3-3 求婚のエルフ
「私と結婚してくれ!」
........................おおう?
話は10秒前にさかのぼる。
店に入った。
おしまい。
いやね、ほんとなんもしてないの。貴族を軽くあしらった後、店に入っただけ。
するとどうだ。何か知らんが、美女に求婚されてしまった。
金髪のセミロングで緑の目。全体的に黄緑を主体としたラフな格好で、胸はかわいそう。ルイといい勝負だ。しかし、キリッとしたタイプの、かなりの美人だ。
フェイには及ばないけどね。
そのフェイとルイは真顔で固まっている。
さて、どうしたものか.........。
「新婚旅行はどこにしますか?」
「ああ、それなら大陸の南にあるアイルーンがいいな」
「じゃあ、そこにしますか」
「ストップ! ストーーーップ!」
そこへフェイが待ったをかける。
あ?なんだよ。人の恋路を邪魔するもんじゃないぞ。
「お兄ちゃんなに乗り気になってんの⁉︎」
「む、お前もか、ルイ」
「ブルータスって誰⁉︎」
裏切り者さ。
「まぁ、冗談は程々にしておいて、そもそも誰ですかあなた」
「へっ? じ、冗談? 嘘だろう? 私を裏切るのかっ⁉︎」
「まず仲間になった覚えがないしな...............ちょっ、落ち着け! 落ち着くんだ! 話せば分かる! 何をとは言わないけど!」
だからそのレイピア仕舞え!
「と、取り敢えず名前を教えて欲しいんですけども」
「む、そ、そうか。すまない。私の名はアナスタシア・ノアール。冒険者をやっている。姓はあるが、貴族ではない」
「...............ま、まさかエルフ⁉︎」
フェイが驚愕に目を見開く。やっぱりか。the・エルフみたいな人だな〜って思ってたんだよ。今は髪に隠れて見えないが、耳が長く、先が尖っているのが先ほどチラと見えた。
「あの排他的な性格で有名なエルフが、どうしてこんなところに?」
「よく言われているが、それは一部の者だけだな。私はとある会合があってな。それに参加するため、この国にやって来たのだ」
ほーん。色々あんのね。
「じゃあ、本題に入りますけど、なんで俺に求婚したんです?」
正直俺に男としての魅力はないと思う。
顔ー平均以上イケメン未満
身長ー普通
運動ー普通
頭ー割りかし良い
性格ー人の気持ち考えられない
金ーたくさん
このステータスのどこに魅力を見つけろと............あれ?
なぁ、これ、結構良いステータスじゃない? 性格に目を瞑れば、結構な高ステータスだと思うんだけど。
性格が重要って言われたら終わるけどさ。
彼女ができてもおかしくないんじゃない?
「それはズバリ、君が強いからだ」
全スルー。
「先程の騒ぎを見せてもらったが、あの動きはなかなか出来るものではない。下手をすれば、ギルド最高クラスの私よりも強いかもしれない」
「おお、聖白金クラスなんですか。凄いですね」
「ん、いや............あ、いや、うん。そうだ。フフ、凄いだろう」
.....................?
言い淀んだ?
何かやましいことでもあるのだろうか。
「では、話を戻すぞ。エルフの家では結婚といったら男の方が婿になるのが一般的でな。それで私も婿を探しているのだが、私の家族が、エルフでは珍しくバトルジャンキーばかりでな。私より強い男でなければ認めんと言うのだ。そんなこと言われても私より強い男自体少ないし? だいたい私のタイプって守りたくなる系の顔だし? 強そうな男など興味がないのだ。しかし、君は素晴らしい! その目、その口、その鼻! それらが組み合わさって幼子のようなとても愛らしい顔になっている!」
おいやめろ。気にしてんだから。以前、同じクラスの女子に『スガくんってイケメンじゃないけど可愛い顔してるよね〜。ショタ顔だね〜』と言われた記憶がリフレインする。
ていうか、今サラッと聞こえた気がするんだけど、自分超強いみたいなこと言った?
「それでいてその顔からは想像できないようなあの強さ! 君なら家族も文句は言わないだろう。さぁ、私と愛を育もうではない.........」
「お断りします」
「なぜだ⁉︎」
「いや、なぜだじゃないでしょうに.........」
だいたい、俺別にあなたのこと好きじゃないですし。確かに美人だけど、もっと上知ってるからあんまりドキッとこないんだよね。
それにこの人アレだ。ショタコンだ。
残念美人だ。
だからなんだその.........やだ。
「クソゥ.........今度こそ婿ができたと思ったのに...............」
アナスタシアは不貞腐れて突っ伏してしまった。そうしていると残念感が凄いのでちょっとやめた方が.........。
「.........まぁ、いい。今回は諦めよう。では、えっと.........名前、教えてもらえるか?その子たちも.........」
名前も知らない男を口説いてたのかこのビッチが!
しかし、うん。言ってない俺も悪いな。
そう言うわけで自己紹介をした。3回目だ。
「ところで、スガたちの話を聞かせてはくれないか?」
しばらく話し込んでいたら、アナスタシアがそんなことを言ってきた。
そう言われてもな。
「いや、大した話も無いですけど、いいですか?」
そうして俺は話し始めた。もちろん、魔王のことや大陸侵略のことは伏せてある。
と言っても話すことなんて、泥蝙蝠とガトラのことだけなんだけどね。
泥蝙蝠を壊滅させたこと、ガトラを倒したこと、そしてその後用事があってサングレートにやってきたこと。
「ん? サングレートにはどうやってきたんだ?」
「ああ、それは転移魔法陣で.........あ」
あー、ヤッベ。転移魔法陣の事を口に出してしまった。フェイたちは『あっちゃー』とでも言いたそうな顔でこちらを見ている。
アナスタシアを見ると、目を見開いて俺を見つめていた。
「なんだ、君たちもそうなのか。成る程、だからあの強さ............。じゃあ、君たちがあの.........」
何か納得したご様子。いや、それよりも、『私も』だと? まさか............。
「言った相手が私で良かったな。危うくその地位から落とされるところだぞ」
...............やはりか。規律を知っていると言うことは、この人もそうなのだろう。
「改めて自己紹介だ。私はアナスタシア・ノアール。冒険者を生業としている。クラスは、神金剛石だ。」
この人が神金剛石の1人か。
神金剛石なら、ほとんどの人よりも強いのも頷ける。
どれくらい強いのだろうか。
そんな感じのが分かる能力があればいいのだが、この世界に『鑑定』みたいな能力はないらしい。
諦めるか.....................いや待てよ?
おい。ちょっと凄いこと思いついちゃったかもしれなくもなくもないぞ。
俺の能力はイメージを具現化させること。対象にはルイにあった時に発現させた暗視のように、物理的な実態がなくても生み出すことができる。
つまり。
つまりだ。
新しい魔法を作るのも、造作もないんじゃないか?
というか俺すでに小火弾やら小水弾やら造ってるから今更なんだけどさ。
鑑定も作れんじゃないの?
というわけで即作成。
イメージを膨らませる。むむむむ〜。
これを使うと対象の攻撃力(A)、防御力(G)、魔力(M)、体力(HP)が数値で表される。基準は、武器を持たない平均的な村人のステータスをオール100とする。
あとは、使える魔法、あるかわかんないけどスキル、装備、名前、種族、職業、その他なんか分かる事を表示する。
そんな感じでレッツ作成!
テッテレ〜! 鑑定!
さて、試しに使ってみよう。対象はアナスタシア。見て念じるだけで、勝手に魔力を吸い出して発動するようになっているので、超楽。
と思ったが、予想外にもってかれる魔力が多かった。俺の100分の1くらい。そう思うとクソみたいな量かもしれないが、俺の魔力は普通の人の何倍、もしかしたら何十倍もあるのだ。そう考えると、普通の人に使えるようなもんじゃねぇなこれ。
ちなみに、小火弾1発では、鑑定の100分の1くらいしかつかわない。
小火弾が結構な威力を誇ることを考えれば、かなりの消費魔力である。
多分、俺以外には使えないから別にいいけど。
アナスタシア・ノアール LV38
エルフ 冒険者
HP:2700
A:12400
G:7500
M:20300
《魔法》
・森魔法
・身体強化魔法
・水魔法
《装備》
・妖精の外套:A
・妖精の靴:A
・レイピア:B
《スキル》
無し
おお〜〜...............お?
.....................LV?




