第104話 止まらない流れ
「排除する」
その言葉は、
今度は実行された。
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港。
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外洋の兵が動く。
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帳簿を奪う。
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契約を破棄する。
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「この取引は違反だ」
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力で止める。
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「やめろ!」
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叫び声。
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だが止まらない。
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一つ。
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また一つ。
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選択が、
消されていく。
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分散連合本部。
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ユーリが震える。
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「……始まりました」
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マルクが歯を食いしばる。
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「最悪だな」
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リゼットが静かに言う。
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「ここまでやるのね」
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アーネストは窓を見る。
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壊されている。
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選択が。
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だが。
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「……見ろ」
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小さく言う。
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ユーリが視線を向ける。
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港の奥。
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壊された取引。
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だが。
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別の場所で。
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同じ契約が、
再び現れる。
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「……え」
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ユーリが呟く。
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「また…?」
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一つ消える。
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だが。
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別で繋がる。
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また消える。
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また繋がる。
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止まらない。
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「なんでだ」
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マルクが言う。
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アーネストは答える。
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「人が選んでるからだ」
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沈黙。
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制度ではない。
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命令でもない。
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人の意思。
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それは。
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分散している。
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「全部は消せない」
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リゼットが呟く。
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アーネストは頷く。
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「消せば増える」
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港。
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兵が帳簿を破る。
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だが。
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別の場所で、
別の帳簿が開く。
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「……無限かよ」
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マルクが笑う。
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「いや」
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アーネストは言う。
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「分散だ」
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止めるほど、
広がる。
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それが構造。
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その時。
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外洋の兵が止まる。
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「……」
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命令通り動く。
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だが。
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目の前の商人を見る。
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「それでもやるのか」
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静かな問い。
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商人は答える。
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「選ぶ」
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沈黙。
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兵は動かない。
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一瞬。
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迷う。
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命令か。
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現実か。
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その揺らぎ。
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分散連合本部。
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ユーリが言う。
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「……外洋側に」
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「動きがあります」
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マルクが眉をひそめる。
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「内部か」
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リゼットが言う。
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「当然よ」
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「人がいるんだから」
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アーネストは窓を見る。
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戦艦。
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動かない。
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さっきまでの圧が、
少しだけ弱まる。
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「……止まってる」
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ユーリが呟く。
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「命令が遅れてる」
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マルクが笑う。
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「揺れてるな」
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アーネストは言う。
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「限界だ」
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沈黙。
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力は強い。
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だが。
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すべてを制御できない。
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選択を、
完全には消せない。
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港。
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流れが戻る。
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まだ小さい。
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だが確実に。
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選ばれている。
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そして。
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止まらない。
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その時。
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ユーリが息を呑む。
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「……外洋から通信」
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空気が凍る。
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「司令部より」
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沈黙。
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「最終判断を下す、と」
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完全な静寂。
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止めるか。
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認めるか。
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世界が決まる。
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今。
ついに「力」と「選択」の衝突が最高潮に達しました。
ここまで来ると、もう制度の話ではありません。
人がどうするか、それだけです。
そして外洋にも“揺らぎ”が生まれ始めました。
ここからは本当の決着です。
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次話、この章の結論が出ます。




