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3-10 仲直り(?)

 さて、相手を怒らせないような挨拶か。

 グダグダするのはダメだよな。

 とりあえず、簡潔にいこう。


「スガだ。よろしく」

「......スガ様、短いです」


 え? そう?

 フェイにダメ出しされてしまった。


「もうちょっと長くしようよ」


 ルイにもされた。

 ふむ、もうちっと長くか。


「好きなものはメロンパン、嫌いなものはラッキョウです」

「何ですかめろんぱんって」


 メロンパンは知らんか......。つらい。

 そうだよな。無いよな、メロンパン。

 食べたいなぁ......。


「いや、何でもないさ。えーと、スガだ。大概のことは出来る。と思う。よろしく」

「もういいです......」

「お兄ちゃん.........」


 呆れられた。そんなに悪かったかな。

 凹むわ。


「フェイ・スレイルと申します。そこの行き遅れエルフ以外の方々は、どうぞお見知り置きを」


 怖い!

 マジ怖い!

 その笑顔やめろ!


「ルイ」


 簡潔ここに極まれり。名前だけってどうなのこれ。

 俺よりひどいじゃないか。ちょっとフェイさん、何とか言ってやってくださいよ。


 ............フェイさん?

 フェーイさーん。


 フェイはこちらは見ないで、アナスタシアと笑顔を交わしていた。

 なんて可憐な笑顔。

 鳥肌立つわ。

 怖くて。


「な、なぁ、アナスタシア。お前あの子になんかしたのか?」


 アイルーンがビクビクしながらアナスタシアに尋ねた。

 今のアナスタシアに話しかけただけでも勇者といえる。


「いや、何もしていないさ。まず関わり合いになりたくないからな」

「おや、何も『していない』ではなく、『できない』の間違いでは?」


 .........こいつらはもう放っておこう。



*****♪***♪♪*******♪*****



「なあ、このあとは何をするんだい?」


 ディーンがそんなことを言った。おお、さっき見たディーンに戻っている。


「私は知りませんが.........今回は顔合わせのみと聞いているので」

「僕も知りませんね」

「俺も」

「オイラも」

「ウチも」


 みんな知らなかった。何だこいつら。

 俺も知らないんだけどさ。


「じゃあもう帰ってもいいんじゃないの?」


 適当にそんなことを言ってみた。


「ふざけんな! わざわざこっちまで来て何もしないで帰るとかありえないだろ!」

「その通りだ! 何か.........何か無いか⁉︎ 適度な暇つぶしは......!」


 こいつら暇なの? 依頼クエストでも行ってこいよ。


 そこへ、部屋の隅から呻き声が聞こえた。


「「「誰だ‼︎」」」


 全員でそちらを向く。ここは神金剛石ダイヤモンドと一部の者達しか入れない場所。そこに俺たちに気づかれないように入るなど、只者ではない。


「.........え、なに?」


 と、思ったら、サクヤだった。

 そういえばいたな。こんなの。


「お、おお、サクヤか」

「何だサクヤか」

「ツマンネ」

「何だよ!」


 周りの理不尽なため息にサクヤが怒鳴る。

 おーいやめろー。キャラ崩れるぞー。


「ったく、何なんだ............っ‼︎」


 サクヤが振り向き、俺と目が合う。途端にサクヤは息を詰まらせた。


 .........き、気まずい!


 ヤベー、さっきあんなことしちゃったし、怒ってないかな。

 怒ってるだろうなぁ。

 人前でさんざん喘がせたんだから。


 まともに話せるかな?

 

「え、あ、その............えっと.........あれ?」


 話しかけようとすると、そこにサクヤはいなかった。

 どこに行ったかと思えば、アイルーンの後ろに隠れてガタガタと震えていた。


「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」

「サクヤ?」

「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」

「どうした?」

「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」

「..................」


 なにこいつどこのた○し?

 たけ○だってもうちょっと抑えてたぞってくらいガタガタしている。

 次見たらハンカチでも落ちていそうなほど。

 俺はひ○し兼ブルーベリーだ。


「サクヤ、呼んでるぞ?」

「‼︎」


 アイルーンがそう言うとサクヤは凄まじい速さで俺の前に来て土下座をした。

 なんでや。


「えっと、どうした?」

「ナメた真似して申し訳ありませんもうやめてくださいお願いします靴舐めでも何でもしますから本当に勘弁してください飴あげますから爪とか1個あげますから」


 お、おう。

 怒涛の勢いで謝罪されてしまった。


 この最中も、サクヤは青い顔でダラダラと汗を流していた。

 俺が翼を触り過ぎたせいで何かトラウマでも植えつけたのかもしれない。

 その翼は先ほどのような活力はなく、ペタンと地についてしまっている。

 翼なのにね。


 悪いことしちゃったな。

 ていうか、飴なんかいらんわい。爪もいらん。

 ここら辺のチョイスから、こいつのテンパり具合が分かる。

 今は『4』テンパっている。

 ちなみに5段階評価で、5になるとそのうちに死ぬ。

 俺は『5』は見たことがない。


「スガ様。彼女に謝ってください」


 フェイに笑顔で言われた。例のごとく目が笑ってないのでとても怖い。

 恐ろしや。


「えっと.........なんだ。その.........、すまん」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「いや本当すまん! 何もしないから! 許して! 俺が靴舐めるから! 許して!」

「ごめんなさいごめんなさっ...........................く、靴履いてない」

「では足を舐めよう」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい‼︎」


 失敗した。より怖がらせてしまった。

 もういいや。美人に嫌われるのは不本意だが、仕方ないね。こいつも放っておこう。


 アイルーンとやわらかディーンに慰められ続けて30分後くらいに、ようやく落ち着いたサクヤは俺にビクビクしながらも会話の中に入っていた。


「こ、この後は、何か会議があるとかで待機してろって言われてるけど.........」

「誰に?」

「ギルマス」

「そのギルマスはどこ行った?」

「「「さあ?」」」


 いつの間にかハウルはどこかへ行ってしまっていた。

 ギルマスであるところのハウル含めて、本当何なのこいつら。

 ハウル、ヘルプ早よ。



*****♪***♪♪*******♪*****



「緊急クエストです! みなさん急いで来てください!」


 ハウルが来たと思ったら、開口一番にそんなことを言った。騒がしいやつだな。


「何があった?」


 マゼランが鈍重な声で聞いた。


「竜です! 邪竜なんかではなく、本物の竜が北にありゃわれました!」

「噛んだ」「噛んだな」

「「「何だと!」」」


 ジャックとアイルーン以外の顔が驚きに染まる。

 こいつら声揃えるの得意だな。仲良しかよ。


 いや、今はそんな場合ではない。急いでその竜の対処に行かねば。


 ルイ.........あれルイはどこだ? さっきまで隣で手持ち部沙汰そうにしていたのに。


 軽く見渡すと、いた。

 あいつルカンと一緒にお菓子食ってやがった。

 今の話は1つも聞いていなかったようだ。

 俺の視線に気づいても、キョトンと小首を傾げるだけだ。

 このやろう。


「行きましょう、スガ様! ルイちゃん!」

「え、え? 何、どしたの?」

「よし、行くぞ!」

「え、お兄ちゃん何?」

「うし!」

「何? ねえ、どしたの? ねぇ!」


 うるせぇ。黙ってついてこい。

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