16 初恋の物語
最終話!!
今日はルート様の卒業式。
ルート様は最終学年まで首席を貫き、生徒会長として、式典では代表挨拶をした。
在学中は【金城の君】という二つ名まであるんだとか。
何でも、完璧な鉄壁な守りで、周りの女子を寄せ付けず、難攻不落な為につけられた名前らしい…。
2年間、ルート様はずっと私に誠実であることを示し続けてくれた。
ずっと私のことが大切なのだと言い続けてくれていた。
――こんなに想われてて、好きにならないはずないじゃない。
今は、これから卒業パーティーがあるため、私は控室でルート様が来るのを待っている。
今日のドレスは、ルート様の金髪と私の白銀を連想させるようにオーダーされている。
本日をもって、卒業とともにルート様と婚約する。
ルート様は2年も待ったんだから、婚約じゃなくて、婚姻がいいって伯爵夫妻を困らせたみたいだけど、「マリンに最高の結婚式を贈りたくないの?」ってサーヤが言うと、1年間の婚約期間という婚姻準備期間が設けられた。
婚約期間がない婚礼なんて、貴族の中で前代未聞のため、ルート様が納得してくれて本当に良かったわ〜と伯爵夫人が愚痴を漏らしていた。
私の方は、伯爵家に嫁ぐにあたり必要な教養や知識は、既に侍女としての勉強の中に、伯爵家に必要な学びとして、初めから組み込まれていたらしく…既に習得済みだと言われたのにはビックリした。
「いつから……?」って聞いたら、「住み込み侍女の話が上がった時には決まってたよ」ってルート様に言われ……!!それは、私の卒業前からってことだわっ!!って驚いた。
「俺の初恋はマリン嬢だって、家族全員知ってたからね」と笑うルート様を軽く睨むも、「その顔も可愛い」と言われて、何て返せばいいのか…また顔が火照ってしまった。
私の婚約解消後、すぐからなんて……。
そう言えば、ダンは今は炭鉱で働いているらしい。
王都騎士団に入団出来なかった事で、リリアン嬢の伯爵家から詐欺師だと訴えられ、裁判にかけられ、慰謝料を請求されたが、ダンの実家からの援助はなく、支払いできずに炭鉱送りになったらしい…。
父からの手紙で知った。
そんな事を思い出していたら、前方から早足でルート様が近づいてくるのが見えた!
「ルート様!」
分かりやすいように、軽く胸の前で手を振る。
ルート様は私を見つけるや否や、俊敏に駆けつけてきた。そして私の目の前まで来ると、目をカッっと見開いて動かなくなった。
「マリン嬢!!……、き、き、き……」
「???き???」
「き、綺麗すぎて!!っっ駄目だっ!こんな君を他の奴に見せるのは勿体ないっ!そうだ!このまま帰ってしまおう!」
そう言って、私を出口に連れ出そうとするので、なんとか押しとどめようと慌てて声をかける。
「えっ、ル、ルート様!ダメですよ!パーティーにでないと!生徒会長でしょ?」
「そうですが……、こんなに素敵なマリン嬢が、他の男の視野に入ってしまうのが許せそうにないんだけど…」
ムスっとした顔が、少し可愛い感じで、思わずクスクスっと笑いが溢れる。
「今日は私を婚約者として紹介してくれるんでしょ?楽しみにしてたんですよ?」
「〜〜〜〜ーっ!!分かりました!…嫌だけど、パーティーに行きましょう。その代わりに、マリン嬢は俺から離れないで下さいね。何があっても、一緒にいると約束してください」
「ええ、勿論。何があってもルート様と一緒に居て、離れないと誓うわ」
ふふっと嬉しそうにルート様が笑う。
「まるで、婚姻の誓いの言葉みたいですね」
コテンと首を傾げ、意味ありげに私を覗き込んでくる姿に、翻弄されてる。なんか悔しぃ!!
「なっ!…〜〜!!」
「あはっ、真っ赤になって照れる顔も可愛いなぁ〜。やっぱり誰にも見せずに帰ろうかな……」
また出口にキビ返そうとするので、今度はルート様の腕をギューっと抱きしめるようにして、会場まで引っ張って連れていく。
「〜〜っっ!もう!ダメですよ!ほらっ!行きましょう」
私だって浮かれてるのだ。ルート様と婚約出来ることを嬉しいって思っている。
まだルート様みたいに、恥ずかしくて「好き」とは直接伝えられてないけれど、それは、…追々ってことで!
そして、2人は素敵なパーティーを過ごし、無事に婚約者としてお披露目したのであった。
婚約してからも、ルート様の甘々モードは変わらなかった。
弟キャラであり、ツンデレキャラでもあり、容姿端麗、運動神経も抜群、頭脳明晰、それでいて誠実で一途である。
サーヤから借りた本の中には、色んな男性が出てきていたけれど、どんなキャクターよりも、ルート様にキュンキュンする毎日。
私の初恋は終わったはずですが、【ルート様の初恋物語】は、ハッピーエンドに向かって、まだまだ続いてく。
これからもずっと彼の隣で、彼と一緒に、初恋の物語を紡いでいく。
お読み頂きありがとう御座います。
もし良かったら☆で評価して貰えたら嬉しいです。




