表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/113

母と朝ご飯①

 テストの最終日は金曜日だったので、土日は休日だ。休日の間、勉強と家事をしつつ歌詞を書き上げた。


 ある程度出来ていたので、後は全体的にしっくりくるように調整するだけだ。



「あれ」



 日曜日の朝。一階に下りると、母がリビングで寛いでいた。服装も仕事着ではない。


 母の仕事は曜日など関係ないので、日曜日が休みではないことが多い。今日は休みだと聞いていなかったので、驚いた。


 咲夜の声に反応して、母が振り返った。



「咲夜、おはよう」


「お、おはよう。今日仕事じゃなかったっけ?」



 父は今出張でいないから、それは分かる。カレンダーを横目で見るが、今日が休みだと書いていない。



「急遽休みになったの。いい加減に休めって、ブラック寸前まで働かせているのは、どこのどいつよっていう話よね~」


「うん。でも、最近は働き詰めだったから、ちょうど良かったんじゃないか?」


「その点は良いんだけど、どうせなら咲夜のテスト中に休ませてほしかった。テスト中くらい、家事をやってあげたかったのに」



 唇を尖らせて愚痴を零す母に、咲夜は一笑した。



「いいよ、別に。母さんだって仕事で疲れているんだから」


「母さんが良くないの! たまには咲夜のお世話をしたい!」


「オレのお世話って、母さんにはいつも世話になっているんだから気にしなくても」


「そういうお世話じゃないほう!」



 ぷぅ、と頬を膨らませている母を見て思う。いい歳のはずなのに、何故その表情に違和感がないのか。童顔だからだろうか。



「それはそうと母さん。朝ご飯は食べた? 食べていないんなら作るけど」


「いいわよ。美味しいって噂のパンを買ってきたの。咲夜の分もあるから、一緒に食べましょう」


「じゃあ、お湯を沸かそうか?」


「お願い。母さんはパンを焼いておく」



 母が立ち上がり、台所に向かう。咲夜も机の上にあったヤカンを手に取り、中の水を出して軽くゆすいでから、水を入れる。



「母さん、飲み物は何がいい?」


「コーヒーで」


「ミルクは?」


「いるー!」


「分かった」



 電気コンロにヤカンを乗せて、スイッチを入れる。その間にインスタントコーヒーとミルクと自分用のカフェオレのスティックを取り出した。


 マグカップを取り出して、母の好みの薄さになるくらいの豆を入れて、自分の分のカフェオレも入れる。


 家の電気コンロは火力は弱いが、水の量は少なめに入れたのでわりとすぐに沸騰した。



「コーヒー、淹れたよ」


「ありがとう。こっちはもうすぐ……」



 と、母が呟いたところでトースターがチンッと音を鳴らした。母があらかじめ用意していた皿にパンを移す。パンは食パンではなく、クロワッサンのようだ。


 母の席にミルク入りのコーヒーを置いて、自分の席に座る。母がクロワッサンを載せた皿を机の上に置いた。香ばしいパンとバターの匂いが織り混ざって、嗅ぐだけでも食欲が湧いてくる。



「それじゃ、いただきます」


「いただきます」



 熱いクロワッサンを摘まんで、自分の皿に載せる。一口分を千切って口の中に入れた。



「これ、もちもちしている」


「米粉のクロワッサンだって。しかもクリームチーズ入り」


「あ、本当だ」



 さらに千切ると、クリームチーズが練り込まれていた。その部分を食べてみる。



「美味しい?」


「うん」


「よかった。咲夜、絶対にこれ好きって思った」



 母が嬉しそうに笑う。



「そういえば、テストはどうだった?」


「赤点はないと思う」


「上々じゃない。さすが咲夜」


「別に……」


「謙遜しなくてもいいのに」



 母が肩を軽くすくめて、コーヒーを飲む。咲夜もカフェオレを飲んだ。



「そういえば、部活に入るかもだって?」


「母さん、いつの間に暦と……」



 咲夜が学校でどう過ごしているかどうかの情報源は、主に暦だ。最近は暦も母と会う時間はなかったはずだ。


 すると、母がきょとんと首を傾げた。



「言ってなかった? 母さん、暦ちゃんとラインで繋がっているの」


「初耳なんだけど」


「あらまぁ。まあ、そういうことだからよろしくね」


「なにがよろしくだよ」



 母と暦が仲が良いとは知っていたが、ラインを交換する程の仲とは知らなかった。


 前向きに考えよう。自分のスマホの電池が切れたとしても、暦に頼めば母に連絡してくれると。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ