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破滅世界の俺、エルフ。(2025.12)  作者: MAYAKO
第二章 西への旅

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第七十話 番外篇 北からの訪問者 エピローグ     

今晩は。

投稿です。

どうやら番外篇、終りました。


「……はぁ……はぁ……」


 受けた矢の傷口は治癒魔法と軟膏でどうにかふさいだ。

 遙か後方で聞こえていた爆発音も今は聞こえなくなった。

 どのくらい進んだのだろうか?山はもう二つは超えている。

 空が紫色になり始め、鳥が飛び交い始めた。


 夜明けだ。

 道など無い険しい山。

 あと少しで三つ目の山の頂上だ。

 ここまで来ればもう追手は来ないであろう。

 花の都の方向はナゼか分かる。

 こっちだ!

 あとはそれに向って踏み出す、それだけ。

 歩き進むと、急に視界が開けた、頂上だ!

 その頂上に木々は無く、ゴロゴロとした岩が転がっているだけ。


「あ、薬草めっけ!」


 振り向くと山々が重なり、もう生れた街は見えない。


「……お母さん、お父さん……行ってくるね……」


 ティブイは前を向き歩き出す。


「……ベニトラ……ベニトラ!」


 朝日がギラギラと、その姿を現し始めた。

 辺りは紫色から鮮やかな白色に変わり始める。

 未来に不安はあった、だがそれを上回る感情が後から後から溢れてくるのだ。

 心残りと言えば、残してきたベニトラだけだ。


「ごめんね、ベニトラ……ありがとう、ベニトラ……!?」


「恥ずかしいよ、ねぇちゃん!ありがとうなんて!」


「え゛?」


 幻聴?幻?先程までいなかったベニトラがそこにいた。


「え゛?」


「はい?呼んだろ?ねぇちゃん?」


「え゛?」


 片方の角は折れ、青あざ赤あざ拳は血だらけ、どう見てもまともに歩けないだろう?と思われる弟がそこにいた。


「な、なんでここに!?」


「とうちゃんが、行けって」


「え゛!?」


「オリ、かぁちゃんが心配だったけど大丈夫だって、とうちゃんがいるからって」


「え゛?」


「きっと、今頃とうちゃんと弟か妹、作ってんじゃねぇかな?」


「!!!!!!!!な、何てこというの!ベニトラッ!」


「それよりねぇちゃん!手当手当!どこそこいてーよ!」


 軟膏を塗り、魔力を通すティブイ。


「……花の都まで、一緒に行く?」


 痛みが引いていき、段々と優しい顔付きになっていくベニトラ。


「え?そのつもりで来たけど?」


「……」


 心強く感じるティブイ。

 ホントは嬉しくて涙が出そうなのだ。

 しかーし!弟の前で泣くわけにはいかない!

 この姉は、行動力、判断力、即決で動き、言いだしたら聞かない頑固モノなのだ。

 素直でない姉は、涙を見せない。


「へへっ、断られてもついていく気だったけど」


「遠いよ、花の都」


「そう?なら尚更だね、でもよぉ、ねぇちゃん、すげぇな!」


「なにが?」


「だってよ、そのオトネってヤツもう死んでるかも知れねぇぜ?」


「え゛?」


「何年前の話だ?再生の眠りって言うけど、起きているのか?そいつ!それに起きてもうとっくに誰かと結婚して、子供が沢山いたらどうする?」


「え゛?」


「ふりんやえっと何だっけ?そうそう略奪婚とかダメだぜ?俺達、悪い子になるわけにはいかないよ?ナマハゲの一族だし!」


(どこで憶えたその単語!意味分かっているの!?)


 というセリフをゴックンと飲込むティブイ。


「オ、オトネくんは、ち、ちゃんと待っててくれるもん!結婚もしていないし、子供もいないっ!」


「ねぇちゃんの思い込みだろ?」


 ズバズバと斬込むベニトラ。

 そう、言いにくいこともハッキリと言うのが身内の役割であり使命だ、ベニトラは更に言葉を重ねる。


「ばぁちゃん以上によぼよぼの、ヨレヨレのじーさんだったらどうする?」


 姉は即答した。


「介護するわよ!」


「眼が怖ぇ~よっ!ねぇちゃん!」


「そりゃそうよ!なんでそんなことばかり言うのよ!ベニトラのいじわるっ!」


 涙目になって怒るティブイ。

 姉の乙女心を何だと思っているんだっ!


「出会った時のシミュレーションさ、最悪と最高を想像した」


「え?」


「ねぇちゃん、合格。どんな出会いでもねぇちゃんは幸せ以外選択肢はない、たとえそのオトネってヤツが結婚していても、ねぇちゃんは満足しないけど、満足するだろ?」


「……なによ、その変な言葉……」


「ふふっ、きっと最高の出会いが待っているさ」


「下げたり、上げたり、ホントに!もうっ!はい!手当終了!行くわよ!」


 二人は花の都を目指し、歩き始めた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 旅立ちから一年、この二人は異界の魔物達を倒し、幾多の困難を乗り越え花の都に辿り着く。


「ねぇちゃん、なんかスゲぇ精霊さまが見えるけど!?」


 凄いどころではない、見たことも感じたこともない、力の固まり!

 目の前に太陽が現れたような存在、眩しくて眼が開けられないのだ!


「門王さまよ」


 ……ほう……これは……


「お分かりですか?門王さま、お久しぶりです、オトネくんは……」


 ……今しがた、旅だったところだ……


「え!?」


 少女は目を見開き、万感の想いを込めて走り出す!


次回投稿は2026冬を予定しています。

しばしお休みです。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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