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「倒した」
ガースネークのドロップ品は、蛇皮とキバ、目であった。
124階で休息を取り、次の階層に進むことにした。
次の階層に行く前に、ガイランクさんはギルドから預かった、報告鳥をダンジョンの隙間から放っていた。
報告鳥とは鳥の形をした紙で、空に飛ばすと任意の場所に飛んでいくそうだ。
今回の報告鳥はダンジョンまで飛んでいき、124階層の突破を報告する。
この報告を受け、ギルドの職員が帰還石を持って追いかけてくるそうだ。
追いついたギルド職員から帰還石をもらい、帰還する階層で使用することができるのだ。
これは最高階層攻略者の特権で、実は123階にも以前の最高階層攻略者の帰還石が設置されていたのだ。
ギルド職員はその帰還石を頼りに123階まで飛んで来たので、意外とすぐに到着した。
帰還石の取引が終わるとギルド職員は早々に帰って行く。
私たちは休息もしっかり取れたので、次の階層の125階へと登る。
巨大な蛇の次は、巨大な鷲が相手らしい。
大きさは普通の鷲の3倍ほどで、フロアを縦横無尽に飛び回っている。
ガーイーグルという魔物で、火の玉を吐いてくるので接近戦が難しい。
私たちのパーティでは、遠距離担当がマフィンしかいないという相性最悪な相手である。
とりあえず、目には目を鷲には鷲をで、鳥図鑑から鷲を召喚したが、全然相手にはなっていない。
マフィンも攻撃魔法を放つが、逃げる速度が速くなかなか当たらないでいた。
私は動物図鑑や鳥図鑑、恐竜図鑑をめくり、相手になりそうな動物を探してみるが、火の玉が近くに飛んでくるので、避けるので手一杯である。
「しゃあねぇ」
同じように避けていたガイランクさんが、焦ったそうな声を出し、手から火の玉を出しガーイーグルにぶつけた。
「俺は精霊族だぜ?魔法ぐらい使えるさ」
驚きを隠せない私にガイランクさんはしたり顔でこちらを見る。
そういえば炎の精霊だったな。
ガーイーグルの火力よりガイランクさんの火力の方が強く、当たればかなりのダメージを与えることができている。
ガイランクさんの攻撃が当たり、動きが鈍ったタイミングでマフィンの攻撃を当てるダブルパンチにガーイーグルはなすすべもなく地面に落ちて来た。
落ちて来たガーイーグルにガイランクさんがナイフでとどめをさし、125階の攻略も終了したのである。
「魔法使えるならもっと早く使ってくださいよ」
私はガイランクさんをじとりとした目で見て訴える。
ガイランクさんはそんな私の言葉など気にせず、ドロップ品の回収をしていた。
「魔法は種族の力に頼ってるみたいで嫌いなんだよな。俺の力じゃないみたいな」
その言葉にガイランクさんにも葛藤があるのだと感じた。
ガイランクさんが魔法を使うようになり、6日目には130階層までたどり着いた。
「フェニックス……まじかよ」
なんと130階の魔物はフェニックスであった。
またもや空中戦な上、火力がガイランクさんよりも上のため、歯が立たなかった。
フェニックスによる広範囲攻撃で、私たちは為す術もなく129階まで戻ったのである。
そこで帰還石を使用し、1階へ戻ることとなった。
「くっそ」
とりあえず、ドロップ品をこの前と同じ店で精算してもらっている間、奥の休憩スペースで休ませてもらう。
ガイランクさんは悔しそうに拳を握っている。
「いやーそれにしても、数日で129階まで到達とは凄いですね。こんな強い魔物を軽々と討伐してくるなんて」
おじさんはまたもや興奮しながらガイランクさんにごますりしていた。
「にしても、130階がフェニックスとは。幻の魔物すぎて討伐記録などほぼない魔物ですからね。なにが弱点なのかも不明ですよ」
「フェニックスだけは討伐して帰りてぇからなぁ。……どうすっか」
「ところでお客さん、お連れの方はもしかしなくても召喚士の方ですか?」
おじさんは私の側にいるマフィンを見て、ガイランクさんに尋ねる。
また、召喚獣の首輪がついているので丸わかりなのだが……。
「そうだが?」
「でしたらよい方法がありますよ」
怪訝そうにするガイランクさんの態度を気にする事なく話すおじさんの話は、とても興味深かった。
魔物を召喚カードに落とし込むという方法である。
出会った魔物に白紙の召喚カードを投げつけ、ある程度の確率で召喚カードに落とし込むことができるそうだ。
相手より自分の方が強い場合や、相手を弱らせて行うと確率が8割まで上がるのだが、そうでない場合でも3割の確率で成功するらしい。
一か八かで召喚カードを投げつけるのもいいかもしれない。
私はおじさんを中継して、召喚カードを複数枚購入した。
「だが、ある程度弱らせないと、近づけやしないぞ」
ガイランクさんが士気が上がった私に水を差してくるが、まあその通りである。
火には水という考えを元に、水関係の召喚カードをまたもやおじさんを中継して見せてもらった。
セイレーンやクラーケンなど様々だが、水がない場所に召喚しても役立たないとのガイランクさんの一言で、別方面へシフト変更する。
土も火には強いとのことで、ゴーレムの召喚カードを購入した。
……痛い出費であった。
次の日である7日目、私たちは再度フェニックスの前に立っていた。
私はゴーレムを召喚し、パンチを繰り広げてもらった。
フェニックスの広範囲攻撃は申し訳ないが、盾替わりとして守ってもらう。
体力が高い個体のため、ゴーレムは攻撃を受けてもよたつきもせず、攻撃を続ける。
支援として、ガイランクさんとマフィンの攻撃もあり、フェニックス相手に攻めることができている。
ある程度攻撃を当てたところで、ゴーレムにフェニックスを抑えてもらい、私は召喚カードを投げつけた。
召喚カードがフェニックスに当たるが、カードが燃えて跡形もなく消えてしまった。
私は諦めることなくカードを投げ続け、5枚目のカードで見事フェニックスをゲットすることに成功したのである。
「アズサ!」
感極まったガイランクさんと私は熱い抱擁を交わす。
「やった! ガイランクさんやったよ」
「あぁ。よく出来たな」
ガイランクさんと離れ、周りを見渡すと次の階層への階段がなく、代わりに祭壇があった。
私とガイランクさんが祭壇に近づくと辺りが輝き、目の前に女神様が現れたのである。




