第18話
「なんだよこれ…」
ここにたどり着くまでの道のりはとても大変だった。しかし、その苦労を忘れ、ただ茫然とするしかできない状況を目のあたりにしてしまう。
話が聞けるんじゃないかという期待で、城を飛び出してきたというのに、すぐにそれは反転した。
飛び出して向かった先は、北の山。北のドラゴンの住処であり、人魚の住む山。人魚であれば、魔物も知らないようなことを、少しでも知っているのではないかと思った。前にドラゴンに出会った麓まで向かったが、いきなりドラゴンに攻撃された。しかも、かなりボロボロな状態で。
一緒に来ていたリベリオが庇ってくれて、攻撃態勢に入ったが、すぐにそれを止めた。
こちらには攻撃するつもりはないことを、誠心誠意を込めて表した。もちろん攻撃は受けたものの、こちらからの攻撃は一切行わない。すると、向こうも分かってくれたのか、以前のように乗せて頂上まで送ってくれた。リベリオは、後ろから翼で飛んでくる。
どうしてボロボロだったのか。一度会ったというのに、どうして攻撃を仕掛けてきたのか。辿り着くまでは、何一つ教えてくれなかった。しかし、辿り着いてわかること。
「どうして…みんなは? どうしてこんなに焼け野原に…」
着いたそこは、確かに以前人魚と会った場所に間違えはなかった。しかし、綺麗にあった泉も、守るように生えていた木々も。すべて焼き削られたように、黒くなり、水の一滴も消えていて、木々も焼き崩れていた。
人魚の姿も見当たらない。一通り見まわってから、再度ドラゴンを見る。驚いた顔が戻ることはない。
「何が……。みんな…は?」
ドラゴンは、一瞬答えるのを渋ったが、迷いながらも今まであったことを話してくれた。
話し終わるまで、俺もリベリオも声を出すことはできなかった。