?」


「私は蓋付きのおまるを用意しておきましたから」とペニア。樽の中だと多少は自由に動けたようだ。


「樽の中のお酒は?」


「お屋敷を出る前に空の樽と入れ替えておきました」


空の水樽をたくさん積んでいたから、大樽が軽くても誰も不審に思わなかったようだ。


まもなく隊列が停まり、バストルが戻って来た。


「用水路で2人を洗うから、布で隠してあげて」


「はっ」


用水路の脇の並木に布の端を結びつけ、さらにバストルとレクターが支えて三角形の目隠しを作った。用水路の向こう側からは丸見えだが、近くに農夫はいなかったので問題ないだろう。


バネラとロルネを目隠しの中に入れ、裸にさせた。汚れたおむつは並木の根元に埋める。


小さい桶で水を汲み、2人の体にかけて洗った。


「冷たいです〜。寒いです〜」文句を言う2人。


「がまんしなさい!」


「あ、ペニア!そんなところでおまるを洗わないでよ!」と文句を言うバネラ。「そこの水を汲むんだから!」


体を洗ったバネラとロルネを馬車に入れ、体を拭いてから新しい服を着せた。その間にバストルとレクターが、2人が隠れていた籠と長持ちを持ち出し、中の物を用水路に流して、水でざっと洗ってもらった。


「大樽はどうしますか?」


「重いからそのままでいいわ」しかし多少は内側が汚れているのかも知れない。大樽も籠も長持ちも、もう食べ物や飲み水を入れることはできない。


何とか汚物処理を終えて、進軍を再開する。


「問題はこの3人の処遇ね」と私はうなだれているバネラたち3人の前で言った。


「ここから兵士の馬に同乗させて送り返すこともできなくはないけど、鉄門に着くまで1日以上はかかるわね。その兵士に何かされないとも限らないわ」


「お嬢様、それだけは勘弁してください」と泣きつくロルネ。


「バストルとレクターは貴重な女兵士だから、2人に付き添わせると私たちが困るわね」


「少なくともザカンドラ皇国の帝都まではつれて行くしかないんじゃないですか?」とジャジャが言った。


「しかたないわね」と私が言うと、3人は目を輝かせた。


「決してお邪魔はしませんから、お願いします!」既に全軍を停めさせたけどね。


バネラたちが隠れた長持ちや籠に入っていた非常食やラメダの葉は、かなりの量を麻袋に移し替えていた。そのため全部が汚染される危険を回避することができた。それにしても、今回はバネラたちが珍しく頭を使った。そのとばっちりが私に向かうとは、そのときは予想だにしなかった。


お昼休憩になったとき、私はガンダルにわびに行った。


「さっきは急に停まってもらって悪かったわね」


「それは仕方がないことです。お腹の具合はもうよろしいですかな?」


「はあ?」


「戦地へ赴く旅じゃから、心労から食べ物にたることもありますなあ」


「はああ?」


「隠されなくとも、みんな知っております。川縁に布で目隠しを作られ、その中に姫将軍が急いで入られたこと。そこを後に通り過ぎるとき、異臭と川の濁りがあったこと。恥ずかしがることではありません」


「はああああ!?」


バネラたちのせいでいわれのない汚名を着せられてしまった。


「あ、あれは私ではなく、メイドの所業です」


「あ、そ、そうですな。そういうことにしておきましょう」とガンダルがわかったような顔をしてうなずいた。


私は馬車に戻ると、にこやかにラメダ水をすすっているバネラを見て、思わず頬をつねってしまった。


「痛いですよ〜。何するんですか、お嬢様?」


「あなたたちのせいで、私が粗相をしたように思われているじゃない!」


「ご、ご、ご、ごめんなさ〜い、お嬢様〜」とバネラたちが私の剣幕におそれをなして謝った。


ちなみに進軍の途中でもよおしたら、馬車の中でおまるを使い、スズかニェートに外へ捨てに行ってもらう。馬車の中に匂いが立ちこめるので、決まりが悪いことこの上ない。それがいやなら、夜陰にまぎれられる夜を待つしかない。


いらぬ恥をかかされた私は、そのままふて寝をすることにした。馬車の片隅で毛布にくるまると、


「ちょっと休むから、静かにしてね」と言った。


しばらくは誰も何も話さなかった。私がうとうとしかけると、ジャジャが小声で話すのが耳に入った。


「それにしてもドロシア様は、公爵令嬢とは思えないほど下々の者にお優しいですね。私やメイドさんたちと対等に話し、お食事も一緒にさせていただくなんて・・・」


「そうなんです」とスニアが言った。


「不器用な私を辛抱強く見守られ、食事もしっかりとっているか、いつも気にかけていただいて。・・・私にとってお嬢様は女神さまのような存在です」


スニアにほめられて、お尻の穴がこそばゆくなってきた。お風呂にまともに入っていないせいだろうか?


「私も最初は無理矢理屋敷につれて来られて、反発していたのに、やせすぎだから食べなさいと言われて食べているうちに、こんな生活も悪くないと思ってしまったわ。それがお嬢様の私を手なずけるための作戦だったのかもしれないけど、今はお嬢様に感謝しているわ」とスズも言った。


「そうよね。お嬢様のお気持ちに応えるために、私たちはしっかり食べなきゃね」とバネラが口をはさんだ。いや、あなたたちは少し食い過ぎだ。もう少しやせろ。


「おいらも・・・いえ、私もお嬢様に助けられて感謝しているよ」とニェートが言った。


「ただ、私はお嬢様に初めて出会ったとき、何か懐かしさを感じたんだ。昔から知っていて、ようやく出会えたって気がしたよ」


そう言えば私もニェートに会ったとき、なぜかこの子とは離れたくないって思った。


「小さい頃にお嬢様のお姿を見かけたんじゃなくって?」とロルネが聞いた。


「そんな記憶はないんだけど・・・」


「でも、ほんとうにお嬢様がご主人様で良かったわ」とぺニアが言った。


「ご主人様が意地悪貴族だったり、お馬鹿貴族だったら、最悪だったわよ」


お馬鹿貴族はあんたたちだよ、と心の中でツッコんでおく。


「みなさんのおっしゃられる通り、ドロシア様はとてもお優しい方ですね。降魔将軍と呼ばれているのが嘘のよう」とジャジャが言った。


「ただ、お風呂に入ると私の胸を凝視されるのがちょっと恥ずかしいのですが」


「お嬢様はね、自分より胸が小さい女の子を見ると、優越感を感じられるのよ」とバネラが言った。


はあ?


「そうそう。だからお嬢様はあなたたちに優しくしてくれるのよ。お嬢様よりもっと美しい胸をしている私たちのことはやっかまれて、お腹をつまんだりしてこられるけどね」とロルネが続けた。


はああ?


「いいこと?今度お嬢様と一緒にお風呂に入る機会があったら、一生懸命お嬢様の胸をほめるのよ。それがお嬢様のご恩に報いる最善の方法よ」とバネラ。


はあああ?


「私たちがほめるといやみになってしまうから、みんな、よろしくね」とロルネが言い、


「はい」とジャジャを含めたみんなが返事をした。


いいかげん腹に据えかねて、バネラたちを怒るために起き上がろうとしたとき、馬車の外に馬が駆けて来る音が聞こえた。


「姫将軍殿、姫将軍殿!ジナン帝国の軍隊が見えましたぞ!」


その声を聞いてジャジャとメイドたちがあわてて立ち上がり、馬車の窓を開いてのぞこうとして壁際に駆け寄った。


そのとき誰かが私の体を踏んだ。


「誰よ!?」と怒って起き上がろうとすると、


「ドロシア様!ジナン帝国の赤銅軍カッパーアーマーズです、父の姿も見えます!」とジャジャが私に向かって叫んだ。


「スニア、身支度をお願い」


私はスニアに頼んで、脱いでいた軽甲冑ライトアーマーを着させてもらった。


「ジャジャ、行くわよ。一緒に馬に乗って」


私は馬車の後ろのステップに出ると、馬車につないでいた自分の馬にまたがった。ジャジャも馬に飛び移り、私の後ろにまたがる。


私はつないでいた手綱をニェートにほどいてもらうと、駆け足で第5軍の先頭に進んだ。


はるか前方に赤い鎧に身を包んだ騎兵の一群がこっちに向かって進んで来るのが目に入った。


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前作の「五十年前のJKに転生?しちゃった・・・」を公開中です。
こちらを読まれると本作の隠れ設定が理解できます。
よろしくお願いします。
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