16F 冒険者パーティ
風邪ひいてました。遅くなって申し訳ないです。
復活しましたのでまた3、4日のペースに戻します。
ちょっと短いです。
正直二泊で銀貨2枚が安いのかどうかはヒロトはわからない。だが冒険者御用達の宿らしいし、ギルドで紹介された宿などでボッタクリというわけではないだろうとヒロトは結論づけた。
あてがわれた部屋は可もなく不可もなくといった感じの普通の部屋だった。ベッドはちょっと硬いと感じたが掃除も行き届いてるようでほこりっぽくない。
「うん悪くないな。ガラス窓じゃないから窓閉めると真っ暗になっちゃうけどこれはもうしょうがないな。電気って便利だなほんと」
無くなって初めて気づく有り難みであった。日本の生活を懐かしみながらも荷物、といってもマジックポーチ3つだけだが、を部屋に据え付けられていた机に置き、財布だけ持って一階の食堂に向かう。
食堂は夕食どきということで非常に混雑しており、見渡す限りどの机も満席だ。人で溢れかえる食堂を料理の盛られた皿を両手に持ったギリーが行ったり来たりしているのが見える。
「おーいそこの!お前だよお前。こっち席空いてるぜ。来いよ!」
どこか座れるところが無いかとヒロトが食堂の入り口で立ち尽くしていると声をかけてくる者がいた。
金髪をツンツン立たせた髪型の軽い感じの青年がヒロトの方を向き手を振っている。同じテーブルには彼のパーティメンバーだろうか、茶髪角刈りの大柄で糸目な青年と赤毛おさげの素朴な感じの少女が一緒に座っている。2人とも興味津々にヒロトの方を見ている。
突然見知らぬ青年に声をかけられてビックリしたが、このまま待っていても空席ができそうになかったのでヒロトは青年の好意に甘えることにした。
「お腹ぺこぺこだったので助かりました。ありがとうございます」
「気にすんなって。冒険者は困った時はお互い様なのさ」
「なーに偉そうに言ってんのよ。おじさんの受け売りじゃない」
「う、うっせーなー。別にいいだろ?後輩に冒険者の心得ってのを教えてやるんだよ」
「先輩ヅラしちゃって」
「イーナ少し黙れ、殴るぞ」
「なによ。やるって言うの?受けて立つわよ」
「んだとコラ」
「アァ゛?」
おさげの少女と金髪の青年が青筋を立てて睨み合っている。糸目の青年はそれを止めるでもなくニコニコ眺めている。このパーティではいつもの光景なのかもしれない。
「ははは、でも良く私が冒険者だってわかりましたね」
「かたっくるしいし敬語じゃなくていいぜ。んでなんで冒険者ってわかったかっていうとな、お前がギルドに登録しに来た時に俺たちもギルドにいたんだよ」
「ああだからか。なんか入った瞬間みんなに見られてあの時は生きた心地がしなかったよ」
「俺たちの時もそうだったからその気持ちわかるぜ」
「でもなんでみんなあんなにジロジロ見てくるんだ?」
「新顔が現れたらそいつの実力を測ろうとするのは当然のことだ……」
今まで黙って腕をくんでいた糸目の青年が答えてくれた。どうも彼はあまり喋らない人らしい。
「はぁ。でもそんなちょっと見たくらいで実力を測れるもんなんですかね?」
「身につけてる装備や歩き方でできるさ。でかい剣腰に付けてりゃ少なくともそいつは剣を使って戦うってのは素人でもわかるしな」
「まあ私たちも最近、なんとなくできるヤツの雰囲気ってのがわかるようになったんだけどね」
「イーナさっきから一言多いんだよ……」
どうやらこの少女、イーナは金髪の青年にちゃちゃを入れるのが好きなようだ。青年の方はもういちいちイーナに抵抗するのは諦めたようだが、本気で嫌がっている様子ではないのでこれが2人の付き合い方なのだろう。
一ヶ月近く人との触れ合いが無かったヒロトは2人の気心の知れたやり取りを眩しいものを見るようにして見ている。
「ゴホン。話を戻すが、俺たちがギルドでお前の登録を見てたって話をしただろ?そん時にお前がスペルキャスターだってのが聞こえてさ。ここでまた会ったのもイブ様の思し召しに違いない。どっか他のパーティに入る予定がないんだったら俺たち、《カエストス》に入らねぇか?」
青年の提案を聞いてヒロトは驚いた。
今日初めて会った、素性の知れないヒロトをパーティに誘ってくれる者たちがいた事にだ。ギルドの受付がスペルキャスターなら引く手数多だろうとは言っていたが、まさかギルドに登録したその日にスカウトが来るとは思っていなかった。
「スカウトはすごく嬉しいんだが……本当にいいのか?よく知りもしないヤツをパーティに入れてチームワークが乱れたりしないか?」
「気にすんなって。連携を慣らしていくために多少の準備期間を設けなきゃならないがそこは先輩冒険者の腕の見せ所だな!」
「そう言ってくれるとこっちも気が楽になったよ。じゃあお世話になるよ。そういや自己紹介がまだだったな。俺はヒロト。知ってると思うがスペルキャスターをやっている」
「おっとこっちもすっかり忘れてたぜ。俺はアレックス。剣士だ。んでこっちのが……」
「イーナよ。弓を使ってるわ。これでも腕に自信はあるわ」
「アレックスと同じく剣士……。ハリスだ……」
「俺たち3人は同じ村出身の幼馴染ってわけさ。いやーついに《カエストス》にもスペルキャスターが仲間入りか。これで上のランクに上がるのも早くなったな!」
「アレックスたちは今何級なんだ?」
「全員銅級だ。目指せアダマンタイト級!ってな」
「アダマンタイト級の冒険者はほんとに同じ人間?ってくらい人外集団だからさすがに私たちじゃ無理だけど、金級くらいにはなりたいわね」
「なんだよ、イーナは夢がねぇなぁ。男なら夢は大きく持たなきゃ!」
「アダマンタイトになるつもりで頑張らねば金級にもなれん……」
「ハリスまで……。それに私は女よ」
それからわいのわいのと談笑しているとギリーが料理を両手一杯に持ってやって来た。
ついでにヒロトが自分の分を注文しようとするとアレックスが新メンバーの歓迎会という事で奢ってやると言ってくれた。
断るのも野暮なのでありがたく奢られる事にし、ヒロトは自分の分の飲み物、エールを注文するだけにしておいた。
ジョッキに注ぐだけなのでエールはすぐに運ばれて来た。エールを運んで来るギリーをヒロトがなんとなく眺めていると、机に置くついでに胸筋をピクピク動かしてギリーは去っていった。変な物を見たとヒロトがゲンナリする姿にアレックス達は大笑いだ。
「ハァハァ……いやーヒロトは面白いヤツだな。これから楽しくなりそうだ」
目尻に浮かんだ涙を指で拭いながらアレックスは言う。
「面白いっていうか笑い者にされてる気分だが……。まあよろしく頼むよ」
「おう、こちらこそ。じゃあ新しい仲間とそれを巡り会わせてくれたイブ様に、乾杯!」
「「「乾杯」」」
4つの木製のジョッキがカコンと、小気味の良い音を立てた。
・補足
ギルドランク
鉄<銅<銀<金<ミスリル<オリハルコン<アダマンタイト
《カエストス》
同じ村出身の幼馴染3人組で構成されるパーティ。冒険者になると村を飛び出したアレックスにイーナとハリスが付いて来た。実力は若手にしてはできる方で、このまま努力すれば良いところまで行けるだろう。
銅級
アレックス ♂ 【ヒューマンLv.3】
ジョブ
【剣士Lv2】【狩人Lv1】
スキル
【剣術Lv2】【解体Lv1】【気配察知Lv1】
銅級
イーナ ♀ 【ヒューマンLv.2】
ジョブ
【弓士Lv2】【狩人Lv1】
スキル
【弓術Lv2】【解体Lv1】【採取Lv1】
銅級
ハリス ♂ 【ヒューマンLv.3】
ジョブ
【剣士Lv2】【狩人Lv1】
スキル
【剣術Lv2】【解体Lv1】【採取Lv1】
ーーーギルド資料より




