7章 新たな心
「では、行きましょう。」
まぁ、やるしかないか。
7章 新たな心
攻略難易度レベル5。あまり難易度は高くなく、誰でも攻略でき商人も利用するようなごく平凡なダンジョンである。そのダンジョンにテロリストの反応があったらしいのでこうして学園最強メンバーである俺たちが向かうことになっている。
「ごめんね。ヒロト君。」
「えっ、何がですか?」
「えっと、この前の体育の授業の時、計測不能とかで済ませちゃって。」
なるほど、その事か。アカネさんでも責任を感じたりするんだな。ちょっとだけ意外。
「大丈夫ですよ。あの時は会長もいましたし、それにもう前のことなんで。」
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいわ。」
まぁ爆裂魔法を撃ちまくった俺にも責任はあるからな。
しかし計測不能か、珍しいな。エイラザーノ学園の器具は爆裂魔法なんかで壊れたりしないはずなのにな。俺がいない間に腐っちまったのか?後でアカネさんに聞いておくか。
「おかしいな、何もないぞ。」
俺たちはダンジョンに入って深層1階から9階まで降りてきていた。見事に今までなんのトラブルのなく、ダンジョンないにいた雑魚を倒すだけの作業が続いていた。が、しかし
「情報は間違っていたのかも知れないな。」
「なーんだ。めっちゃ余裕じゃん。」
「言ってやるなラン」
「あそこに無言でガタガタ震えているやつがいるじゃねーか。」
そう、俺はたかが雑魚に怯えて身動きがとれなくなっていた。ただひたすらみんなの後ろを着いていくしかできない。
「くっくっく、一ノ瀬先輩。どうしたんですか?黙っちゃって。あれ!?もしかして~モンスターにビビってるんですか?なんて無様な!くっくっく。完全に足手まといじゃないですかー?
ちゃんとやって下さいよー。」
くっそアリスめ。人が弱っているときに弱味を握るのがそんなに楽しいのかよ!?足手まといだと、、、、あぁ、そんなこと
「そんなこと、そんなこと、わかってんだよ!!!!」
「ちょっと、一ノ瀬君!?どこ行くの!?待って!」
俺は全速力でその場を後にした。
「どうする。アカネ先生。追いかけますか?」
「そう、ですね。何かあったら大変ですから。」
「わかりました。じゃあ僕がいきます。この中で一番移動詠唱が得意だ。」
「お願いします。レンくんも気を付けてね。」
「はい。では、行ってき、」
「アカネ先生!」
「どうしましたか?スラグ先生」
「敵襲です!体制を立て、」
激しい爆発音がなり、スラグ先生の言葉を最後まで聞くことはできなかった。
「たっく、アリスの奴め。さんざん馬鹿にしやがって、子供っかての。」
(いや、子供は俺か。)
突如大きな爆発音が下の階層で起こった。
「はぁ、はぁ、」
俺は下の階層へと続く階段を急いでかけ降りていた。
「何があったんだ!?くそっ、無事でいてくれ。そしてその後謝るから俺を思いっきり殴ってくれ!!このバカな俺を!」
下の階層に着いた。そこで俺は衝撃の事実を目にすることになった。
そこには、スラグ先生が血だらけで倒れていた。仲間たちの姿は見えない。
「スラグ先生!!しっかり.....し....??」
もう、死んでいた。
〈灼熱の魔神よ·我に力を貸せ·汝の全壊もって·敵を討て〉
〈水神の女神よ·我に力を示せ·水の心力もって·敵を切り裂かん〉
「ちぃ!くっそがき供が!!」
深層10階 最深層。今まさにレン達『魔法定軍エイラザーノ詠団』とテロリストが真剣勝負を繰り広げていた。
〈暗黒の精霊よ·慈悲なき力を示せ·夜に魂を·食い尽くせ〉
テロリスト側は2人だが、その一人は何してないように見える。
エイラザーノ詠団側は4人。だが、アリスが負傷しており、アカネが治療にあたっている。そこに、
「着いた!ってなんだこれ!?」
「あっ、ヒロト君!」
「アカネさん!よかった無事で、はっ、アリスは大丈夫なんですか!?」
「うん。重症では無いわ。」
「よ、良かった~。」
みんな無事だったが、スラグ先生が、無事で無かった。
「先生、俺、」
「その話は後で。今は戦闘に集中しなさい。」
「はい!」
「レン君とミキは見ての通り交戦中よ。」
戦況は今来たばかりの俺でもすぐにわかった。圧倒的にレン達が押してる。ここまで来れば時間の問題だが、妙なのは、あの攻撃も回復もしないもう一人のテロリストだ。マントで全身を覆い、表情など全く見えない。
「これで終わりだ!!」
〈輪廻の波動よ·虚像の心に血かいて·敵を滅せよ〉
「くっ、やるじゃ、、、ねぇ、、か。」
レンの魔法は見事に敵を貫いた。