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おまけ4 温もりを抱きしめて

「思いが通じ合い、同じベッドで寝ることになった二人の話」


◇◇◇


「ああ、どうしよう……!」


ダリウスが待つ寝室の扉の前で、リリスは頭を抱えていた。夜も更け、しんと静まり返る城内。ここまで一緒に来たお付きのルーナに、「健闘を祈ります」と言わんばかりにニコニコとガッツポーズを贈られ今は、リリス一人だった。


ベッドを共にして過ごした経験がないわけではないのだが、これまでの状況と、今の状況ではまったく心持ちが違う。いまはダリウスの隣で寝る自分を想像するだけで、ドキドキと胸がうるさくなるのだ。


「なんて言って部屋に入ったらいいかしら……!呼ばれてからベッドに入った方がいいの……?!それとも、自分から……?!」


扉の前をウロウロとしながら頭を悩ませるリリス。こんな些細なことで自分が悩んでしまうほど、リリスにとってダリウスの存在は大きくなっていた。「嫌われたくない」そんな気持ちも大きく、先ほどから「どうすればいいのか」という言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡っている。と、そのとき──。


「俺の妻は、一体いつになったら俺の元へと来てくれるんだろうな」


目の前の扉がガチャリと開いたかと思うと、首を傾げながら自分を見つめるダリウスの姿。その表情はどこか楽しそうで、リリスは顔をバッと赤らめる。


「ダ、ダリウス様……!」


あたふたとするリリスをよそに、ダリウスは余裕の態度。それがリリスにはなんだか悔しかったのだが、リリスの長い髪に指を絡めてぐいと距離を縮めてくるダリウスに、ぐっと言葉に詰まってしまう。すると──。


「扉の向こうから聞こえる、かわいい悩みを聞くのが楽しかったがな」


クスクスと笑いながらそう言うダリウスの言葉に、リリスの動きが止まる。


「つ、妻の声って、私の声聞こえてたんですか……?!」

「ああ。残念ながら、この古城の壁はそこまで分厚く造られていないからな」


ダリウスの発言に、顔中に熱が集まるのを感じるリリスは「なんて恥ずかしい……!」と、さらに頭を抱える羽目になった。けれど、今度はぐいと腰を引かれたかと思うと、リリスは寝室の中へと連れられ、後ろで扉がバタンと閉まる音。顔を上げると、目の前には不敵に笑うダリウスがいた。


「……だが、そろそろ俺も我慢の限界だ」


リリスの頭上に片腕を付き、囲うようにその腕の中に彼女を閉じ込めるダリウス。涼やかな切れ長の瞳の奥に、恥ずかしそうにダリウスを見上げるリリスが映る。それから、するりと伸びた手が頬に添えられ、ダリウスの親指がリリスの唇を滑るように撫でた。


ドキドキが止まらない。ようやく想いが通じ合い、これからも共に生きると強く決意した。そんな相手に出会えたことが、この上ない幸せなのだと、今改めて実感する。


「ダリウス、さま……」


見つめ合い、リリスが切なげに、その名を呼ぶと、それが合図になったかのように降ってくるダリウスからのキス。


「んんっ……まって、ダリウス、さ──」

「待たない」


呼吸もままならなくなるほど、情熱的なキス。「待たない」と、そう言ったダリウスの熱い眼差しに、リリスはギュッとしめつけられたように胸が切なく疼くのを感じた。


愛おしさが溢れ、どうにかなってしまいそうなほど胸がいっぱいになり、心が満たされていく。この人のことが心から愛おしいと思う感覚。リリスはその幸せを噛みしめるように、ダリウスの背中をギュッと強く抱きしめた。

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