表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『辺境伯一家の領地繁栄記』第二章:スキル育成記~最強双子、成長中~  作者: 鈴白理人
今日もアクアオッジ家は平和です

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/34

⑯【従属契約の主】に敗北するメリル

 絵が正位置に戻り、しばしの沈黙──


 


 やがてみんなが見つめる中、絵がほのかに光り出した。扉が光ったときと同じ光だ。

 精霊たちが物も言えずにスーっと消えていく……


 ソルと王子には元々見えていないし、声も聞こえない彼らだけれど、メリルとウィルはその様子に覚えがあってぎょっとした。

(これは……精霊たちが『気に当てられる』って言ってたやつだ……)

 精霊が姿を保っていられないほど、相手の存在がすごいってことなの? ……まあ、姿は確かに色々すごいのは間違いないけれど──


 絵がゆらりと揺らぎ、バニー姿の男がぬるりと顔を突き出す。

 キョロキョロと目だけを動かし、上下左右を見回したあと、首をコキコキと鳴らし、手を額縁にかけた。

 タイツを履いた脚でガニマタ気味に「うんせ」と跨ぎ、ゆっくりと絵の中から出てくる──


(ずっと逆さまになってたんなら、首も凝るか……)

 みんながそう思いつつ隠れながら、男のなめらかな動きに呆然としていると、バニーが目だけを左右に動かしながら、くつくつと喉を鳴らした。どうやら笑っているらしい。


"隠れても無駄よぉ? 出てらっしゃい。お・見・通し・よ"


 バレてーら。

 仕方ないのでみんなソファの陰から立ち上がると、男は嬉しそうにニタっと笑った。


"んまっ。何て綺麗なカワイ子ちゃんたちなぁ~んでしょ。……これは是非()()()()()()()()()……キヒヒ……ッ"


 最後の声は、金属が軋んだような耳障りな音で、その異様さにぞくっとする。


「その口調……その服……自分の好みで着てたのかあ」

 

 メリルの言葉を見事に無視して、男がソルをまじまじと見ながら目を見開いた。

"……あら? この子……アタシが一度契約した子じゃない……なんで解除されてんのよ……"


 ぶわっとソルから怒りのオーラが立ち昇った。


 やっぱり、コイツが──

 我を忘れて攻撃に転じようとしたが、メリルの存在がソルにとっては何よりも大きかったので、衝動を抑え込む。

「気を付けて下さいお嬢様! コイツは相手の意識が無くても一方的に従属契約出来るんです!」


 従属契約と聞いて、メリルは真っ先にソルにかけられていた呪いを思い出した。

「従属契約……? お前が、ソルを!?」


 無理矢理そんな呪いをかけられて、暗殺者として使われて、どんなに、どんなにソルが傷ついたと思っているの!?


 許せない……


"ああ、そんな名前だったっけ? ……まあイイわ。掴めばすぐに分かるし……二度と逆らえないように、アタシ好みに育ててあげるからぁ♪"


 それを聞いたメリルの中で、どこかがプチっとキレた。


「違う! 乗っちゃダメですお嬢様! それがコイツらのやり方なんです!」



 誰にも止められない怒りで、メリルは暗闇の中、男の声のするほうに近づこうとする。

 原初の闇を感じる恐ろしい気に足が竦んでいたのだが、怒りがそれを上回った。


 薄っすらとオーラが立ち昇り、彼女の体を包み込んでいく。

 体の周りでバチバチと火花が飛び散り、鋭い光の放電が眩しく弾けて何度も消えた。


 メリルが放とうとしている魔法は──


 【雷魔法 Lv10 MAX】


 おそらく、昔読んだ神話の絵本にあった、天罰の雷を想像したからだろう。


 歩きながら魔法を打ち出そうとして、手のひらから魔法の光が零れる──




 ……だが、今回の相手はただの人間ではなかった。


"……ふぅん。それなりに力があるのねアンタ……でもまだまだね。その程度のツラでしゃしゃり出てくるなんて……女は引っ込んでなさいよ。アタシはそっちのオトコノコたちに用があるの!"


 男の瘴気のような魔力がぶわっと巻き上がり、メリルに襲い掛かった。

 神々しいまでのオーラが途端に消失し、光が闇に覆われ消えてしまうと、全身が魔力の塊に叩き付けられる。


「きゃあっ!」

「メリル……っ!!」


(くっ……防壁で防がなきゃ!)

【光魔法 Lv10 MAX】!


 メリルが光魔法で咄嗟に展開した防壁は、敵の魔力に触れた瞬間、金色のひび割れを起こし、音もなく砕け散った。まるで闇が光を侵食したかのように……

 

 メリルはその衝撃で吹っ飛んで、勢いよく壁に打ち付けられてしまい動かなくなった。



 再び部屋を闇が支配する──


 その様子を見て変態……いや男はニヤリとする。

"……キヒヒッ。その程度の光なんかアタシの闇で舐めとって終わり、よ"


"……そう。この女メリルって言うの……心配そうな声を出しても飛び出してこないのね……『まとも』だわ。ホントはもうちょっと壊れてるほうが好みなのよねぇ……♪ この女を完全に壊してやったら、どんな顔になるのかしら──"

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ