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のんべえ令嬢のニッポン飲み歩き!!ーオフの日は異世界から、愛するグルメ天国ニッポンへー  作者: ちくわ族の生き残り


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第1話 異世界からニッポンへ

公爵令嬢『ディアーヌ・ド・ルブラン』。

アキテーヌ王国の煌びやかな社交界の中でも、誰もがうらやむ傑物として知られていた。


「ディアーヌ様だわ、相変わらずお美しい。」


道行くディアーヌに羨望の眼差しを向ける若い娘たち。


「落としましたわよ。」


娘の1人が落としたハンカチをディアーヌが拾い、微笑みながら差し出す。


「あっ、やだ、ありがとうございます。」


顔を赤らめながら憧れのディアーヌからハンカチを受け取る娘。

それを見た家族連れが噂をする。


「あれだけの美貌で、多才で、性格まで良いのだから非の打ち所がないわね。」


「齢22歳にしてあらゆる歴史書を学び、古文書から大衆小説に至るまで一言たがわず暗記していると称されるほどの記憶力、鮮明な判断力は公爵を通して国政の最終意思決定をしているとまで言われるそうだ。」


「この子も、そんなふうに育ってくれたらねえ。」


「あれは特別さ。」


社交界においても彼女がパーティー会場に現れるだけで、周囲には一気に華が開く。


「ディアーヌ様だわ!この豪華なパーティーでも、群を抜いて華麗な佇まい。」


そんな豪華絢爛なパーティーで、なにやら険悪なムードの2人の伯爵。


「あんな雑な資料じゃこちらも仕事にならない!」


「足りないのは資料ではなく、君の知能では?」


「何をッッ」


そこにディアーヌが現れる。


「ストックトン伯爵、ウォリック伯爵、ご機嫌よう。」


「ご令嬢!」


「こちらの春らしいスパークリング、お飲みになりましたか?とっても美味しいのですよ。」


「では、いただこうか。」


近くのウェイターからスパークリングを受け取った2人はディアーヌに見惚れながら乾杯をして、それを飲む。


「確かに、美味いな。」


「なんだか、爽やかな気持ちになるな。」


先程までの刺々しさはどこへやら、和む伯爵たちと優しげに微笑むディアーヌ。


どれほど険悪な2名がはちあわせようと、彼女が登場すればすべて解決、宿敵は手を握り、恋人たちは復縁または円満に別れ、暴利を貪る悪党は断罪されるのだ。


だが、彼女には浮いた話の一つも存在しない。月に1~2日ほど休みをとることはあったが、それ以外は国や公約家、貴族、民衆のあらゆる悩みを解決することにその時間を使った。


『彼女は国と結婚した』と称されるほどである。それほど貴族・民衆双方から愛される存在であった。


「愛想ばかり振りまいて、実際、何考えてるかわかったものじゃないわ。」


「そうそう、なんだか、完璧すぎて不気味よね。」


「完璧な人間なんて、いるわけないわ。休みの日なんかは引きこもっているらしいわよ。」


「あんな顔して、根暗なのかしらね。」


そんな噂話をする夫人たち。


「ディアーヌ様、相変わらず華美なドレスをお召しで。」


「お褒めいただき、光栄ですわ。レディング夫人もご機嫌麗しゅう存じます。」


「唯一の癒しが引きこもりだなんて、ずいぶんおしとやかなのですねディアーヌ様は?いや、私なんて主人が休みのたび、クルージングだの南国だの連れ回されて参っちゃうもの。」


(引きこもり。そのような噂が流れているのね。)


「ええ、お察しの通り、内気なもので。」


嫉妬からくる敵も多かったがーー

それ以上に彼女には多くの味方がおり、当然求婚嘆願もあとを耐えることはなかった。


「やあ、聞いたよ、君は今日、休日だそうじゃないか。どうかね、私と……」


「ごめんなさい。野暮用があるもので。」


少し歩くと、また別の侯爵が。


「あんなおじさんに誘われて、君も大変だね。どうだい、気晴らしにドライブでも。」


「お誘いいただき光栄です。またいつか。」


途絶えることのない誘いを次々と一蹴するディアーヌ。


今日は一見隙のない彼女の、唯一の息抜きできる休日の日。


ボフッ!ベッドに倒れ込むディアーヌ。


『いや、実際しんどいわ・・・!』


ディアーヌはそんな人々からの羨望の視線とは別に、やってられねぇとだらしない格好でベッドの上で転がり続けた。


キャラクターづくりを失敗した。

新入生や転校生にありそうなことに、彼女は悩んでいたのであった。


半ば能力がありすぎるからこそ人々に頼られ、それをこなせてしまうが、実際のディアーヌはそこまで国に対して奉仕の心を持っていなければ、テーブルマナーを気にして料理を食べることにもうんざりしていた。


とはいえ下手に顔が売れた彼女のこと、お忍びで街をであるこうものならあっという間に群衆に囲まれてしまい、息抜きに適当に遊びたいと思っても、この国ではそれもかなわない。


そんなディアーヌは一体、休みの日をどう過ごしているのか?


ひと通りダラダラし終え、そそくさと地味なシャツに着替えるディアーヌ。


(さてと。)


徐にテーブルライトを持ち上げる。そこには、異世界への鍵が隠されていた。


誰もが羨む才色兼備のディアーヌには、誰も知らない休日の顔があったのだ!!


ディアーヌは闘志を称えた眼差しで、いざ、異世界である「ニッポン」への扉を開いたーーー


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