13話 困難を越えて
最終回
精神世界が、端の方からパキパキと硝子が割れるような音を立てて崩れていく
師匠の魔力に包まれながら、エナガ、あけび、チアの三人は、光の渦に飲み込まれていった
(あぁ、戻ったら……まずはお腹いっぱい食べなきゃ。それから、師匠にちゃんと…おかえりって言わなきゃな)
エナガはそう思いながら、ゆっくりと目を閉じる。
……。
…………。
現実世界
荒野
視界が開けた瞬間、エナガが感じたのは、凍てつくような静寂だった。
「……っ、げほっ、ごほっ……」
喉を焼くような、鉄錆と魔力の残滓の匂い
エナガが目を開けると、そこは精神世界で見た始まりの村ではなく、無残に抉られた黒い大地だった
「あけび……? ルート……?」
すぐそばで、二人が力なく倒れているのが見える
エナガはふらつく足で立ち上がり、辺りを見渡した
空は、不気味なほど青く澄み渡っている
「……師匠?」
声を出してみる
風の音だけが、ヒュォォ……と虚しく吹き抜ける。
「ねえ、師匠! どこ!? 隠れてないで出てきなさいよ! アホ毛、また結んでよ!!」
返事はない
地面には、師匠がさっきまで被っていたはずの、あの大きな魔女帽子も、リボンも、塵一つ落ちていない
そこには最初から、誰もいなかったかのような、圧倒的な「無」
あけびが這いずるように起き上がり、空っぽの空間を見て、震える声で呟く
「……いない。どこにも……いないよ、魔女エナガ……」
――ルートは、かつて自分が魔法を放った方向を見つめたまま、言葉を失っている
仲直りをしたはずの仲間たちは、今や世界に三人取り残されただけ
師匠が語った過去、あの不器用な手の温もり
それらすべてが、死の間際に見みた一瞬の白昼夢だったのではないかという猛烈な虚無感が、エナガの胸を締め付ける
「嘘……でしょ……。あんなに、あんなに近くにいたのに……」
エナガはその場に膝をつき、乾いた大地に爪を立てる
涙も出ない
ただ、世界から色が消え、音が消え、自分たちが何のためにここにいるのかさえ分からなくなるような、深い、深い悲しみだけがそこにあった
一分、あるいは一時間
永遠にも思える絶望の静寂が、三人を包み込んだ時
ガサッ
背後の岩陰から、聞き覚えのある、気の抜けるような音がした。
「……ふぅ。いやぁ、あっちの世界は肩が凝るなぁ、へへ」
三人が、弾かれたように振り返る
そこには、ボロボロの魔女帽子を斜めに被り、あくびをしながら歩いてくる
師匠「あけび、今日は何をつくってくれるんだ?笑」
エナガ「…………、……は?」
あけび「……え?」
ルート「…………あ、…………?」
師匠は、三人の絶望に満ちた顔を見て、不思議そうに首を傾げる
「なんだなんだ、そんな幽霊を見たような顔して、修行の続きがしたいのか? 宇宙、もう一回行ってみるか? 笑笑」
一瞬前までのドーンとした虚無が、師匠のあまりにも軽い一言で、激しく掻き乱される。
怒り、安堵、混乱、そして「こいつマジで何なんだよ」という猛烈な感情が、三人の心を爆発させた
魔女エナガ「………おかえり、みんな」
師匠「さて、これからこの4人で生活していくとするか」
あけび「やった!!………でもなぁ……うぅ……くろまめがいないのかなしいよぉ…」
師匠「あっ………ぐはっ………(黒歴史)」
魔女エナガ「あははwwwwww」
あけび「えっへへへwww」
師匠「そうだなぁ………あっ、じゃあ作るか」
ルート「………は…?」
師匠は白く輝く魔力を練りだした
その光景はとても美しく銀河のようだ
???「ちみちみ…」
ルート「は…????」
師匠「こいつの名前、どうするんだ?笑」
くろまめとはちがう真っ白で手のひらほどの小ささの小鳥がちみちみと鳴いている
あけび「はっ………んむわぁぁぁぁ!!!かわいい!!」
あけびはすぐにその子を抱き寄せ抱きしめた
ルート「なんで…なんで……え…なにそれ…」
困惑しっぱなしのルートはほっとかれて名付けが始まった
あけび「やっぱしろまめ?」
魔女エナガ「あんたまめ系すきね…」
ルート「………ここは……いかれたやつしかいないのか…」
師匠「しろまめかぁ……」
???「ちみちみ…!」
白いふわふわした小鳥がルートの帽子に乗る
ルート「のわっ……」
???「ちびっ」
小鳥がルートの帽子についたひし形の宝石をさわる
ルート「やべ」
>>>>ぼわぁぁぁんっ!!<<<<
辺り一帯に虹色のオーラのようなものがちる
???「ちみぃ…」
あけび「おわっ………って……え!?かわいい!!!」
小鳥の体に虹色のオーラがつきとても美しい姿になった
魔女エナガ「あぁ…あのさ、ルートずっと思ってたけどさなんでスプレッド石なんかつけてんのよ」
スプレッド石とは外部から刺激がくると保持者の周りに虹色のバリアオーラを展開する石である、
魔女エナガ「お前そんな弱いの?バリアなんて自分ではりゃいいじゃない」
ルート「別に攻撃受けても耐えれるが…」
ルート「だって虹色きれいだもん……」
あけび・魔女エナガ・師匠
「wwwwwwwwwwwwwww」
あけび「かっこいいもんねww」
魔女エナガ「きれいだもんねwww」
師匠「そうだよねwwwかわいいよねwww」
ルート(うなだれて地面に座り込む)
???「ちみ…ち…」
あけび「スプレッド石………スプレッド………スプレッドって名前は!?」
師匠「スプレッドか……まぁ…いいんじゃないか?笑笑」
魔女エナガ「そうね笑」
ルート(ぐぅぅぅぅ……)
ルートのお腹の音が鳴る
師匠「…お腹すいたなあ」
魔女エナガ「たしかに…」
ルート「あけび、」
あけび「……っうす」
あけびはすぐ焚き火とご飯の材料を準備した
師匠「よし、感動の再会と命名式は終わりにしよう」
あけびは神速でカレーライスをつくる
あたりにはカレーのルー独特のあまったるくて、でもどこか辛味をかんじるツンとした匂いで満たされる
あけび「できたよ!たべよ」
全員「「いただきまーす」」
すっかり夜になった空を見て師匠は言う
「さて…予言通り5人全員揃ったな。………次は魔王の首を取りに行くぞ」
「そのまえに」
魔女エナガ・ルート・師匠
「おかわり」
ノシ
第1クール
これにて完




