187 王立学園の入学式①
ようやく学園編スタートっていう感じです。
マルティーヌの学友たちを少しずつ紹介していきます。
入学式の朝。
制服に袖を通すとグッと気が引き締まる。
それに、シンプルなデザインだけどワンピースがとっても可愛い。
何気に裾と袖口のピンクのラインが効いている。
なんと、制服は二サイズ届いた。
一、二ヶ月で急成長しても大丈夫なようにダルシーさんが注文したとのこと。
確か既製品もあって四段階くらいのサイズ展開をしていたように記憶しているけれど、採寸し直して縫製までの期間、体にフィットしない既製品は着るなっていうこと?
ダルシーさんの価値観にはなかなか追いつけないなぁ。
――なんて、そんなことは置いておいて。
今日から学生だよ、学生‼︎
確かに鏡に映る私は、新入生独特のフレッシュ感がある。
久しぶりだなー。
学校に通うのって何年ぶりだろう?
さすがに前世の中学生みたいに、クラスに馴染めるかなーとか、いじめのない学校だったらいいなーとか、そういう緊張感はないけれど、初対面の同級生と会うのかと思うとワクワクドキドキが止まらない。
うーん! 王立学園ってどんな雰囲気の学校なんだろう?
◇◇◇ ◇◇◇
校門付近に馬車が渋滞している。
歩いた方が早いかも――という思考は前世のものなので、ノロノロと進むに任せて、ちゃんと校門の前で停まってから馬車を降りる。
護衛のシェリルに「お気をつけて」と送り出されて門をくぐった。
タウンハウスから学園までなら、護衛なんていらないんじゃないかと思ったけれど、もちろん口には出していない。
それにしても、王立学園って、どこもかしこもめっちゃくちゃお金かかってるなぁ。
門と塀からして大貴族の邸宅みたいだけど、一歩中に入れば、手入れの行き届いた公園みたい。
石畳の小道に、そこかしこに咲き乱れる花々。
木々も植えられていて、夏にはちょうどいい木陰になりそうな場所にベンチがあったりする。
「マルティーヌ!」
校門で待ち合わせしようと約束していたソフィアが元気よく手を振りながらやって来た。
「おはよう、ソフィア」
「おはよう。……ふーん」
会うなり、ソフィアの視線は私の制服の裾のラインに!
ソフィアの制服のラインは想像した通り薄桃色だった。
でも……あれ? 細くない?
「なるほどね! マルティーヌが言っていた濃いピンクってそんな感じなのね。マルティーヌは気にしていたけれど、私の色とは全然違うじゃないの。しかも太いし二本だし」
「あははは」
カスタマイズし過ぎだよね。
「お母様が、『前公爵夫人が指示したのなら、絶対に一目でモンテンセン伯爵とわかるような特別感のあるデザインにしたはず』っておっしゃっていたけれど、その通りね!」
……う。
さすがダルシーさんだね。皆さん、よくご存じみたい。
でもちょっと!
なんだか悪目立ちしそうで怖いんですけど!
ダルシーさんが自信満々に着るなら問題ないかもだけど!
「そ、そんなに目立つかな? 偉そうに見える?」
「ふふふ。何を心配しているの? 実際、マルティーヌは偉いんだから。身分で言えば、侯爵家のご嫡男よりも上の実質ナンバーワンだもの」
「ひぇっ」
「何よ、その顔。まあ、さすがに次期侯爵家当主となられるフェリックス様に上からものを言うことはできないと思うけれど」
「言う訳ないでしょう!」
「あはは」
フェリックス・ハインドマーチ。侯爵家の長男。
上位貴族の同級生については、ダルシーさんが全員の姿絵を入手してくれたので顔は確認済み。
フェリックスは乙女ゲームの攻略対象みたいな美貌の持ち主。
あ、顔だけなら公爵もだけど。
フェリックスの髪は、現実離れした青みがかった銀髪なんだよね。
瞳は、黄色がかった私の緑と違って、キラッキラの緑色。
画家が贔屓目に描いたかもしれないけれど、もう、この世のものとは思えないほどの美しさだった。
早く生で見たいものだ。
「あ、そういえば、侯爵令嬢もいたわね。侯爵じゃないから、やっぱり伯爵のマルティーヌの方が偉いけどね」
「もう、それはいいってば!」
「はいはい。マーゴット・アーバンリッチはね、私、一度だけお茶会でお会いしたことがあるんだ。結構気さくで話しやすい人だったよ」
「そうなんだ。仲良くなれるといいな」
「今のマルティーヌなら大丈夫なんじゃない? もう昔みたいに人見知りしないじゃないの」
おっとっと。
そうだった。今の私は新生マルティーヌだもんね。
「私だって成長して色々学んだもの。多くの新しい出会いもあったしね」
「あー、それが一番かもね。フランクール公爵との出会いから全てが変わったって感じだもんね!」
「うん」
そうかも。確かにそうだな。
……公爵への感謝がちょっと足りてなかったかも?
カドコミで「転生した私は幼い女伯爵」の第9話②が更新されています。




