㉑ツナマヨサンドイッチ……
いろいろな謎が次々に噴出して、王都の女神教会の司祭や、魔術協会のお偉い人がこぞってやってくるせいもあって、辺境伯夫妻も双子と一緒に対応に追われている。
学園入学前の令息令嬢は未成年扱いなので、保護者の同席はどうしても必要だった。
館が全焼した原因の炎が、精霊の力をもってしてもなぜ消えなかったのか、その謎が解明されればいいのだけれど。
「【魔力感知】でしか見えないように扉を隠したのは、行方知れずになった下働きじゃないかな。扉を閉めたのも多分そいつだ。侯爵の館だったときから主に仕えていたんだろう。あの館の元の持ち主は悪魔を飼いつつ人身売買で大儲けしていた侯爵だったからね」
王子が最後の一つだったツナマヨサンドイッチを口にする。メリルが残念そうにそれを見ているのには気付かずに。
「ツナマヨサンドイッチもっとないかなあ?」
メリルが諦めきれずにメイドに尋ねている。
「先程ので最後でした。申し訳ございません」
王子がハッとして、さっきまでツナマヨサンドイッチをつまんでいた自分の指をじっと見た。
ウィルフレッドは二人を交互に見ながら、三段目に追加で載せられたタルトを指さして、ソルに自分の皿に載せてもらっている。
"王子ってば、マイナス評価~"
"やっちまったな!"
「カーラが言ってた。いろんな悪魔がヒトの国に流れ込んだって。あの悪魔もそうだったんだね」
「女神の加護のことを知らなかったのが悪魔にとって致命的だった。倒せて良かったよ。あの悪魔がこの国の民の加護のことを知らなかったのは意外だったな」
王子は自らが鑑定した悪魔のスキルを思い浮かべた。
ヒトの【スキルツリー】とは表示が多少違ってはいたが、同じようなスキルが同じ概念で表示されていたことを不思議に思う。
それは即ち女神とヒトと悪魔との間には何らかの関連性があるということで──
(それに……Lv10 MAXが単なる始まりに過ぎない、ということも……)
悪魔のスキルには【極大闇魔法 Lv5】とあったのだ……
どうしたらその高みにいけるのか、現状では謎が多すぎる──
何よりも、自らの魔力量不足のせいで危機に陥ったことを王子は忘れていない。
だから、この先どういう行動を取るかはもう手を打った──もちろんメリルも一緒だ。
(学園に入学したら……今までよりも、もっとずっと一緒だよメリル……)
王子がひそかに口角を上げたのを、メリルは知らない。
今回の事件は序章に過ぎなくて、いずれ国全体を巻き込む大事件に発展することになるのだけれど、とりあえず今日もアクアオッジ家は平和です。
おしまい♪
……と見せかけて──続く




