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破滅世界の俺、エルフ。(2025.12)  作者: MAYAKO
第一章 日常

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第七〇話 エピローグ     

こんにちは、今回はこの時間になりました。


 目を開けると、真っ暗だった。

 まだ夜中か?

 起き上がろうとするが、上手く身体が動かない。

 動く眼だけを左右に振るが、何も見えない。


 どこだここ?


 あ、学校!

 学校休みか?

 天井すら見えん!知らない天井だったら怖かったんだが、何も見えん!

 暫くぼーっとしている。

 俺は寝ていたのか?

 深呼吸一つ。

 寝ぼけた朝の思考が鋭利になる。

 いや、今は朝なのか?


 コケ-!?


 修学旅行!


 ドッと吹き出す汗。

 心拍数が跳ね上がる!


 俺は死んだのか!?


 白鳥さん!オトネ!緑、光!松田さん、鈴木さん!メンバーはどうなった!?

 陽野は?西さんは!


「……あれは、あの出来事は夢か?……」


 俺はゆっくりと身を起こした。


 ゴン。


 頭に何かが当たった。

 手を動かしてみる。


「なんだこれ?」


 直感!木だ!もしかして棺の中!?


「不思議な木の手触り?」


 その時、スッと目の前に光の線が現われた。

 頭上から足下に向って一直線に!


「あ、なんか開いている?」


 俺はゆっくりと体を起こしそのカプセルのような植物の種子から起き上がった。

 周囲は巨大なツタのような知らない木々が絡み合い、空は遠く狭かった。

 緑に埋もれているビル群。


「……ここは?」


 俺は両手を見る。

 いつもの俺の手だ。


 俺の出てきたサヤエンドウの種のような物の回りには、沢山の花が置かれていた。


「お供え物?」


 よく見ると、似たような種が沢山あった。

 皆、割れていて、どうやら俺が最後の一つだったようだ。


「なんだこれは?俺、死んだんじゃないのか?」


 木々に埋もれているが、ここは確かに花の都だ。


「夢じゃない?あれからどうなったんだ?」


 気配を感じ、俺は振り向くと、そこに彼女がいた。

 石化で砕けたと思っていたが、手に花を携えた彼女は元気に走ってきた!


 おお、見事な走り!

 さすが陸上部!


「目覚めたのねっ!」


 はい、起きました。

 ですが今は色々と恥ずかしいです。

 俺、マッパだし。

 彼女はそんなこと気にもしないで俺に抱きついた。



 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇



 世界は破滅した。

 ひっくり返ったらしい。

 オトネの話によると、北極と南極が入れ替わったそうだ。

 その影響で、全ての電子機器が壊れ、地球の周りを回っていた衛星やら、スターダストが地上に全て降り注いだらしい。

 らしい、というのはオトネも周りから聞いた話だから。


 発電所が止まり、交通機関が世界規模で麻痺した。

 目の前の風景を見ると、そうだろうな、と納得できる。

 そして人々、この星で生きていた生物もひっくり返った。

 進化?退化?したのだ。


 異世界からの憑依現象。


 オトネは星が合わさったのではないか、とか言っている。


 よーわからん。

 異常はまだ続いた。

 陸、海、空、異形の者が溢れ出し、力無い者は食べられた。

 いや、今でも異形の者が俺達を狙っている。

 周囲の建物は植物で覆われ、高層ビルはまるで遺跡のよう。


 俺は寝て、起きただけだが、この異変は何だ、と。

 俺にしては、一瞬の出来事である。

 オトネの話しによると、俺は200年程寝ていたらしい。


 寝過ぎだろ!


 割れたビルの窓に映る俺の姿。

 この破滅世界で、おれはエルフになっていた。

 プラチナブロンドの長い髪、みょんと飛び出た耳。

 ……しかし身長はそのままだ。

 おかしい、何処かに抗議したい。エルフって高身長ではなかったのか?


 オトネは俺より30年ほど前に目覚めたと言った。

 白鳥さんは、2年前。

 彼女は俺より年上になってしまった。

 緑と光は破滅の時から眠ることなく、この地で戦い続けたそうだ。

 二人は結婚し、今俺の目の前にその子孫がいる。

 もう、あいつらには会えないのか……。

 本多さんはゴブリン襲来の時、オトネの種を守って死んだそうだ。

 数学のノートに本多さんの想いが残っていた。


「読んでいいのか?日記だろ?」

「……」


 遙か年上になったオトネは、何も言わずノートを渡した。

 そこには日々の暮らしとオトネに対する想いが書き綴られていた。


 ……早く目覚めてください……あなたの声が聞きたいです……

 ……あなたのことが大好きです、もっともっと、話しとけばよかった……


 パタン。


 俺はノートを閉じた。


「おい、オトネ、俺は読めん!悔しくて悲しいぞ!」

「……おっもたい」


 俺達は静かに街並みを見てその日を過ごした。

 何やら、今日は俺が目覚めた日ということで、お祭りがあるらしい。

 破滅の日、ラスボスに無謀にも立ち向かった英雄達の一人。

 そのリーダー。

 それが俺らしい。

 何でも伝説の勇者だそうだ。

 実感はないけど。

 言い伝えによると、この勇者は目覚めると同時に一族の思いを胸に故郷を目指すそうだ。

 一族とは皆のことだろうな。


「この植物はなんだ?俺達の命を繋いでくれたのか?」

「詳しくは分からん、だが門王さまの話しによると、ドライアドの樹らしい」

「ドライアド?」

「ああ、我ら妖精族の守護者らしかばってん、詳しいことは分かっとらんとよ」


 夕日が廃墟の都市を赤々と染め上げる。


「……なぁオトネ、俺は球磨本に帰りたい」

「球磨本は遠か、辿り着かんばい。魔物も多か」

「それでも帰る、このノートや皆の思い出と一緒に」

「かあちゃんね?それともあの、チビどもね?」

「ああ、それもある。みんな、帰りたかったんじゃないだろうか……200年、もう生きてはいないだろうけど帰らなければ」

「付き合うよ、エルフ……いや、トリくん」


 獣人の白鳥さん。

 俺もオトネも白鳥さんも、身体中に無数の傷がある。

 石化の時に受けた傷だ。

 この呪いと砕けた体の再生に時間が掛かったらしい。

 俺はドライアドの樹に一礼すると同時に宣言した。


「命を繋いでくれてありがとうございます、俺達、球磨本を目指します」


 風が吹き抜けた。


        第一章 おわり

 これにて第一章おわりです。

 ご愛読ありがとうございました。


 第二章は2026年夏より投稿予定です。

 実験的な投稿で、駆け足でしたがお楽しみ頂けたでしょうか?

 体調によっては、冬になるかも知れませんが気長にお待ち下さい。

 毎回ご愛読ありがとうございました。

 では次回で。

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