おまけ2-3
「俺がやるからノエは休め。非番だろ」
「いいですよ、このくらい。ここでやめちゃったら、逆になんか気持ち悪いですし」
「じゃあ、俺も手伝うから、それ貸してみろ」
そう言って手を差し出されたノエは、「ダリウス様に掃除なんてさせられませんよ」と遠慮したのだが、「俺だって掃除くらいできる」と譲らないので、結局お任せすることにした。案外頑固なところは、妻のリリスに似ているかもしれない。
書類は全て塊ごとに箱にしまって、脱ぎっぱなしの服は洗濯場へ持っていく。窓を開けて部屋の中に新鮮な空気を入れ、ついでに拭き掃除や掃き掃除をしたり……。
ひと段落ついたところで、ノエがふと顔をあげると、窓際で外を眺めるダリウスの姿。何を見ているのかと気になって近づいてみれば、窓の外には芝生広場で街の子どもたちを招いて青空教室を開いているリリスの姿があった。
現状を少しずつ良くしていきたい。
そんなリリスの希望もあって、領地内に住む子どもたちに教育を受けさせる機会を設けることになったのは、つい最近のこと。今はリリスが子どもたちに絵本を読み聞かせて、文字を教えているところだった。
楽しそうに笑う子どもたち。キラキラと輝くその瞳に、ああいいな、とノエはふとそんなことを思った。
「……俺たちは、あそこにいる子どもたちの未来も守ったんだな」
しみじみと噛み締めるように、そう呟いたダリウスに、ノエも胸が熱くなる。
「そうですね……」
あのときは必死で、周りをよく見る余裕もなかったけれど、これからも、こうやって一つずつ、一つずつ実感していくのだろう。あの戦いが自分たちにとって、どれだけ意味のあるものだったかを。




