GAME22 運命の数
女教師中村の『アタック』が実行される寸前に割り込んだフリーター鈴木の『コール』。
何の情報も無い中、中村の『運命の数』を当てなければ死ぬ。
「鈴木さん……」
保育士佐藤がその状況を見守る中。
「…………」
鈴木は頭脳をフル回転させていた。
考えろ、考えるんだ。やつの『運命の数』を。
『運命の数』は1~10まであるが確率は10分の1ではない。
ナンバーが被って存在することは無い。
つまりここまでに分かっているナンバー、僕の1、警察官高橋の2、プログラマー田中の3、キャバ嬢渡辺の5、女格闘家山本の6であることは無い。
残るは4、7、8、9、10。
中村のナンバーはこの内のどれか。
20%。命を賭けるには低すぎる確率だ。
『コールが実行されました。対象のプレイヤーの『運命の数』を宣言してください』
もう一度端末から電子音が流れる。僕が中々宣言しないため、催促しているのだろう。
「いつタイムアップになるのかしら? ルールには書いてなかったわね」
自分の命がかかっているというのに中村は余裕の表情だ。
僕が当てられるわけ無いと思っているのだろう。
まあでも実際これ以上の情報は無い。
質問やブラフで情報を引き出すか……? いやそんなの通じる相手ではないだろう。
くそっ……フラフラしてきた。
鈴木はこの二日、最低限の物しか飲み食いしていない。現在地は食堂だが注文した物が出てくる前にこの状況になったため何も食べれていない。
さらに命のかかった状況。極限に極限のかかった状況に鈴木は破綻寸前の状況だ。
『コールが実行されました。対象のプレイヤーの『運命の数』を宣言してください』
『カウントダウンを行います。時間内に宣言してください。宣言が無い場合、失敗扱いとなります』
ついには端末から最終通知が流れ始める。
「あらあら。ほらあなたの命のカウントダウンよ」
中村は愉快そうだ。
クソが……うるせえよ。
『運命の数』なんて分かるわけねーだろ。どうやって当てろってんだ。
どうして僕の命がこんな数字に支配されなければいけないんだ。
おかしいだろ。
大体どうして僕の数字は1なんだ。
『アタック』は数字の大小を比べる。大きい方がどう考えても有利じゃねえか。不公平すぎる。
こんなデスゲーム運営に適当に配られた数字なんかが運命なわけない。
何が『運命の数』だ。そんな大層な名前を付けるような――――。
「配られた……?」
いや、そんなことはない。
【プレイヤーはそれぞれ『運命の数』を持つ】
ルールにも『持つ』としか書いていない。
どうしてだ? 『運命の数』は運営から与えられた。だからランダムだろうと作為だろうとそこに意図は無いと思っていた。
でもそれが違うとしたら?
プレイヤーたちが持つ何らかの数字が『運命の数』として端末に表示されているだけだとしたら。
『10、9、8、7、6、5……』
端末によるカウントダウンが始まる。
だがそれにも構わず鈴木は思考を回す。
年齢順や名前順などではない。
『4』
僕のナンバーが1である理由。
『3』
……いやそれだけじゃない。
警察官高橋の2、プログラマー田中の3、キャバ嬢渡辺の5、女格闘家山本の6である理由。
『2』
僕なら紐解けるはずだ。
悪人ノートを読み込んできた僕なら。
『1』
『運命の数』の法則。
それに当てはめると中村のナンバーは――。
「女教師中村、おまえの『運命の数』は『7』だ」
「……………………………………………………は?」
中村の口からそんな間の抜けた声が漏れた。
鈴木の宣言は『7』。
中村の『運命の数』は――――『7』だ。
『コール成功、コール成功』
「そ、そんなあり得るはずが無いわよ!! 私の『運命の数』が分かるわけが……んぎぃっ!?」
ヒステリックな叫びを上げる中、早速首輪が始動する。
「なんで、なんで、なんで、なんで、なんで……どうして、どうして、どうして、どうして、どうして……!!」
地面をのたうち回りながら疑問の声を叫び続ける中村。
「……教師様にも分からないことがあるんだな」
鈴木がボソリと呟く中、中村は絶命した。
「どうして……どうしてこんなことが……」
保育士の佐藤はたった今、目の前で命が失われたことを憂う。
「どうして……分かったのか? そんなの簡単なことですよ」
ただ、意識が朦朧としている鈴木はその言葉を違う意味で捉えたようだった。
「『運命の数』は運命を司っている。
運命とは何か? 『人の生き死に』です。
つまり……『運命の数』はその人がこれまでの人生で直接、間接含めて殺した人の数なんです」
「え……?」
「警察官の高橋は2人をパワハラで殺して、プログラマー田中は有名人3人を炎上でこの世から追いやり、キャバ嬢渡辺は5人の弱者男性から命をも搾取して、女格闘家山本は6人も殺った。
女教師中村がこれまでイジメで自殺に追い込んだのは7人。だから『運命の数』も『7』」
「そ、そんなに…………」
「そして僕の『運命の数』が『1』なのは…………僕が探偵だった姉を殺したからで」
「……え?」
「佐藤さん…………あなたの『運命の数』は『0』なんですね」
「そ、それは…………って鈴木さん!?」
無理が祟ったのだろう。
うわごとのように呟きながら、鈴木はその場に倒れて意識を失うのだった。




