セナ
ショウマは思う、セナは本当に僕と同じ人間なのだろうか……と。
歌が上手くて、ダンスが上手くて、表情管理が上手くて、スター性があって、リーダーシップがあって、メンバーの心の機微に誰よりも早く気付く。誰よりも自分に厳しくて、誰に対してもフラットな芯の通った優しさがある。
セナになれたら何度考えたことだろう。だが思う、僕がセナになったとして、きっと同じように過ごしても、セナのように綺麗に枠を突き破った六角形いや百角形になるのだろうか。
身体はただの才能の入れ物に過ぎないのだろうか……と。
「僕の顔をじっと見つめてどうしたの?」
セナが僕の目にかかった前髪をかきあげる。セナの瞳に僕のレッスンで疲れてヘトヘトな酷い顔でいっぱいになる。セナに映る僕はどうカテゴライズされているのだろう。ビー玉みたいに透き通った瞳から反射した僕と目があったような気がして、酷く歪んで見えて、居た堪れない気持ちになる。
「……って、僕の髪汗でベトベトなのに!」
「僕も汗でベトベトだから、僕の手に汗がついたところで同じだよ、君って気にしすぎなんだから」
綺麗な絵画のような顔に、ゆっくりと女神のような微笑みが浮かぶ。
セナが纏う空気は不思議だ。それでいて、親近感すら沸かせる軽やかな性格と錯覚させる距離感を持つ。
「セナってさ……」
「ん?なに?」
「…いや……」
「てかさ!!前通ったあそこのカフェ、チョコレートケーキがめっちゃ美味しいらしいよ!今度オフに行かない?」
セナは甘いものに目がない。
「パス!セナも知ってるだろ、俺は肌にも体型にも出やすいんだよ」
「食べた分、運動して、水分しっかりとって老廃物流せばばっちり!!にはならないか……」
……セナー!
「はーーい……待ちに待ったオフの計画の真っ最中だったけど仕方ないね、ちょっと行ってくるね!」
遠ざかっていくセナを見る。
僕とセナの人生が交わるのは後どのくらいの期間なんだろう。




