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三話 お迎えに上がりました!


「うまー」


 日が沈んで窓から月が覗き込む時間。私はルー姉の手料理を楽しんでいた。

 やっぱりルー姉の作る御飯はおいしいなり。

 シチューを頬張る私を見ながらルー姉は満足そうな顔をしている。

 全く、天職が『遊び人』の人は趣味が上達しやすいと聞くけど、ホントにルー姉は料理が得意だよね……

 

 もぐもぐ、うまいなり。


 と、ルー姉の手料理に舌鼓してると、突然家の玄関先にそれなりの大人数の足音が聞こえてきた。

 余りにも仰々しい程の人数が居るであろう足音だ。

 何事かな……?


「……ん?」

「ありゃ?こんな時間に来客?珍しいね」

「でも、足音から考えてウチじゃないでしょ。放置放置」


 どうせお隣さんだろう…… あんな大人数が押し掛けて来る様なご用事がある家ではない。

 私の言葉にルー姉も「そらそうよねー」と言いながら笑っていたが、


 ピーン…… ポーン……


 と、家のインターホンがなったことで私とルー姉は二人して黙ってしまった。


「……わっつ?」

「おっかしいなー? さっき家のインターホンが鳴った気がするんだけど……」

「……気のせいじゃない?」


 そんな事を言うが、私だってさっき家のインターホンが鳴ったのはわかる……

 正直怖すぎて玄関開けたくない。

 だって、尋常じゃない量の足音が玄関先から聞こえてくるんだよ?

 誰だってビビる。私だってビビる。


「……一応私が見てくるね!」

「……大丈夫なの?」

「……多分」


 そう言って玄関先に向かうルー姉を目で追う。

 ルー姉に何かあった時、私は見ているだけなのは嫌なので一緒についていこう。


「一緒に行くよ」


 そう言って私も立ち上がり、二人して玄関に向かい、玄関の覗き窓から様子をうかがってみると、どう見てもおかしな人たちばかりだ。

 見えるだけでも黒服のボディーガードに、紳士服の人、それにメイド服の女性…… チラチラと兵士らしき姿も見える。


「……何が見えるの?」


 後ろからルー姉が私に聞いてくるので、正直に答えよう。


「黒服の屈強そうな男の人複数、紳士服な出で立ちの数人、メイド服の女の人多数、あとはガチ装備の兵士が視界に見える」

「えぇ……」

「これ開けて大丈夫なのかな……?」


 私ら姉妹の自宅には絶対に御用でない方達だ。きっと訪問する家を間違えていると思われる。

 

「きっと訪問先の間違いだろうから、とりあえず……私が開けるね?念のためメリアは後ろに居て……」


 まあ、私は格闘技も何もできないので素直にルー姉の後ろに行き、ルー姉は私が後ろに回ったのを確認した後、ゆっくりと玄関扉を開けた。

 

「あの…… どちら様ですか?」


 玄関から見えるだけでも分かる程の異様な光景。

 完全武装の兵士が玄関の外を警戒し、玄関の両脇には見慣れないメイド服の美しい女性がスカートの裾をつかみ上げて礼をしている。

 そんな光景に気迫されてたじろぐルー姉は悪くない。

 

「夜分に大所帯ですみません。ここに皇帝メリア様はご在宅でしょうか?」

「え……?メリアになんの用ですか……?」


 玄関先のスーツ姿の男性の口から急に出た私の名前にルー姉は驚いている。そんなルー姉を廊下の影から見守るしかない私。

 てか、あの大所帯は私に用があるん?皇帝メリア様って…… 私いつからそんな偉くなったん?

 あ…… そういや私の天職は『皇帝』やったな…… ようわからんけど、とりあえず皇帝って職業は指導者する仕事なんは何となく察したわ。

 

「ああ!すみません!私、世界帝国皇宮省のササモトと申します。どうぞよしなに」

「世界……帝国……?」


 世界帝国。

 その言葉をこの場で聞くとは思わなかった。

 世界帝国とは、世界中に存在する国家を隷属させ、文字道理に世界を牛耳る帝国だ。

 別名は世界政府。

 この世界帝国は神が人々に作るように指示した、この世界の世界規模での社会主義の中央権力でもある。

 すべての国々の税は世界帝国に全額回収され、そして全ての国々に再分配されるなど、その権力は絶対だ。

 最初は世界帝国の存在を知った時、この世界は世界帝国が運営する連邦世界かと思ったほどだ。

 実際に色々調べた結果、連邦世界どころか世界帝国による中央集権世界だったけど。


「世界帝国……」


 ササモトと名乗った男から名刺を受け取るルー姉。

 そんな普通に暮らしていれば、まず会うことも無いような世界帝国の政府役人が自分の妹に会いに来たという事実に困惑しているご様子。


「ところで、皇帝メリア様はどちらに?」

「……ああ、ちょっとまってもらえますか?」


 ササモトに催促されたルー姉はどうしたら良いのか分からず、私の方を向いてきた。


「えっと、メリアのお客様らしい…… よ?」

「……聞いてた」


 うーん。

 とりあえず、ルー姉の近くに行くか。

 そう判断して、ルー姉に向かって歩き、横に並んだ。


「えっと、私がメリアです……」

「おお!貴女様が皇帝メリア様でしょうか!?」

「確かに私はメリアで、天職は皇帝ですけど……」


 私がそう言うと、外を警戒している兵士以外の人々が私に跪く。

 

「我らが世界を統べる皇帝陛下。我らは今をもって即位されたのを確認しました」


 あ、皇帝ってそういう……

 今更理解した。


「天職の皇帝って、世界帝国の皇帝になるって事か。なるほどなるほど……」

 

 ま じ で ?


 



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