表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
一章 パンデミックがやってきた編
12/76

12話 夢ではオチない

あざす

「ケイ、起きて」


 んあ?母さん?


「ほら起きて」


 そんなわけねえか、あの人はもういないんだから。


「さっき会長が校内放送で全員中庭に来るように言われたのよ、遅れるから起きて」


 それにしても誰だ?こんなに似ているのは


「起きなさい…って言ってるでしょ!」

「ごべんなさい!」


 張り手喰らわせやがった!痛え。

 目を開けると詩乃が立っていた。


「なんだ詩乃か」

「なんだとはなによ」

「俺は朝弱いんだよ」

「知らないわよ」

「じゃあ今覚えて」

「そんなことより早く中庭に行くわよ」


 そうだった。昨日のは夢でもなんでもなかったのか。夢オチとかで良かったのに。くぁあ、と欠伸をすると寝起き特有の口の気持ち悪さがあったので準備室にあった蒸留水で口をゆすいだ。


「ちょっと、それ飲んで大丈夫なの?」

「んー?知らね」

「ほんとに朝弱いのね」


 詩乃と話しながら中庭に向かう。


「そういえば昨日はどこで寝たんだ?」

「えっ、覚えてないの?」

「眠くて仕方なかったんだ。俺はソファで寝てたみたいだし、結局詩乃が床で寝てくれたのか?悪いな」

「べ、別にいいわよ」


 中庭につくと田中が話しかけてきた。


「あはようアズマ、なんとか昨日を乗り越えられたな」

「そうだな」

「はは、眠そうだな。ん?こっちの人は?」

「神崎詩乃です。あなたは?」

「大毅、田中大毅。よろしくな」


 おいおいまじかよ。俺の友達が言ってたぜ?自己紹介の時に名前言った後にフルネームを言うってのはイケメンのやることだって。こいつまじですげえな。眠気覚めたわ。詩乃と田中が会話をしているのを尻目にあたりを見渡すとネコを見つけた。


「おいネコ」

「あ、アズマおはよう」

「昨日どこに行ってたんだよ、少し探したぞ」

「キシシ、少しなんだね。アズマが倒れたから話し相手もいないしずっと屋上にいたんだよ」

「屋上?俺も屋上に行ったぞ」

「屋上は広いからお互い気付かなかったんじゃない?」

「それもそうか」


 やっぱ女よりも男だよな。違う、そういう意味じゃないんだ。断じて違う。これで詩乃も田中に惚れてまた1人になるのか、俺の時とは違って楽しそうに話してやがるあのアマ。


 数でも数えていたのだろうか暫くすると会長が話し始めた。話した内容は昨日の会議と同じ感じのことだった(たぶん)。どうやら今日は部室のある校舎に行く人を有志で募っているようだ。もちろん手はあげない。会長がガン見してくるけど手はあげない。


「ふぅー、じゃあ今手を挙げてくれた人たちは解散してから40分後に二階の職員室に集まってください」


 その後もなんか話して全体会議は終わった。さて、寝足りないから寝るかあ。ん?俺の肩掴んでるのはだあれ?


「アズマくん?腕が痛くて手が挙がらなかったのかしら…?」

「現在進行形で肩壊してます」

「まったく、なんできみは来ないのよ」

「いや、怖いから」

「参加しなさい」

「有志ってなんなんですかね…」

「諦めろアズマ。菜々に気に入られたら終わりだ」

「タケさん、なんで俺なんすか?ほら田中とか気に入りそうでしょ」

「田中くんやネコくんは有志で手を挙げてたのよ」

「いい子ちゃんどもが、それに俺はあいつらほど強くないですよ」

「うーん、まあ猛とかと比べると見劣りはするね」

「ほんとに誘う気ありますか?」

「うん、あるよ?アズマくんは周りが見えてるからね、他の人が危ない時にカバーしてくれてるって昨日のアズマくんを見て思ったわ」

「たまたまじゃないすか」

「ねー、頼むよー、生徒会長特権一回分あげるからさあ」


助けがこなそうな今、この特権はめちゃくちゃいいんじゃないのか?


「乗りましたよ、それ」

「お?じゃあ頼んだわ」

「ちゃんと守ってくださいよ?」

「もちろん!まあ私かアズマくんが死んじゃったらこの約束はなくなっちゃうんだけどね」

「なんてこと言うんだこの人は」


まだ食堂に飯が残ってるから朝飯も食えるようだ。朝飯食って集合と言われた。


――――――――――――――――――――――――


「ねえケイ」

「なんだよ?俺は朝飯で忙しいんだ」

「ケイも外に出るんだって?」

「ああ、出るよ」

「気をつけてよね」

「ハンッ、俺の逃げ足はタケさんより早えよ」

「はいはい」


二階に行くともうほとんど揃っていたようだ。だいたい行くメンバーは見覚えがある。


「あ!アズマっちおはよー!」

「おー、相変わらず元気だなお前は」

「朝ごはんも食べれたし充電バッチリだよ!じゃあまたね!」


「…羅夢って戦えるのか?」

「キシシ、それは大丈夫じゃないかな?」

「ネコ、いたのか。影薄いな」

「それは普通に傷つくんだけど、昨日三階でボクが助けた部屋に彼女がいたんだ」

「それのどこが大丈夫なんだよ?逆にダメなんじゃないか?」

「十数人の死体と一緒にひとりでいたんだよ」

「…」

「どうやったのか聞いたら、そこら辺にあったイスと机で殴り飛ばしたって」

「…」

「その教室ドアが歪んでて最初開かなかったんだよ、後で聞いたらパンダを投げ飛ばしたらドア壊れちゃっただって」

「羅夢さんぱねぇ…」

あざした

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ