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【第二章まで書籍化&コミカライズ】転生した私は幼い女伯爵 後見人の公爵に餌付けしながら、領地発展のために万能魔法で色々作るつもりです  作者: もーりんもも
第三章 王立学園に入学しました

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191 基礎魔法の授業

 翌日。

 王立学園での最初の授業は『基礎魔法』だ。


「やあ、みんな。私は基礎魔法を担当するノイスタン・サンフォードだ。おそらくみんなは、すぐにでも魔法実践をやりたいと思っているだろうが、まずは基本的なおさらいからだ」


 優しい先生だな。

 サッシュバル夫人が言っていたけれど、基本的なおさらいをするのは、家庭教師を雇うことができずテキストを読むしかなかった貴族の子女のためだ。

 そんな生徒のことを配慮する教師とそうでない教師がいるらしい。


「まず、そもそも魔法とは何か。どこから生まれたのか。あるいはどこからやって来たのか。魔法史という学問に興味がある生徒はぜひ専門コースで履修してほしい。おっほん。難しい話は止めておこう。君たちの家には数々の魔道具があるはずだが、それらに組み込まれている魔石は――」

「はいっ! 鉱山から産出されます!」


 こらこら。セオはドヤ顔しているけれど、先生の話は最後まで聞かないと駄目でしょう?

 

「ええと、君は――」

「はいっ! セオ・コラージェです」

「そうか。コラージェ君。次からは私が指名してから答えるように」


 あー。女子にくすくす笑われている。


「だが、まあそうだ。魔石は鉱山にある。というよりも、魔石が大量に眠っている場所を鉱山と呼んでいるというべきかな。数十年前に魔石の鉱脈を探していた専門家が、地中深くから不思議な動物の遺骸を発見した。魔法史を塗り替えた大発見だが、知っている者は?」


 あら?

 セオが、「はいっ」と威勢よく挙手するかと思ったら、だんまりだ。

 代わりにスッと手を挙げたのはディランだ。

 見た目通り勉強が得意らしい。


「ディラン・スチュワートグリーンだな。おお、そうか。君の領地は――」

「先生。答えてもよろしいですか?」

「あ、ああ」


 こっちはこっちで癖があるな。


「地殻変動に飲み込まれる形で、腐敗することなく地層の一部となっていた動物の遺骸が数十体まとまって発掘されました。その動物は数百年前か、数千年前か、あるいはそれ以上前に生息していたと推察されます。驚くべきことに、全ての遺骸の体内から魔石が発見されました。つまり、魔石とは元々動物の体内で作られたもので、動物が死んでその亡骸が塵に還り、残った魔石を我々が掘り出して使っていると考えられています」


「素晴らしい。よく学習しているね」


 ……多分だけど。

 前世の時間軸にあった、動物の大量絶滅がこの異世界でもあったんじゃないかな。

 動物たちの肉体は朽ちて魔石だけが地中に残るって、植物が炭化した石炭みたい。


 あ、そっか。

 その動物の遺骸が発見されたのって、スチュワートグリーン辺境伯の北の森だったはず。


「大昔の動物は現在の動物とはあまり似ておらず、研究者の中には――」

「思い出した! 昔は魔法を使う動物が、魔獣っていうのがいたっていう話! 今でも魔獣が生きているって信じて探索していた変人貴族がいるって聞いたことが――」


 あー。まずいぞ。

 変人貴族とやらの話は知らないけれど、このピキッと何かが割れたような音が聞こえたかと思うほどの緊張感はまずそう。


「おっほん!」


 サンフォード先生が渾身の咳払いでセオを制したけれど、セオには通じていない。


「童話には動物だけでなく木の魔物も出てくるよな! 森に行けば両方見つかる可能性があるかも!」


 セオ! もう黙った方がいいよ。

 次はレッドカードだと思うよ。


「コラージェ君。私は事実に基づいた推測ならば聞くが、ただ面白おかしいだけの噂話はいただけない。授業中は慎むように」

「はい」


 セオがしゅんとして返事をしたので、先生も気を取り直したらしくパンパンと手を叩いて切り替えた。

 

「はい。横道に逸れてしまって申し訳ない。過去には、空間に満ちている魔素の濃淡を感知できる人もいたという文献が残っているが、真偽は不明だ。大昔は魔素に満ちていて、生きとし生けるものは全て体内に魔素を取り込んでいたため、それが凝縮されて魔石になったと考える学者もいる。魔法が存在する現在も魔素があるのは明らかなので、我々の体内にも魔石があると唱える方もいるが、あ、まあ、学説は色々でね」


 へえ。

 さすがにサッシュバル夫人はそこまで踏み込んだ話はされなかった。


「興味のある者には参考文献を紹介するので、いつでも言ってくれ」


 ん? 先生と目が合っている?

 私に何か――?


「魔石といえば、国内最大の鉱山は王都南のフランクール公爵領にある。マルティーヌ・モンテンセン。フランクール公爵は確か、君の後見人だったね」


うげっ。


「はい」


 なぜそんなキラキラした瞳を向けられているんでしょうか。


「コホン。君はもう鉱山を見学したのかな?」


 ……は?

 いやまあ、見てみたいなぁとは思っていましたけど?

 そもそも、鉱山の見学って?

 工場見学みたいに、普通に社会勉強とかでするものなの?


「いいえ。お屋敷にはお邪魔したことがありますが、鉱山の見学はまだ(?)です」

「そうか。それは残念だ。だが見学できる機会があるというのは幸運だな」


 ……え?

 先生のその目の輝きは、「お近づきになれたのなら、絶対に鉱山を見学させてもらうのに!」って言ってる?

 まさか――私にお膳立てをしてくれって暗に言ってる?


「あはは。すまないね。そんな顔をしなくても、公爵閣下に頼んでくれなどとは言わないから安心してくれ。あは――あははは」


 本当に本心ですか?

 無理していませんか?

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