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お花見(美香視点)


 2月はバレンタインのあと琉依さんと2人でアスレチックに行った。楽しかった。琉依さん運動苦手だから大丈夫でしたかって聞いたら可愛かったって言われた。よくわからなかったけど楽しそうだったから楽しかったみたい。それから関さんと竜二さんとはバレンタインが最後の予定だったんだけど木村さんがせっかく私のおうちがお花屋さんなんだからたくさんのお花で送別会しようって思い付いて3月に関さんのおうちの別荘だっていう大きなおうちで送別会をした。

 4月になると優菜が彼氏さんと別れちゃったんだけど次の日に別の彼氏さんができた。琉依さんが電話で優菜の元カレが家に押し掛けてくる日々がまた始まったって言ってた。そして4月中旬の今日は大学でお花見をしようって琉依さんが言ってくれたから土曜日だけど優菜と大学に来た。


「見てくださーい!!じゃん!!」

「ようやくできたんだってさ」

「ようやくサンドイッチが作れました!!」


 木の下にみんなで座って鞄からランチボックスを取り出してレジャーシートの上に置く。


「サンドイッチってパンに挟むだけなんじゃねえのか?」

「切りました!!」

「すごい、すごいよ美香ちゃん!!食べて良い?」

「はい!!どうぞー!!」


 琉依さんが私が作ったサンドイッチを食べてくれる。


「美味しい!!感動する!!」

「やったー!!ね、優菜、私お料理できたー!!」

「良かったわね……」

「優菜?どーしたの?」

「引いてんのよ、琉依兄に」

「引いてる?なにを?」

「なんでもないわよ」

「琉依さん生きてます?」

「生きてる!!嬉しくて天にも昇りそうだけど生きてる!!」

「とりあえず変なものは入ってないらしいな」

「念のため小林さんも食べてください」

「え、僕?」

「どうしたんですかー?みんな食べてくださいー」


 お喋りしてるだけで食べてくれない村岡さんたちに勧めると小林さんが一口食べてくれた。


「あれ?普通に美味しい」

「本当か?……あれ?本当だ」

「……まさかそんなはず……あれ?美味しいですね!!」

「本当ですか?みんな味覚変になったんじゃないですか?」

「ちげえよ。村岡も騙されたと思って食べてみろ」

「……美味しい……おかしいですね、本当に美香さんが作りました?」

「むー!!わかったー!!みんな意地悪してるんですねー!!ちゃんとお母さんに隣で見てもらって自分で作りましたよー!!」

「美香のお母さんお父さんと結婚するまで調理師だったんだって」

「女帝め!!それを先に言えよー!!」

「美味しいわけだね」

「ちなみに美香が作ったのサンドイッチだけであとは美香のお母さんが作ったって」

「うん、うめえ」


 昇さんたちがお母さんが作ったスパゲティーやサラダを食べて美味しいって言ってくれる。本当はそれも頑張ろうと思ったんだけど私がサンドイッチを作るの遅くてもたもたしてる間に全部作ってあった。


「琉依さん、サンドイッチだけしか作れなくてごめんなさい。あと3時間くらいあればできたはずなんですけど……」

「なんで?サンドイッチすごく美味しいよ?ありがとう」

「全部作って琉依さんに食べてほしかったんですけど」

「うう……可愛い。じゃあまた今度作って。何回も作ったらきっと早く作れるから次は他のも作れるよ」

「わー!!そうですよねー!!」

「うん」

「琉依さん、サンドイッチだけじゃ飽きちゃいませんか?他のも食べてください。お母さんはとってもお料理上手ですよ」

「ありがとう。うん、美味しいよ。お母さんにもわざわざ作ってくださってありがとうございましたって伝えてくれる?」

「はい!!」

「甘い……」

「優菜?甘いものは入ってないはずよ?」

「甘すぎてうざいな。僕も彼女ほしい」

「キムチ振られてばっかだしねー」

「うっせえ!!」

「木村さんは振られてばっかりなんですね」

「そうじゃないよ!!ナンパで振られてるだけ!!」

「同じです」

「だいたいなんでやる気のねえ村岡がいつも何人か上手くいってるんだよ!!」

「村岡くんは関さん使ってるからね」

「なんですかそれ!!」

「木村知らなかったの?」

「なんですか!?小林さんまで!!昇さん知ってました!?」

「んなもん知るか」

「昇は女の子に声なんかかけられないってただ座ってるとギャルから逆ナンされてあわあわしてるよね」

「村岡くんはね、関さんの写真を見せてこの人が遊ぶ女の子を集めてますって言ってるよ」

「なんで寝込んでる琉依さんが知ってるんですか!!」

「僕は村岡くん大好きだから村岡くんがどこでなにしててもわかるんだよ」

「気持ち悪いです」

「っていうのは冗談だけど口の動きでなに言ってるのかわかるよ」

「だから気持ち悪いですってば」

「琉依さんすごいですねー!!私も村岡さん口の動きでわかるようになりますー!!」

「美香さん」


 ほえ?村岡さんが喋らないで口を動かす。


「馬鹿!!むー!!馬鹿って言いましたねー!!」

「すごいですね。馬鹿なのにわかるなんて自分でも思ってるということです」

「むー!!村岡さんの意地悪!!」

「美香ちゃん、好きな子には意地悪したくなっちゃうんだよ。村岡くんは僕にも意地悪だから僕も美香ちゃんも好きなんだよ」

「わー!!嬉しい!!」

「どういうことですか。意味がわかりません。昇さんどうにかしてください」

「んあ?知るか。とりあえず飯は旨い」

「そうだね。でも量が多いね」

「男の子が5人もいるからたくさん作るのってお母さんに言いました!!」

「さすがにこれは多すぎだけどね」

「そんなことないでしょ。ほらキムチ」

「おいこれはなんだ!!大量のキムチが乗ってんだけど!!」

「こんなのあった?」

「ふふふ、ママにこれだけ作ってもらったの」

「辛!!激辛キムチだ!!」

「キムチがキムチ食べてるよ美香。共食いね」

「私も食べたーい!!からーい!!」


 優菜がタッパーに入れて持ってきてくれたキムチはすごく辛かった。

 昇さんも小林さんも食べてみて辛いって言ってお水を飲んでる。


「辛……母さんやりすぎだね」

「みんな辛いの好きだよって言ってみたら思いきってみたの」

「適当なこと言って……」

「えへへ」

「そうそう!!関さん使ってずるしてんのはわかったけどお前がっつり好みの子ナンパしてるよな!!」

「……俺に言ってます?」


 急に木村さんが叫んで少し経ってから村岡さんが言う。


「お前以外に誰がいるんだよ!!」

「意味がわかりません」

「ナンパ勝負で声かけてるの年上の綺麗系だけだろ!!」

「そうですか?ただそこにいる人に言ってるだけです」

「いーや!!お前は彼女だって年上だろ!!年上の美人系が好みに違いない!!」

「だからなんなんですか?」

「だからなんだってことはないけど!!」


 琉依さんと昇さんと小林さんがクスクス笑って優菜は呆れてる。


「村岡さんは年上の綺麗な女の人が好きなんですねー」

「違います」

「じゃあどんな子が好きなんですかー?」

「馬鹿じゃなくて派手じゃなくて騒がしくない人なら良いです」

「そうなんですねー」

「馬鹿美香。私たち貶されてるのよ」

「えーそうなのー?」

「悪かったわね派手で騒がしくて」

「優菜さんと美香さんと真逆な人なら誰でも良いです」

「むー!!琉依さんこれは意地悪ですか?」

「美香ちゃんが可愛くて好きだから意地悪してるんだよ」

「そうなんですねー」

「琉依それで良いのか……?」

「良いよ、村岡くんだもん。でもそういう意味では駄目だよ。もちろん昇と小林くんもね」

「あーはいはい」

「はいはい」

「けど美香ちゃん、僕は村岡くんには年下が良いと思うよ。村岡くん文句言いながらも優しいしなんだかんだで呼んだら来てくれるし」

「2月も迎えに来てくれましたもんねー!!村岡さん、じゃあ年下の女の子を誰か探してあげますね」

「止めてください。俺のことは放っておいてください」

「ぶーぶー!!なんでですかー?」

「美香さんに任せたらおかしなことになるに決まってます。だいたい付き合ってるといえなくてもまだ彼女はいます」

「じゃー別れたらですねー」

「だから……馬鹿に言っても無駄ですね」

「ねえ優菜、私たちに似てない子学校で探してみよっか」

「うちの学校みんな私らみたいなのばっかだから無駄よ」

「そりゃー優菜さまとかみんな言ってるんだもんなー。女帝が統べる学校は怖い」

「女子校って女の子強くなるみたいだしね」

「加代子さんは元々強かったそうだけど」

「昇さんにはどんな人が良いですかねー」

「高校の時に付き合ってた子は小動物みたいな子だったね」

「わー昇さんへたれなのに彼女さんいたんですねー」

「……なんか美香ちゃんにいわれるとよりムカつく……」

「意外とぐいぐいくる系が合うと思うな。僕の勘よく当たるからきっと村岡くんも昇もそんな子とってなるよ」

「お前あやしい予言者みたいで嫌なんだよな」

「翠さんのは当たったといえるのかわかりませんけどね」

「でもだいたいいつもちょっとあれ?って感じで当たるしな。ね、琉依さん僕は?」

「木村くんは一生独身な気がするよ」

「えー!!それ以上言わなくて良いです!!なんか当たりそうなんで!!」

「まあ、ただの勘だからね。いくら琉依の勘が当たるって言っても自分が動かないとなにも起きないしね」

「30年後木村が独身だったら笑ってあげます」

「僕たちの中で唯一独身かもね」

「ま、面倒は見てやるよ。同じ会社だしな」

「なんですかそれ!!もう、琉依さんどうしてくれるんですかー!!」

「大丈夫だよ。木村くんは独身でも人生楽しんでるよ」

「だから予言者みたいに言わないでください!!怖い!!」

「……30年後も変わらないで馬鹿やってるに一票」


 優菜が苦笑いで呟いた。でも私もみんなは30年後も40年後も今みたいに仲良しなんだろうなって思う。その時私も一緒だと良いな。琉依さんと目が合った。笑ってくれて嬉しくなる。一緒にいられるように今日もお母さんに張り付いてお料理頑張ろう。来月の琉依さんのお誕生日は遊園地に行くからお弁当を今度は全部自分で作れるようにしなくちゃ。







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