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トイレの扉を開けたら異世界でした。ハズレ(?)スキル【家庭科】とチタン棒で、大陸最恐のポンコツ美女4人のオカンになります!?  作者: 月神世一


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EP 2

やかましすぎる魔法野菜の収穫祭

「よし。タロウマートの開店は明日だ。目玉商品になる『ポポロ村産・朝採れ魔法野菜』を、今日中に収穫して陳列するぞ!」

早朝のポポロ村の広大な畑。

俺は家庭科のエプロンをビシッと締め、麦わら帽子を被って四人のヒロインたちに号令をかけた。

「おおーっ! 大地の作ったスーパーに、私たちの野菜が並ぶのね!」

「契約農家の直売コーナー……中抜きされないから利益率が最高だわ……っ!」

キャルルが嬉しそうに飛び跳ね、ダイヤが電卓を叩きながら邪悪な笑みを浮かべている。

「じゃあ、まずはこの『人参マンドラ』からね! えいっ!」

ルナが善意100%の笑顔で、土から人参の葉っぱを引っこ抜いた。

「ギャァァァァァッ!!」

引っこ抜かれた人参が、突如としておっさんのような悲鳴を上げ、二股に分かれた根っこ(足)をバタバタと動かしてルナの手から逃げ出した。

「あっ、こら! 待てーっ!」

「ギャーッ! 食ワレテタマルカーッ!」

「おい馬鹿! 人参マンドラは引っこ抜く時にストレスをかけると、逃げ回って糖度が落ちるんだよ!!」

俺の怒号が飛ぶ。

村の畑を猛スピードで逃走する人参マンドラ。キャルルが「マッハで捕まえるわ!」と追いかけようとするが、それだと人参が粉砕されてジュースになってしまう。

俺はため息をつき、腰を落とした。

無双流・護身棒術の足さばき。それを『収穫』に応用する。

「よく見ておけ。収穫はスピードと『間合い』だ。野菜に『抜かれた』と気づかせるな」

俺は畑のうねを滑るように進み、ターゲットの人参マンドラにスッと手を伸ばした。

土の抵抗、根の張り具合を指先で瞬時に読み取り、香取神道流の鋭い『引き』の動作で、真上へとスポンッ!と抜き放つ。

「……?」

人参マンドラは悲鳴を上げる暇もなく、俺の手の中でポカンとした顔(?)のまま、大人しく箱に収まった。

気づかれないまま収穫されたため、ストレスゼロ。糖度MAXの極上品だ。

「す、凄い……剣の達人の『居合い』みたいな大根引き……!」

「農業を舐めるな。次、そっちのキャベツいくぞ」

俺が指差した先では、ダイヤが巨大なキャベツを収穫しようとナイフを構えていた。

「待って! 斬らないで!! 私、すっごいネタ持ってるの!」

「えっ!?」

ダイヤが驚いてナイフを止める。

なんと、キャベツが人間の顔のような模様を浮かべ、ベラベラと喋り出したのだ。これがポポロ村名物『ネタキャベツ』である。

「ルナミス帝国の内務省のオルウェル局長! あいつ、冷徹な顔して実は『クマさん柄のトランクス』穿いてるのよ! ホントよ! だから命だけは——」

「ダイヤ! 惑わされるな、斬れ!!」

「え、えいっ!」

ザシュッ!

ダイヤのナイフがキャベツの芯を的確に切り落とした。

俺は切り口を確認し、満足げに頷く。

「よし。喋るのが長引くと水分が飛んで鮮度が落ちる。だが、今のネタキャベツはかなり強烈なゴシップ(三面記事級)を持っていた。ネタがエグいほど葉が柔らかくて美味いんだ。こいつは特売品にできるぞ」

「……異世界の野菜、情報量が多すぎるわね……」

ダイヤがクマさん柄のトランクスを想像してしまったのか、微妙な顔でキャベツを箱に詰めた。

「大地さーん! こっちのタマネギ、全然抜けませーん!」

少し離れた場所で、リーザが土に埋まったタマネギを引っ張って四苦八苦していた。

「どれどれ……ああ、こいつらは『玉んねぎ』だな」

俺が近づいて土を少し掘り返すと、タマネギたちが土の中で、どこから拾ってきたのか『際どい表紙のグラビア雑誌(エロ本)』を広げて回し読みしていた。

「たまんねーなオイ!」

「この曲線美、俺の薄皮よりセクシーだぜ!」

「…………」

俺は無言で、タマネギたちの前からエロ本をバサッと取り上げた。

「ああっ!? 俺たちの聖書バイブルがぁぁぁ!!」

タマネギたちが絶望の叫びを上げた直後——彼らの顔から一切の感情が消え去り、白く透き通るような神聖なオーラを放ち始めた。

『……あぁ。この世の全ては虚無……我らはただの土くれ……。さぁ、我が身を美味しくお食べなさい……』

「よし。エロ本を没収されて『賢者モード』に入ったな。こうなるとタマネギ特有の辛味が消え、究極の甘味と旨味だけが残るんだ」

俺が淡々と説明しながら賢者モードのタマネギを箱に詰めていると、背後でリーザが、俺の没収したエロ本をコソコソと回収していた。

「へへへ……この本、古本屋に持っていけば銅貨三枚にはなるわ……これも立派なタダ活……」

「リーザ。お前はアイドルだろ、教育に悪いからそれは燃えるゴミに出せ」

俺はチタン棒でリーザの頭を軽くポクッと叩き、本を没収した。

***

そんなカオスな収穫作業を夕方まで続け、俺たちは見事、タロウマートの生鮮コーナーを色とりどりの極上魔法野菜で埋め尽くすことに成功した。

「ふぅ……完璧だ。これなら明日のグランドオープン、客が殺到するぞ」

俺が満足げに腕組みをしていると、店内に張り出された『明日の目玉商品』のチラシの前で、リーザがピタッと足を止めた。

「…………」

「ん? どうしたリーザ?」

キャルルが声をかけるが、リーザは答えない。

彼女の視線は、チラシの一点——『オープン記念! 赤木農園の特製もやし、お一人様1パック限定・半額!』の文字に釘付けになっていた。

ゴゴゴゴゴゴォォォォッ……!!

「え……?」

突如、リーザの体から、目に見えるほどの凄まじい『闘気オーラ』が立ち昇り始めた。

パンの耳と雑草で生き抜いてきた彼女の、貧乏神としての本能。

『半額』という言葉が、彼女の中の生存本能(タダ活魂)に火をつけたのだ。

「明日の……もやしは……誰にも、渡さない……っ!!」

ギリィッ!と歯を食いしばるリーザから放たれるオーラは、先日、俺が死蟲王機を粉砕した時の『龍の気迫』に勝るとも劣らない、純粋で絶対的な『飢えた獣の殺気』だった。

「ひぃっ!? な、何この恐ろしいプレッシャー!?」

「リーザちゃんから、魔王級の殺気が……っ!?」

キャルルとルナが震え上がり、俺も思わず冷や汗を流した。

(ただのスーパーの開店前夜だぞ……なんでこいつ、明日世界が滅ぶみたいな顔してんだ……?)

この時、俺たちは知る由もなかった。

リーザから放たれたこの『半額もやしへの異常な執念オーラ』が、遠く離れた天魔窟の奥底にまで届き——魔人ギアンに致命的な勘違いを引き起こすことになろうとは。

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