二話 我が家に帰宅
「ただいまー……」
団地の一室、2LDKの無駄に広い我が家の扉を開きながら帰宅の言葉を言う私。
玄関で靴を脱いで廊下を歩きリビングの扉を開く。
「あー、お帰り!どうだった?」
「ただいま。ルー姉」
リビングでテレビを見ていた姉貴こと、ルー姉は私を見るや否や天職の結果を聞いてくる。
「わかんない」
「わかんない?」
私の返答に疑問符を見せるルー姉。
まあ、普通は天職の結果を聞いて『わからない』なんて言葉が返ってくる事はないからね……
ちなみに姉貴の天職は『遊び人』で、一言で言うなら『自宅警備員』だ。
え?ニートだろって? まあ、そうともいう。
私の『わかんない』発言の意味がわらないと言う顔をしているルー姉。
「神官の人が『見たことも聞いたことも無い職業だー』ってさ」
神官が見たことも聞いたことも無い職業と聞いて、ルー姉はキラキラした瞳で私を見てくる。
「神官が知らない未知の職業!? 何それ!? おねーちゃん凄い妹を授かって嬉しいよ!」
興奮気味なルー姉を尻目にキッチンへ向かい、冷蔵庫から麦茶を取り出しコップに注ぐ。
往復一キロの長旅で疲れてる私の様子なんて気にも留めずにキッチンについてくるルー姉を見る限り、私の天職に興味深々といった感じか。
「ねぇねぇ、その未知の職業は何て言うの?」
「『皇帝』だってさ。ルー姉は知ってる?」
「何それ!?マジの未知の職業じゃん!」
興味深々と言った感じで聞いてくるルー姉。
無駄な知識が多いルー姉なら何か知ってるかなと皇帝について聞いてみたが、やっぱり知らないみたい。
毎日をネットとテレビとゲームで時間を費やしてるルー姉でも分からないとなると、ホントにこの世界の職業としての皇帝がわからない。
「その皇帝って、職種的にはどんなタイプなのかな?商売職なのかな?」
ルー姉の言う『職種』とは、文字道理に天職の職種だ。
大まかに、商売関係の『商売職』
製造や加工の『生産職』
狩りや採掘の『採取職』
地域の治安や行政の仕事の『管理職』
そして、政治や統治を仕事とする『権力職』の五つ。
この『商売職』『生産職』『採取職』『管理職』『権力職』の五つを五大職種と言うらしい。
ちなみにルー姉の『遊び人』は『管理職』なんだよね…… なんで?と思うけど、偉い人曰く、経済を一方的に回すのが仕事らしい。
人生勝ち組とはこのことやな。
「神官の人曰く、スキルの名前から察するに『権力職』じゃないかってさ」
「うっそ!?権力職!?それホントならメリアは政治家になるって事だよね!?お高くなっちゃってー!」
「茶化さないでよ…… 後日、調べて詳細を教えてくれるってさ」
茶化してくるルー姉にそう言いながら、麦茶を飲む。
権力職か……
この世界にも国家と言う枠組みは一応存在しているが、どの国家の政治も一言でいうなら、議会制民主主義に化けている封建制の選挙がある貴族院政治だ。
どういう事かと言うと、そもそも政治は権力職の者しかできないので、完全な民主主義ができないのだ。
この世界の花屋は、天職が花屋の人しか仕事しかできない。それと同じで、政治は政治を天職とする人しかできない世界なのだ。
花屋の人が政治にかかわりたくても直接かかわる事が出来ないので、この世界では民主主義は無い。
だからこそ、この世界は議会政治を取っている国が多い。
人数定数が決まった議会で、なるべく公平性が高い選挙により政治が回っている。
花屋は花屋の為に政治をしてくれる政治家に投票したり献金したりするため、この世界の政治家はマニュフェスト製作が重要なのだ。
「でも、権力職だけど『議員』じゃなくて『皇帝』なんだよねー」
この世界の政治を一から十を知っているわけではないので、国王や大統領と言ったリーダーが存在するのは知っていても、国のトップの政治体制を知らないんだよね……
聞いた話では、国王や大統領も天職らしいけど。
「メリアったら、また何か考えこんじゃって……」
考え事をしている間にルー姉が近くに来ていたようだ。
どうしたんだろ?
「あぁ……どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ。ごはん出来たよ」
「ああ、ごめんごめん!」
なんと、ルー姉が晩御飯を作ってくれてたというのに、気が付かなかった。
今日の晩御飯は何かなー。




