第1話
昔々、世界の一部は鬼達によって支配されていました。
しかし桃太郎という名の少年によって、鬼達は倒されていきました。
そして遂に桃太郎とその仲間達は、鬼達の本拠地である鬼ヶ島の最下層へと辿り着きました。
鬼達のボス、ゴンザレスは言いました。
「お前が桃太郎か。ここまで来るとは驚いた」
桃太郎は返しました。
「貴様が鬼共の親玉だな。私が全てを終わらせてやる」
ゴンザレスはニヤリと笑いました。
「面白い、覚悟しろ!」
戦いはすぐに決着がつきました。
桃太郎も、その仲間である犬のウォルフ、猿のダンカン、キジのフィレバルドも強大な力を持っていました。
「参りました桃太郎様・・・」
ゴンザレスは土下座して、こう続けました。
「あなたの力があれば、世界を完全に手に入れられます!」
「何だと?」
桃太郎は、少し興味を持ちました。
「この島も、鬼達も、全てをあなたに差し上げます!どうか命だけはお助けを!」
「面白い・・・良かろう、お前を生かしてやる。そしてこの島と鬼共を私のものとする」
こうして桃太郎は鬼達の王となり、世界は再び闇に包まれるのでした。
ゴンザレスは桃太郎の片腕となり、ウォルフは陸軍、ダンカンは海軍、フィレバルドは空軍の長に任命されました。
誰も為す術が無く、世界は少しずつ桃太郎と鬼達によって支配されていきました。
一方・・・
ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
彼らはかつて、桃太郎を拾い、育てた人達でした。
桃太郎が旅立った後、彼らは神社で捨て子を拾い、育てました。
リンゴの木の近くに捨てられていた為、捨て子はリンゴ太郎と名付けられました。
数年後・・・
リンゴ太郎は、一人でもエロ本を買えるほどの立派な少年となっていました。
おじいさんとおばあさんは、魔王となった桃太郎を止めるべく、彼を育て鍛えてきました。
しかし彼は、全くやる気の無い少年でした。
「リンゴ太郎よ、桃太郎はいわばお前の義兄。どうかお前の手で改心させておくれ」
「嫌だ、面倒臭い」
「このままでは世界は奴によって支配されてしまうんじゃよ」
「俺はずっと家にいたいんだよ!」
完全なるヒキコモリでした。
「なぁリンゴ太郎、英雄になれば女にモテるぞ」
「ほー」
「しかも一生遊んで暮らせるかもしれんぞ!」
「仕方ない、どーせ暇だし行ってやるか!」
単純度MAXでした。
翌日・・・
「リンゴ太郎よ、達者でな」
「あぁ・・・」
「ほら、これを持っておいき」
きびだんごです。
「ありがとよバァさん」
「リンゴ太郎・・・うっ」
「バァさん!」
「ぐー、ぐー」
眠っただけでした。
「コテコテじゃねえか!」
こうしてリンゴ太郎は、桃太郎を倒すべく旅に出たのでした。
「やれやれじいさんや、やっと旅立ってくれたね」
「うむ。これで食費も浮くし、お隣さんに息子が無職だなどと馬鹿にされんですむわい」
「さて、どこに行くかね」
ニート改めリンゴ太郎は、地図を広げました。
「サッパリわからん!」
そして破り捨てました。
「とにかく、まずは仲間だ!どうせなら強いのがほしいな」
こうしてリンゴ太郎は、ライオンを仲間にすべく草原へと向かいました。
草原には、馬がいました。
「あー、退屈だなぁ〜」
無気力全開でした。
「何か俺と似たよーなのがいるな・・・」
リンゴ太郎は、とりあえず話しかけてみました。
「おいお前」
「ん?何だお前」
「この辺に寂しがりライオンいないか?」
「あぁ、寂しがりライオンなら去年吊り橋から落ちて死んだよ」
「そうか・・・」
「あぁ」
「・・・」
「・・・」
「じゃあな」
「えっ」
リンゴ太郎は、次の仲間を求めて旅立ちました。
「って、待て待て」
「ん、どうした?」
さっきの馬でした。
「オイラを仲間にしようとは思」
「思わないね」
「・・・」
「・・・」
「何で」
「お前、俺と似てるじゃないか。役に立たなさそうだ」
「(こいつッ)」
「じゃ」
「ま、待てよ」
「何だよ」
「オイラを連れてけ!退屈で死にそうなんだ!仲間にしてくれたら、背中に乗せてやる!」
「何っ!?昔から乗ってみたかったんだ!よし行くぞ!」
こうして馬が仲間になりました。
「ちなみに名前はランディっていうんだ」
「良いから早く乗せろ!」
「・・・」
二人は、次の仲間を求めていました。
「どっかに女子高生落ちてないかな・・・」
「オイラはOLの方が好みだなぁ」
どっちもカスでした。
「なぁ」
リンゴ太郎は、言いました。
「お前の背中に乗るのも飽きてきた。そろそろ解散しないか」
「いやいやまだオイラ達出会って一日なんだけど!」
「わかったよ、じゃあお前も俺の家に住め。帰るぞ」
「えええっ」
こうして二人は、リンゴ太郎の家へと戻りました。
「ただいまー」
しかしそこには、傷だらけのおじいさんが・・・
「ジィさん!」
「リンゴ太郎か・・・やられたよ、鬼じゃ」
「何っ!?」
「ばあさんは殺された・・・リンゴ太郎、頼む。心を失った桃太郎を止めてくれ・・・」
「ジィさん、ジィさん!」
おじいさんは、もう動く事はありませんでした・・・
ランディは言いました。
「なぁリンゴ太郎よ」
「気安く呼ぶな家畜め」
「!?」
「な、なぁ」
「何だよ」
「こいつはさすがに、鬼共にリベンジ決めるしかないんじゃないか?」
「当たり前だ!行くぞランディ!」
「おう!」
「仲間なんかめんどくせぇ!二人で突っ込むぜ!ぶおんぶおーん!」
「OK!ぶおんぶおーん!」
「鬼ヶ島ってどこだ!」
「わからん!」
完