一話 私の天職は皇帝です。
あっぷします。執筆時に一人称をコロコロ変えてるので、一人称が違ったら教えてちょんまげ。
けたたましくアラートを鳴らすスマホに起こされたと思ったら、北のカリアゲ君の核兵器で無事蒸発して見事に異世界転生する事になったのが凡そ十二年前。
厨二設定よろしく両親が居ない家庭に転生し、姉貴と一緒に平穏無事に暮らしながら見事、絶世の美少女に成長しました。
所で、この世界の労働はビックリ仰天なあり方ぞ。
この世界では十二歳になったら神様から自分の天職を与えられ、死ぬまで天職を全うしないといけないと言うレーニンさんやマルクスさんもビックリするであろうレベルの神様主導の世界規模で社会主義の世界なんだ。
つまり…… 私、今から天職を貰います。
私の前に並ぶピチピチの十二歳のキッズ共の背中を眺めながら、神殿の中に響き渡る仕事を割り振られたキッズ達の阿鼻叫喚に耳を傾ける。
「マジかよ…… 庭師って…… もっとかっこいいのがいい!」
「いや、お前昔から『草木から声が聞こえる』とか言ってたじゃんww」
「実際聞こえるんだから仕方ないだろ!」
ふむ、あの丸坊主キッズが庭師になるんか…… どう見てもイキりキッズの風貌の少年でさえも、あんな風に現実を突きつけられるのか…… つらい世界だ……
お?あっちは百合系女子キッズだ。
「ネルちゃんどうしよう!私こんな仕事できないよー!」
「私より絶対マシだろうから一応聞くけど、何だったの?」
「狩人だよ!絶対むりだよー!」
「あらら…… ツラい仕事だろうけど、正直うらやましいわ……」
「ネルちゃんは?」
「……風俗嬢よ」
「……ごめん」
「いいの……」
マジか…… 水商売もここで割り振られるんか……
私、自分で言うのもなんだけど、絶世の美少女やからあり得るやんけ!
まじで怖くなってきた…… 実際、さっきの百合系女子キッズ共の会話を聞いてたうら若き乙女キッズ勢達は、みんな顔を真っ青にしながらうわ言の様に『神よ…… 神よ……』と祈り言葉をつぶやいてる。
周りの十二歳キッズ達の阿鼻叫喚を聞いてるうちに、とうとう私の番が来てもうた様だ……
「では、今から貴女は天職を授かります。では、天職の間に入りなさい」
神官が天職の間の扉を開けて、有無を言わさず私を中に押し込む。後ろで前のキッズの扱いを見てたから私はこける事はなかったけど、ちょっと乱暴すぎやしませんかね?
天職の間の中は二メートル程の石板を中心に青白い光に包まれていて神聖な雰囲気が漂っていたが、儀式の為の神官は皆デブでキモメンのオッサンばかりなせいで雰囲気ぶち壊しだった。
てか、薄い同人誌ならこの後の展開は『あなたは…… ビ〇チです!』『ファ!?』『では、最初の仕事をしてもらいましょう!』『ンホォ!! アヘェ……(ダブルピース)』にしかならないと思うんですが……
やばい、まじで逃げたい……
「中央の石板の前に行きなさい」
言われるがままに石板の前に立つ。
神官のオッサン共は何かしらの祈りの言葉を唱えだす。
長い祈りの言葉の末やっと終盤かなと思われるフレーズが多くなっていき、そして――
「――我らが神よ!この者に天職を与え給え!」
神官の言葉と同時に、私を中心に青白い光が眩く発光する。
光が収まると、私の目の前の石板には青白く光る文字が浮かび上がっていた。
どれどれ……
『名前:メリア』
『性別:女』
『天職:皇帝』
『スキル:不老・絶世の美貌・絶世の風格・絶対支配・絶対権威・絶対搾取・ワールドクリエイト』
ふむ…… 皇帝とな?所謂エンペラーってやつ?
皇帝って、どんなお仕事するの?
今一分からないので、神官の方達に注目する。
「皇帝?皇帝ってなんだ?」
「見たこと無いな…… スキルもしらない物ばかりだ……」
「おそらく権力職だとはおもうんだが…… わからないな……」
まあ…… 確かに私の知識通りの皇帝なら権力のお仕事だとは思うんだけど、キモメン神官オッサンの言葉を聞く限り『皇帝』と言う権力地位自体が知られてないって感じなんか?
てことは、この世界の在り方的に皇帝の地位は今まで無かったんかな?
私、世間に知られてない地位のお仕事とか、全くやれる気しないんだけど……
「すまぬが、我らでは皇帝という職業は分からぬ。後日に此方で調べるから、今日はもう帰りなさい」
そう言って、またもや有無を言わさず天職の間から押し出された。マジで扱い荒すぎないか……?
「次!来なさい」
天職の間から追い出された私を見た後、入り口の神官は相変わらず高圧的な態度で次の十二歳キッズを天職の間にぶち込んでる。
その様子を暫く眺めた後、一人自宅に向かうのだった。
感想まってるで。