サイズ
場所は移り、今は手頃な若者向けの服屋にいる。
今の自分に合うようなメンズの服が見当たらず、三人で少しばかり悩んでいると店員が「姉妹ですか?妹さんの服を悩んでいるのでしたらこちらの服は如何でしょう」と女の子用の服を勧められたのは笑っていい話。
身長差から見えなくもないけども、まず顔が似てないと思われる。
やんわりと店員の勧めは断ったが、やはりこの手の服しか……。
「んー、今の真樹だとさっきの服みたいなのが一番なんだろうけども後々女装癖に目覚めてしまったら怖いからねーー」
「うん、一番じゃなくていいからメンズ買おう」
今、ボーイッシュな服を着ているがそんな癖に目覚めてしまった感覚はない。
女の子の服を着ていたから店員が間違えても仕方ないよね!
………あれ、そういえば俺って仕方ないにしろ女装して外出してるんだよな……。
なんだろう、この危ないことやって誰からも気づかれないという愉快さと、いつかバレるのではないだろうかという緊張感は……。
よし、これ以上考えたら人生の道を踏み外す。考えない。
「あ、服で思い出した!すまぬな結城君、春さん。二つ目の質問を忘れていた」
「ああ!」
名前を言ってはいけない彼らのせいですっかり忘れていた!
「で、質問だが学校の制服はどうするのだ?」
「あー、頭の隅に追いやって考えてなかった」
だって、いろいろと面倒そうなんだもの。
この件のことを学校に報告とか、自身の身長にあった制服の新調とか…。
「やはりな……どうせまだ学校側には報告してはおらんのだろう?ではこの件は私に任せてくれ」
頼りがいのある顔で言われましても、どうするのさ。
「聞かれる前に言うが、少々ばかり学校のお偉いさんと面識があってな。そこに頼んで新しく新調してもらおうと思う。勿論作るにあたって必要なものは測らせてもらう」
組長すっげぇえええええええええええええええ!!
聞く前に言われてけど、組長何者なのさ!いやまあ俺らと同じ生徒ってのは知ってるけども。
「燐華ちゃん、作ってくれるのはありがたいんだけどもどこで測るの?」
「ん?目測りでも構わないが間違ってしまっては大事だからな…メジャーはあるからそこの更衣室で測らせてもらう」
目測り………体………大きさ………うっ、デジャブを感じ………いやちょっと前に経験したばっかじゃねぇか!
「しっかし……まあ、187センチの大男が136センチとなろうとはな…」
いきなり目測りを使ってきやがった!しかも136センチって…妹の身長が164ぐらいだったからちょうど胸のあたり。
そして能力を使えば使う程縮む…と。
「そして結城君は身長が、春さんはバストサイズが能力で変動するんだったか、大変だな」
その言葉は自身に対してなのか、俺らに対してなのか…。
「さて測るぞ」
そういって俺らを試着室に連れていく。靴を脱ぎ、二人ずつ室内へ。流石に三人入ると狭いからね!
先に俺と組長、「まず上着を脱げ」と言われたので「まず」という言葉に疑問をもちつつ上着を脱ぐ。
俺がそれについて質問を投げかける暇もなく組長は肩幅、バスト、ウエスト…と様々必要な部分を測り、自身のメモ帳に書いていく。
いやぁ、速い。
「さて、次に下を………」
「ちょちょちょちょっと待て!!」
「ん?」
「ん?じゃなくて!真顔で返さないで!?」
「いや、私は未熟でな。布地の上からではなく、しかと肌に触れて測らねば正確に測れぬのだ」
と、どこか悲しげな口調で……そんな口調で言われても騙されないけどね!
「厚布じゃないし何枚も履いているわけじゃないんだから差は数ミリもないと思うよ」
「そういえばお主の体随分と華奢になったな。体育時ちらりと見えた肉体は程よい筋肉があったのに、今じゃ丸みを帯びた柔らかな肌。先の話を疑うわけじゃないが、ホントに男か?」
「男だって!」
「むー、言葉だけで真偽はわからんな。男と主張できるものを見てみらんことには…」
「わーった!そこまで疑うなら見し…………ちょっと待った。それでズボンを脱がせる魂胆か?」
「ち、バレたか。結城君は騙されやすいと聞いたんだがな、噂はずれか。それならば仕方ない、布の上から測ろう」
………誰からその噂聞いたのやら、騙されたとか身に覚えがない。
騙そうとしたのなら見るつもりはなかったのだろう。ズボンを脱いだ時点で制してから測る…とかかな。
と、一連の会話を周囲に響かない程度の声で交わしたのち、組長は下半身関連のサイズを事細かに測っていく。
ペンを走らせメモすると、「さて、次だ」と俺が上着を着るとすぐにそう言って俺と小鳥を入れ替えた。
中に入って暫くすると、「もー、燐華ちゃんくすぐったいよー!」「あははっ!やーめーてーよー!!」「そこは触らないでー!」などと、今まで見てきた小鳥の声を聞いているようで深く安心した。
組長には感謝だな。




