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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
三章 おひかえなすってヤクザ編

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16話 不穏ですかい?

詩乃ver


ケイと2人でマンション内を歩く。

今日の仕事は終わったから、部屋に戻ろうとしていた。

なんだかんだ前の3人部屋。私、ケイ、レイちゃんの生活に戻り、まずは形だけでも元に戻ったことを嬉しく思う。

しかしーーー


「あ!東くんお疲れ様、今日も大変だったでしょう?」


「板倉さんお疲れ様。そんなことないよ!板倉さんも仕事大変でしょ?」


「ううん!私なんて外に出れないから東くんや神崎さん達に足向けて寝れないよ」


「いやいや、板倉さん達のおかげで僕たちも毎日頑張れてるからさ!本当にありがとう」


ポッ


これである。記憶をなくして人が変わったケイは、色んな人から慕われるようになった。

いやまぁ?ケイが人に好かれるのはいいことだけど?別に女の子の割合が多いとか気にしてないけど?


足を止めて話していると、また別の人が通りかかりケイに話しかけて、また別の人が....と続く。朝比奈くんとあずさちゃんが『昔のケイ』について話してたけど、どんだけ人気だったのよ...


「あれー?東じゃん、お前本当に記憶なくしてたの?」


虫唾が走る声が聞こえて、振り返ると片柳(カス)が話しかけてきていた。本当にこいつはいつになったらここから消えてくれるの?


でも今のケイと会わせるのはまずいかもしれない。早くこの場を去って面倒事は避けなきゃ。


「ケイ?そろそろ帰ろ、レイちゃんも待ってるだろうし」


「え?でも...この人が何か言いたそうだよ?」


「そうだぜ詩乃、つらねぇこと言うなよ。俺はこの前東にいじめられたんだぜ?」


「そうなの!?そ、それはごめん!」


カスに向かって頭を下げるケイ。


「ケイ!そんなの嘘よ!こいつが悪いんだからあなたが謝る必要はないわよ!」


「おい詩乃、お前そいつの方につくのか?こんな弱っちいような奴に...よ!」


ゴッ


「あうっ」


「ぷっ...お前本当に弱くなったな!あうって何だよ!」


カスはいきなりケイに殴りかかり、ケイは避けられずよろけた。


「大丈夫ケイ!?あんた、なんてことすんのよ!」


「おいおい、詩乃、そんな弱いナイトくんで大丈夫か?」


こいつ...!

頭にきてぶん殴ろうと拳を固めた時、後ろから声が聞こえる。


「...ってぇな」


「え、ケイ?」


ゆらりと立ち上がり、カスに近づくケイ。さっきまでの明るいオーラは消え去り、なんか記憶がなくなる前みたいーーー


「なんだ?まだ殴り足りねえのか?」


カスはケイの様子の変化に気づかず。まだ調子に乗って腕まくりをしていた。


「いってえなぁ、何も殴ることねぇじゃんか」


口調が荒くなり、眼光が鋭くなったケイが一歩ずつカスに近づいていく。


「な、なんだよ...お前も前俺のこと殴っただろ!調子にんぐっーー!?」


「うるせぇよ、喋んなカス」


詰め寄るカスの顔を掴み、睨みつけるケイ。


「ーーー!ーー!」


「何言ってんだ?聞こえねえぞ?」


ボゴッ


「ーーーー!!!」


手に力を込め、顎を外したようだ。

それでもケイは手を離さず、右手を後ろに引き構えた。もうパラレルのケイとの約束はないし、止めなくてもいいかな?というよりケイ、もしかして記憶が戻った!?


「1発は1発だよなぁ?」


キリキリと、弓を張るように右腕を後ろに引き、あとは放つだけ...


「ーーー!?」


ドサッと地面に崩れ落ちるカス。

腰が抜けたのか、這いずりながらケイとの距離をとっている。


「...ケイ?」


「あれ?僕は何をしてたんですか?え?きみ、大丈夫ですか?」


「ひゃ、ほはえはんはんはほ!」


「どうしたんです?」


顎が外れ何を言っているかわからないが、怯えている様子のカス。


「詩乃さん、この人どうしたの?僕が何かやった?」


「覚えて、ないの?」


「う、うん。もしかして、僕が顎をはずしたの!?」


「...気にしないでケイ。元はと言えばこいつが殴ったんだから」


「でも...」


「もう行こ」


動揺しているケイの手を取り、今度こそ部屋に帰る。

あのカスのことだから、また何かしてきそうだけど...金輪際関わりたくないわ。


「あー、うーっ」


「しのちゃんだいじょうぶ?」


「え?あ、ごめんねレイちゃん。大丈夫だよ!さ、ご飯にしよ!」


いらない悩みに頭を抱える私だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「くそ!!!!」


部屋の椅子を蹴り、怒りを紛らわす。

あー、まだ顎が痛え。あの野郎絶対に殺してやる。


「...」


俺は机の上にある注(・)射(・)器(・)に目を向ける。


「詩乃のやつもだ。全員殺そう」


無線機を手に取り、ある人物に連絡を図る。


「こちら片柳、誰か応答できますか?」


『....片柳くんか、どうした?』


「例のマンション襲撃について、覚悟が決まりました。日時と計画について話せればと思いまして」


『...ああ!その件ね、わかった。じゃあ決めようか』


「先週、小堀が事務所を襲撃したと聞きましたが、大丈夫でしたか?」


『...うん。片柳くんのおかげで事前に知れたからね。下っ端だけ残して俺たちはやり過ごしたよ』


「それはよかったです。では、襲撃について話させてください...東条組さん」

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