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テスト①

 テスト期間まで一週間切った。テストが始まるのは三週間後だが、テストで赤点を取るとスポーツ推薦の生徒も補習を受けることになるうえ、一つだけならともかく四つほどになると、夏休みがなくなるので空気が張り詰めたものに変わっていく。


 だからなのか。中学生の頃はテスト期間に入ってから勉強する生徒が大半だったが、今はテスト期間に入る前に勉強をし始める生徒が大半だ。


 咲夜は普段から勉強をしているため、焦ってはいないがそうではない人たちもいる。


 暦と瓜谷は勉強が出来るので、余裕がある。問題なのは、魅瑠と軽音部の部員たちだ。


 朝と昼休みは魅瑠の勉強を見て、放課後は軽音部の部員の勉強を見ていた。魅瑠は呑み込むのが早いので教えることは苦ではなかったが、軽音部の部員はそうでもなかった。


 あの日の翌日、なんだかんだで錦に連れてこられ、他の軽音部の部員と顔を合わせることになった。錦ほどではないがそれなりに仲良くなった。


 自分が練習の場にいたら邪魔になるだろうと、また翌日に錦に誘われたので断ろうとしたが。



「でもお前の幼馴染み……えーっと木ノ下さんだっけ? そう、木ノ下さんに頼まれたんだよ。放課後、自分が迎えに行くまで丹羽を匿ってくれないかって。そういえば匿うってなにから?」



 と、いつの間にか根回しされていたので、申し訳ないと思いながら暦の部活が終わるまで部室に匿ってもらうことになった。


 一応久留島類のことは言っている。学年一のモテ男と一緒にいるとファンが怖いとは伝えているが、頭痛云々は伝えていない。説明が面倒だったからだ。それでも部活の部員たちは分かってくれた。


 中には久留島類に構われて羨ましい、と返す人もいるので、価値観が一致するのは素晴らしいことだ、と改めて実感した。


 そんな軽音部の部員たちだが、ベース以外は勉強が出来なかった。どうして進学校に進学出来たのか、謎なくらいなほどだ。


 このままではいくつか赤点を取ってしまうのではないか、と主に練習の効率を重視しているベースが危機感を持ち、練習の合間に部員の勉強を見ることになったのだが、一人だと追いつかないとのことで、ベースと一緒に皆の勉強を見ることになった。


 だが、苦手科目と得意科目の落差が激しかった。とくに錦が顕著だった。


 なんとかカバーできるようにと勉強を教えているのだが、要領が悪かった。自分の勉強をそっちのけでやっていたが、練習している間は自分の勉強に集中した。普段から音楽を聴いて勉強をしているので、練習の音は気にしなかった。


 だから、あれからずっと図書室に行っていない。久留島類は錦と出会って三日間絡まれたが、久留島類を取られまいと取り巻きの女子が奮闘しているおかげで、絡まれる回数が減った。


 勉強を教えて、という理由をつければ、長い時間引き留めることができることを学んだ取り巻きたちは、有効に使っているようだ。


 普段は怖い存在だが、こういうときだけは有り難い存在である。取り巻きの女子に対して、初めて心の中で拝んだ。


 ただ、久留島類から鋭い視線を送られるようになった。憎々しげに睨まれているわけではないが、非難めいた視線だった。背中が痛かったが、目と目が合わないように視線を逸らし続けた。


 言いたいことは分からない。興味のない奴らに絡まれているのを少しくらい助けてくれたっていいんじゃないの、と言いたいのだろうか。勉強を教えてもらっていたが、あれはギブアンドテイクだ。それに間に入ったら、取り巻きに睨まれてしまう。久留島類に気はありませんよ、というアピールはしておいたほうがいい。



(だいたい、本当に嫌だったら振り払えよ。適当に相手をするんじゃなくて)



 笑顔を振り撒くから、肉食系の女子に狙われるのだ。朴念仁にでもなれば、大抵の女は寄ってこないだろう。別の意味で寄ってくる可能性も出てくるが、少なくても今の取り巻きは寄りつかなくなる。そうしない久留島類も悪い。


 正体不明の苛立ちをぶつけるように、久留島類を無視した。

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