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ポラーレからの依頼 3

 しどろもどろになりながらも、ポラーレは何とか問いただした。


「リナシッタ……姉さんの捜索はどうなってる?」


「……いまだに、手がかりすらも、みつかっていません」


 ポラーレは何度も言葉を切りながら話した。その話し方はまさに絞りだしているかのようだった。


「……私にとってリナシッタがすべて。いつの間にかいなくなったリナシッタをずっと追っている。リナシッタはきっと生きている。私はたとえどんな状態だったとしても、リナシッタを見つける。私の思いはポラーレ。あなたも知っているはず。そうよね?」


 通信端末を持たない手の色がゆっくりと変わっていく。唇の色もまた、同じく赤くなっていく。ただ、その目は今も通信端末の向こうのポラーレへと向けられている。そのポラーレもまた、視線をずらさずにまっすぐと目を向けていた。二人の視線は通信端末を通して、じっと見つめているような状態になっている。


「ルーチェさん」


 均衡を崩したのはポラーレだった。ただ、その口調は固く鋭いもので、まるで射られた矢のようでもあった。


「……何?」


 その言葉に対してルーチェが選んだのは、一瞬の間とたった一言の返答。


「あなたにとってリナシッタさんが大切な存在であることはこちらも理解しています。確かに手がかりらしいものをまったくみつけられないのも、こちらの落ち度です。

 それはわかっていますが、協力をいただきたい」


 今にも土下座でもしだしそうな勢いでポラーレが懇願をはじめた。


「私は姉さんを探しにいきたいの。ここに来て何年も経っている」


「わかっています。ただ……」


 通信端末から何かを探るようなガサゴソという音が流れ出した。しばらくして、画面いっぱいに何かが書かれた紙の面が広がった。


 そこにはひと際大きな文字で、借用書、と書かれていた。


「ルーチェさん。確かにあなたがリナシッタさんを探しに行きたいことはわかっています。それに探そうにも動けていないことも……。しかし、これをマスターから渡されまして……」


「それ、は……」


「この紙については、こちらで立替をさせていただきました。ですので、ご安心ください。ただ、こちらが頼った手前、ひじょうに心苦しいのですが、少しでも結構ですのでお返しをしていただきたいのです」


 ポラーレの言葉を聞くにつれ、徐々に顔色が青くなっていくルーチェ。晴れた青空の下だというのに、彼女の顔色はどんどん空の色に近づいていく。うまく話せないのか、今度はルーチェがパクパクと口を開いたり閉じたりしている。


「ルーチェさん。お願いできないでしょうか?」


 ダメ押しの一言についにルーチェは閉口する。そして、静かに、ゆっくりと首を縦に振る。


「ありがとうございます、ルーチェさん! 早速、依頼についてそちらに送りますね! よろしくお願いします!」


 通信端末に何かが送られてきた音がした。ルーチェにとってその音は面倒でしかない。


 ため息を一つもらしながら、ルーチェは送られてきたものを確認する。そこにはただ一言、依頼内容、とだけ書かれていた。その文字が書かれた部分にルーチェの左手の指が触れる。画面が切り替わるのと、ポラーレの声が通信端末から出てきたのは同じタイミングだった。


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