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魔女狩りの父と魔女の叔母
博人が魔女狩りの仕事を終えて、船の自室に戻った。丸い窓の暗い部屋に入ると、机の上に梟が首を傾げて止まっていた。
梟は博人を見て首をかしげている。
「何だ……?」
博人が呟くと、梟はかたかたと揺れて1枚の紙になる。
ひらひらとその紙が机に落ちた。
すると書かれている文字が微かに輝き、半透明の黄金の姿を映しだした。
複数の円と文字で書かれた紙を見て、魔法で起こしたのだと理解した。
「どうしたんですか、黄金さん?」
「どうしたんですかじゃないよ……杏が亡くなったんだよ」
「なっ……」
「会いに来てはくれんか?」
「……」
会いたいという思いはある。けれど会わない方がいいという思いとの間で、博人は何も答えられない。
「まぁいいわ、とりあえず報告だけはしておこうと思っただけだからの」
「教えてくれた事に感謝します」
「もういい加減、逃げるのは止めにしてほしいよ……」
そう言って黄金の幻は薄くなっていき消えていった。
博人は、部屋で立ちつくして困っていた。