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ポラーレからの依頼 2

「ルーチェさん。その、()()が問題なんですよ」


「場所?」


 ルーチェは目を細めて画面を注視する。画面の向こうのポラーレは通信端末のほうを見ているようだが、視線がルーチェと合わなかった。その状態のまま、話を続けてきた。


「はい。どうやらそのさがし人は、再開発地区、にいるようです」


 目を大きく見開き、眉があがるルーチェ。


「再開発地区って、確か頓挫したんじゃ?」


 ルーチェの言葉にポラーレは大きくうなずいた。そして、続けた。


「そうです。あの地域の治安はアバラックバーイアの中でも随一に悪いところです。そのようなところにいって、探し人を見つけ戻ってこられそうな人。それは戦闘経験があるあなたをおいて、思い浮かびませんでしたよ、ルーチェさん。しかも、アルテファットもあ——」


「役に立たない能力だけどね」 


 ルーチェはかぶせるように言い放つ。重ねるほどのタイミングで話したにも関わらず、声に抑揚はない。視線も通信端末から外し、ぼんやりと出てきたドアに向ける。ルーチェは右手を握りこむ。


 鳥の鳴き声が響くがどこにいるのかはわからない。ただ、それが聞こえるほどに静かになっている。


「…………役に立たないなんてとんでもないですよ。あなたのアルテファットは珍しいものです。大丈夫ですよ」


「珍しくても、大丈夫でも、戦いに向かないものは向かない」


 吐き捨てるような物言いをするルーチェ。通信端末のポラーレもその言葉に眉根をひそめた。


「……ゴホン。こちらの知る限り、あなたが最も適正という意味での能力がある。そう思っています」


 ポラーレの言葉にルーチェの口元が動きそうになる。ルーチェはその口の動きが悟られないように、奥歯をかみしめる。ポラーレも眉間のしわをのばし、ルーチェに視線を合わせるようにしてから口を開いた。


「ルーチェさん。何とかお願いできませんか?」


「…………わかった」


 たっぷりと間をとってから、ゆっくりと返事をする。


「ありがとうござ——」


「ただし、条件がある」


 呼吸をしたタイミングがわからないほどの速さで重ねるようにしゃべるルーチェ。


 再び、言葉をさえぎられたポラーレ。パクパクと口を開いたり閉じたりしていた。滑稽な動きのはずなのに、ルーチェの表情は眉根一つ動かない。ただじっと、通信端末のポラーレを見る。ポラーレが何かいうのを待っていた。


 やがて、口を動かすのを止めたポラーレが、短く息を吐きだしてからたずねてきた。


「…………る、ルーチェさん? じょ、条件というのは?」


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