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そうして月曜日。また三人で集落へ行く。なんだか出勤しているみたいだ。定年退職して仕事ロスになるのかなと思ったけど、違う楽しみが出来て思わぬ幸せだ。

集落の人に会ったら、昨日達成率が50パーセントになったとメッセージがあったらしいことを教えてもらった。

王太子殿下が王都に戻られたタイミングだ。雪合戦したのかな。こたつの中で読書とかしたのかな。こたつも火鉢も湯たんぽもリバーシも持って帰ったものは好きに増産していいよと言ってある。隣の集落の人も寒さ対策に頑張って作るって帰っていったらしい。若干映画に未練は残されていたようだけど、自分たちの仕事を思い出したそうだ。隣の集落の人にも温かい暖房器具は必要だしね。


今日は、冬の楽しみ。お風呂を作りたい。集落の人はお風呂に入らないと聞いた。濡れた布で拭いたり、夏場は川で行水したりはしているみたいだけど、こう長く続く冬で体を芯から温められないのは辛い。幸い、この世界には魔法がある。水魔法の人も火魔法を使える人もいる。

前から職人さんとはこたつや火鉢の時に話をしている。その結果風呂を作れそうだというのはわかっている。やっぱり冬の寒い時にはお風呂だよ。


昨年リフォームした洋子と、築80年の古家に住むわたし、リフォーム関係の本なら結構持っている。ということで、お風呂場の載っている本を何冊も持ってきた。おすすめの温泉旅館が載っている本も持ってきた。去年三人で旅行する時買ったものだ。ここの職人さんに作りたいイメージを伝えるために全部見てもらった。


つるつるの表紙にカラーの写真の載っている本自体にまずは驚かれたが、本を見てもらったら、イメージはつかめたみたいだ。数日のうちに作ることができると言ってもらえた。もちろん、魔法を使うらしい。凄いね。日常的に魔法があるなんて。

お風呂場は、もう人が住んでいない民家をリフォームして共同浴場まではいかなくても、みんなが交代で入れるような少し大き目の家族風呂を男湯と女湯の二つ作ってもらうことにした。これでまた楽しみができた。


今日は畑で収穫も出来るということで、みんなで畑まで行った。ジャガイモとカボチャとトウモロコシ、ほうれん草にカブにヒエ、アワが既に実っている。凄い。

こっちにわたしたちが来て、まだ2週間も経っていないのに、植物魔法って凄いね。

今日はこの収穫物でこっちの料理をわたしたちにご馳走してくれると聞いて楽しみなのだ。

凛子がどんどんひよこを増やしているし、食料問題もある程度解決してきたんじゃないだろうか。みんなの顔も笑顔が多い。マルちゃんが丸々になるようにと協力してきたけど、後少しかもしれない。マルちゃんは少しほほがふっくらしてきたような気がする。朱色の半纏を気に入って毎日着てくれている姿が可愛い。


お風呂の件は後日になったので、お昼ご飯ということで、こちらの郷土料理をご馳走してもらった。鶏も潰してのご馳走で、ポトフに似ていたそれは、調味料は控えめだったけど美味しかった。凛子がひよこを増やすので、潰せる鶏も増えて助かっていると教えてもらった。凛子のひよこ好きも十分役に立っている。凛子は飼育小屋の近くに鶏の好きな葉物野菜も植えていた。鶏が葉物をつついて美味しそうに食べている。その隙間をひよこがてちてちと歩いている。幸せな光景だ。


昼食後は恒例となった映画鑑賞である。シリーズ物の第4話目だ。宣伝したわけでもないのに、集落の人は全員集まっている。夜、わたしたちが帰ってからもう一度見直していると聞くが、新作は必ずわたしたちと一緒にいる時にと決めているらしい。わくわく感が伝わってくる。

上演後毎度興奮に包まれる。娯楽というものが無かったところに、ハリウッドのエンターテイメントでガツンとくるとやられてしまったのだろう。インパクトはあると思う。


「俺、考古学者になる!」

「俺も遺跡を探す旅に出る!」

「そうか、男はでっかい夢を持てよ。」


いや、だから物語だからね。でも、この世界遺跡ってあるんだろうか。この集落しか知らないけど、どうなんだろう。異世界来ているのに、田舎の親戚のうちにお邪魔している気分でいたね。まぁこれぐらいの距離感がちょうどいいのかもしれないけど。


興奮のうちに今回の上映も終わり、バードと少し話をする。どうやら王宮の方がわたしたちを迎えに来るのは1週間後らしい。

陛下にご挨拶と、王宮で映画上映をするらしい。せっかく王宮に行くのであれば、冬の楽しみ方をいくつか紹介できるといいな。

クリスマスか、お正月か、バレンタインか、冬の行事を思い出すが、こっちの世界の神話や行事とかけ離れているのも受け入れられないだろう。

バードさんに、こっちの世界の伝説や神話、行事をいろいろ教えてもらう。作戦を練って王都に行きたいところ。


バードさんに話を聞いて今日は終わり、DVDプレーヤーはまた置いていく。ポータブル充電器は充電するために持って帰る。非常用の太陽光電池式の充電器を準備しようかと凛子が思案している。太陽光電池だといちいち家に充電しに帰らなくて済むもんね。今は、ノートパソコンでDVD観ることできるからプレーヤーは集落に置いていこうかなと思っているらしい。娯楽のない世界に楽しみが増えるといいね。凛子のソフトはイケオジ系らしいけど。最近は〇ーチューブでも動画たくさん見ることできるから、わざわざDVD買う人も減っているんだろうか。おばさんたちはなかなかついていけない。時代に取り残されるような気もするけど、困らない限りいいかと思う。そうやって頭固くなっていくのは嫌だけどね。


家に帰りしな、王都のイベント案を凛子と洋子に話してみる。2人からいいんじゃないのと合格点をもらう。そのために行くまでにいろいろ用意しようと思う。実は王太子殿下から今度の王都への映画上映の要請について、一人10枚金貨をいただいた。前払いだ。気前がいい。金貨1枚で多分今の金価格だと30万円ぐらいする。10枚だから300万円だ。それを三人分、太っ腹です。王太子殿下のお小遣いだと聞いた。金貨はいつか本当に生活が苦しくなった時に換金しよう。それまではタンス貯金である。でも、換金しなくても、300万円いただいただけのことはしようと思う。定年したから年末調整ないし、青色申告はした方がいいんだろうか。凛子に聞くと、黙っとけとアドバイスをいただいた。余計なことを話すと、異世界のことも全部公になる。わたしたちは出来るだけ平穏に暮らしていきたい。ここで目立ちたくはないのだ。お許し下さい。


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