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いつかの五月に  作者: 小鳥遊 理
3/3

その3

昔の彼女たちとの再会から・・・

そうそう、晴美ちゃんの姪御さんも同じ学部の三回生やけどえろうきれいな娘さんやわ」

「うちは三つ違いやから、大変や、受験重なるよってな。」

「ほんま、みいんなちゃんと親やってはるわ・・・・子供が子供みなあかんってほんましんどいわ」「再婚は?」 「 会社経営面白いし、理恵や涼子ともプロジェクト組んでる

から、忙しいし・・・・・・・・・・・それに

あほな男は、昔のだんなさまでこりごり・・・・」

「・・・・・・・・しばらく・・・このまま、いさせて、あなた・・・・・」

あの頃、よくとった姿勢のまま、小一時間・・・・過ぎた・・・・・。

「お腹すいてる?・・お腹グウグウなってるわ、何かとりましょうか?」

「いや、いいや」   「そっか、お涼さんとこで済ましたか、食事?ねぇ・・・・・どっちが

あなたのお好み?」

「そんなもん、比較できないよ。どっちも素敵な女性です・・・(笑)

そりゃあ、若い頃の二人と、今の二人だったら間違いなく前者がいいけど・・・・・」

「やっぱり いじわるなおひと・・・・」

 さぁ、送って行きましょうか、晴美ちゃんブライトンホテルで、会議やっていうとったから・・・・・ホンキィトンクで、コーヒーだけ飲んで、マスターから、今度ゆっくりきてください、なんやっ

たら、うちへ泊まってっても、かまへんえ・・・・、の言葉をもらいながら北山通りを後にした。

由美子が、「昔からのプレゼント・・・・!どうぞ、あんじょう、まめにすごしなはれや・・・」

の言葉を背に、ブライトンホテルの瀟洒な階段を上がった。


フロントで、名を告げると「メッセージをお預かりしております 」と、慇懃な態度のまま

封筒を手渡された。

開いてみると・・・・(PM 10:00 までは、ここで待っていてください。晴美)・・・・・

伝言と、ルームキーが、入っていた。

時計に目をやると8時を少し過ぎたところだった。ベルボーイが、お持ちしますと言うのを

手荷物無いから、いいよと、断わってエレベーターに向かった。

なんという贅沢な造りのホテルだ、等と感心しながらドアを開けた。

ルームライトの薄明かりが、妙に心を和らげた。

アスコットシャツのボタンをゆるめ・・・・・洗面所で顔を洗ってると、背後に気配を感じた・・・・

タオルに手を伸ばしながら振返ると・・・・そこに、シルエットが浮かび上がった・・・・・

「ナツさん・・・・ですか・・・・」 覚えのない声に、

思わず「君は?」・・・・・??

「晴美おばさまの、姪のかおりです。ごめんなさい、一度お目にかかりたくて・・・・」

泣きそうな声を促して、明かりをつけた。顔を拭きながらソファーに腰掛けた。

目の前に上気した顔のまま・・・美少女・・・が、立っていた。

「びっくりしたよ。一体どうなってるの・・・・・・・?あぁ、ごめん座りなさい」

話を聞くと、晴美の兄の娘で、今、京大の工学部の三回生で21歳で、姉のように慕っている

晴美から、色々昔の話を聞かされてて、今日、ゼネコンの会議で、金沢から出張している

おばさま?から、僕と何年ぶりかに再会すると聞いて・・・・一計を案じて、先に会いたかった

・・・・・ということらしいのだが・・・・

「で、おばさんには?」

「ホテルへおばさま宛てのメッセージに、十時すぎになるから又、携帯に電話入れます。

って書いちゃいました。」

「知能犯だなぁ・・・・、わかったら怒られるぞー、晴美、怒るとコワイゾー・・・・・」

「いいんです。覚悟してますから・・・・・」

「・・で、一体僕に、何か相談でもあるのかな?それとも、おばさまの不倫の現場

を、見たかった?・・・・まぁ不倫なのかどーかは、別として・・・」「  いえ、おばさまから、ナツさんの事、聞いてから・・・・一度会いたかったのと、見ず知ら

ずの人が、心を占めてしまったので、許せなかったんです。会って、はっきりさせたかった

「で、どうだったかな、父親と変わらないだろ、只のおっさんで、がっかりしただろう(笑)

・・・・恋なんて、同世代の人と、しなさい。恋人は?」

「いえ、思ってた通りの人でした・・・・、彼はいます。恋人じゃあないかも知れないけれど

二人、いいかなって思う人と、お付き合いしてます。」

「じゃあ最高じゃないか、君みたいな可愛い娘が、惚れる相手だから」

「惚れては・・・・いません!」

強い語調に、内心弱ったまま、「帰りなさい!」  

つい強い口調で、言ってしまった。

「・・・・・・・・。」しばらくの静寂・・・・・・。

「だめかもしれないけど、私の中で、卒業したいんです、だから・・・」

「どうしろって言うの?・・・・人生相談なら、受けるけど・・」

「一度だけ・・・・・・私みたいな、小娘、嫌でしょうけど・・もう無理言いませんから・・・」

一体、どう対処すればいいのか、とまどいながら、ワインビューレに手を伸ばした・・・・・・

ラインワインの1978年物・・・・・・

「君が・・・・選んだの?・・・・これ、」

「どうかな?って思ったんだけど、晴美おばさまに・・・・・好み聞いてたから・・・・・」

「言い合っててもしょうがないし、説教たれる人格じゃあないから・・・・・

乾杯でもしょうか、せっかくのサタデーナイトだしネ。」

「わぁ、嬉しい・・・・作戦・・・セイコーかな?・・・・・

どうしても一度、おじさまに会って

見たかったんです。おばさまの友達のかたも、絶対おじさまの悪口言わないし・・・

何か、いつのまにかどっかを占めていて・・・・・ふんぎりっていうのかなぁ・・・・・」

「只のハゲで、並の顔だし、君の父親・・・・どんなかたかは写真でしかしらないけど

と、変わらないだろ? 二人の子持ちの父親だしネ、くたびれ中年のどこがええのか、さっ

ぱり・・・・わからん・・・・」

「私にも、注いで下さいな、ナツおじさま!!」

色んな話をしながら・・・・どっかで会ったような瞳に、一体誰に似てるのか・・・・・恵子の若

い頃・・・・・こんな感じだったかな・・・・オードブルをつまみながら、なんとか逃げ切れないも

のか・・・・そういえば昔、桂子に、こんなせまられかたされたような気がするな・・・・などと、

思いをはせていると・・・・。

「逃げよう・・・って思ってるんだ・・・・おじさま・・・、でも、私が、このままじゃあちゃんと

恋愛して、いい家庭が、築けない原因の遠因は、自分だってことになるほうが・・

きまずいんじゃあないですか?・・・・・・」

「はいはい、京大のおねぇちゃんには、さからいません、一体専攻・・・・なんだっけ?」

「遺伝子工学です。ちょっと専門からはずれたワークとってますけど・・・・」

「ようーし!!あほなおっさんに、けりつけて日本を背負って頑張ってもらおうか! 」

考えるのが、めんどうくさくなってきたのと、疲れてる上に、おいしいワインを飲んだものだ

から・・・・なんでもよくなってきていた。

・・・・気がつくとスリップ一枚で香織が・・・・そばに立っていた。

抱き寄せると、甘酸っぱい髪の香りが、鼻腔をくすぐった・・・・・。

ほんとにいいのかい・・・の

言葉も終わらぬうちに・・・ベットサイドまで引き寄せられていた。

「・・・・・経験あるから・・・心配しないで・・・・・」 と言う唇を唇でふさいで、立ったまま脱がせていった・・・・。思ったより弾力のある胸に手をやると、ピクッと震えるのがわかった・・・・。

唇から・・・・胸へ・・・・胸から・・・枯草のような匂いのする茂みへと・・・舌先を移していった。

・・・・いやいやをするように・・・首を振ると、全身の力が抜けたかのように、倒れこんだ・・・

背中に回した手で・・・爪をたてるようにして・・・・果てた・・・・・・

「 キスして・・・・・」  十分くらい余韻を楽しむようにしながら腕の中にいた香織は、目を僕

の瞳に向けると、じっと見つめた。

「どした?」  「ううん、もう二度と会えないから、憶えておきたいの全身で。」

「おいおい、自殺するってんじゃないだろうね、・・・・・」

「馬鹿ネェ・・・・・・私は私の人生だし、ナツおじさまとは、関係無い事・・・・ありがとう・・」

よくわからん娘だと思いながら、疲れが澱のように溜まっていった・・・・・・

どれくらいたったか・・・・携帯の呼び出し音に、目が醒めた!!

はっと気がついてみると、彼女の姿は無く、いつのまにか下着を身に着けていた・・・・。

携帯に手を伸ばすと・・・・「 ごめんなさい、会議遅くなって、今までかかっちゃつた・・・」

「どうしたの?寝てた?前にいるのよ、ドアあけて・・・・」

あわてて時計を見ると・・・・十一時を過ぎていた。

シャツを引っ掛けて・・・・ドアを開けた。「 お久しぶり!ナッチャン!!わぁ・・・うすくなったネェー頭!、お腹空いてるかもしれないから・・・・いただいてきちゃった・・・・中華・・・好きだったヨネ・・・・・・」

ブリーフケースに、ワイン、大きなトレーをぶらさげて晴美が、入ってきた・・・・

聞くと、二日前から、会議やら、駅ビルの打ち合わせやら暇なし状態だったので

、姪にブライトンホテルを取ってもらって自分は都ホテルで会議だったようだ。

ルームナンバーだけ聞いてたのと、僕が大阪から十時すぎてからしかホテルへ入れない

旨、メッセンジャーボーイから聞いてたので、先程タクシーで駆けつけた・・とのこと。

うーん、さっきのは、夢だったか・・・・等と思って、顔を洗うと、シャツのポケットにハンカチが

あるのに気付いた。 わずかにカルバンクラインの匂いが・・・・した。

「早く食べないと、冷めちゃうわよ、東紅楼の催さんに無理にお願いしてさっきここへ届け

て、もらったんだから・・・・・」

フカヒレスープをのんで、豚の皮包み炒飯と、シシカバブの変形のような料理を、堪能し

た。晴美も、ワインを飲みながら、キャビア入りロールキャベツ風を、食べていた。

「疲れた? お風呂入れようか?明日は、一日お休みだから・・ゆっくり寝られるから・・・・

ナッチャン、昔から一緒に寝ると寝られないほうだから・・・・ツインのダブルだからネ!」

「 風呂入れてくれ、ほんとに疲れた・・・・」

晴美が、バスへむかうあいだ、心の整理をしていた。


ようやく目が覚めてきた。

金沢には、サンダーバードで、帰ることと、そのチケットも、香織ちゃんに頼んである・・・

バスから、晴美の返事。一体こいつは、姪になにを話してたのか・・・・。さっきの余韻を反芻

しながら、たっぷりあった食事を平らげた。

ワインを見るとシャトーマルゴーの1972物・・・・・ロゼだとは、わかるが、一杯飲んでみた。

中華の後には、ちょうどいい軽さのものだった。

晴美が、こちらを見て「 あっ、よかったらシャンパンあるよ! 」

見ると、高いものだったので・・・「 こんな高いもの、買ってきたの? 」「 ううん会社の会長

宛てのもの・・・いただいてきちゃった。20万円くらいするって言ってたけど会長飲まないか

ら、気の合う部下に蒔いてるわ!!」

思わず、冷蔵庫に冷やした。

「 ねぇ、一緒に入ろうよ 」の声にこんなに嬉しく無かった経験は無いぞ・・・・と、思いつつ

バスタブにむかった。

ジャグジー付きの大きな風呂だった。「 ここ幾らくらいするんだ?」

 「心配しなくってもいいわよ、会社の経費で落とすから、一泊12万円くらいかなぁ?私が払うんじゃあなくて

コーポレィトカードで、支払いだから、いいんじゃない?」

「バブル崩壊したのに景気のいい話だなぁ、そんな経費出るの?晴美の会社?・・・」

「ゼネコンだから・・・・腐ってもね!!外人のバイヤー用に取ってあるのよ。丁度、オラン

ダから、風力発電の会社のオーナーが来ることになってたんだけど・・・ドタキャンって奴

キャンセルするのもなんだから誰か使えというわけで・・・・有難くお借りしたのよ。

私だって、子持ちの主婦よ、自前だったら、ワシントンホテルか、そんなとこよ。」

湯船に身を沈めて・・・顔を洗ってると、晴美が、膝の上へ、身を寄せてきた・・・・。

「おいおい、だんな様・・おこるぞー」 

 「野暮な人・・・家の場合、国家公務員と、ゼネコンのキャリアウーマンのすれ違い夫婦だから、お互い野暮な干渉はしないの。」

バスタブの中で抱かれたまま・・・色んな話をしていた。

お互い中学二年の男の子を持つ身の上なので、受験のことや夫婦の事、仕事のことや

学生時代の友人の事。僕が三回生のとき、一回生で、寮生だったとき下宿へ先輩と、遊び

にきて、そうこうしてるうちに、何度か僕の部屋に泊まってたけど、そのころ僕に彼女がいた

けど、大阪の友達と、一緒にスキーに連れていってもらったのが、すごく嬉しかったこと・・・

など・・・・・・

22歳の頃が、一番充実してたなぁ、女としては・・・・等と、話してた。

よく冷えた、シャンパンを開けて、話をしながら・・・皮のから揚げをつまみつつ夜は更けて

いった。

ベットにもぐり二人でじゃれあってたが、いかんせん疲れがでて・・・・いつのまにか

夢の中・・・・・。

気がつくと・・・朝が過ぎていた。「 もう十一時だぞー」と、言いながら、顔を僕の下半身に

埋めて遊び始める晴美に、とまどいながら。

二人で久しぶりに、京都の街を、散策した。

十得や、十二段屋、裏窓など・・・・・シアンクレールで、由美子、涼子と三人で、僕が初めて

だったと、告白しあったこと・・・・・僕の知らない女たちの昔ばなし・・・・・・・変な感慨のなか、京都駅へ向かった。五時に、姪と、待ち合わせという、晴美とともにカフェ中へ・・・・・・。そこにまぶしそうに見つめる、香織の姿。

ねぇさん、ここ!!初めまして!!姪の香織です。しばらくの歓談ののち、一緒に買い物を

するという二人に、別れを告げて・・・・近鉄のホームに向かった。

京都から特急に乗るのも久しぶりだった。


電車がくるまで、結構時間があったので、鳩を目で追いながら・・・・

変な二日間や昔のことを・・・・思い出していた。 疲れた心地よい疲れだったが・・・・・・。


あれからふた昔、みなそれぞれに、生きている。



        


様々な青春の跡がそれぞれの人生を彩っている(^_^)

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