閑話休題 一条雅
あっち方面に詳しい知り合いに聞いてくるって言ったけど、一番知ってそうな『しーさん』は都合よく見つかるわけないよね。
蓮美達の部屋を出た私は、理科実験室へと向っていた。部長の特権で実験室の合鍵を持っていて休日でも入ることが出来るのだ。
ちなみに、『しーさん』とは神出鬼没でこの理科実験室に現れるグラマラスなおねーさまのことである。生徒ではないんだけど、生徒の誰かを見るためにここにきている。
あ、スで始まるカタカナ5文字が浮かんじゃった?
大丈夫、私も同じこと『しーさん』に言ったよ。そしたら、シバかれましたけどね。
ちなみに、名前を知らないので、SHE(彼女)から『しーさん』。
『しーさん』は現実とはかけ離れたことに詳しいから、聞けば分かるかと思うんだけど、そう都合よくここに来るかどうかは…。
「『しーさん』いますか?」
理科実験室の扉を開けて、声をかける。
うん、返事がない。ただの空き家のようだ。
仕方がない。気がのらないがもう一人の心当たりに聞きにいこう。
次に向ったのは宿直室。全寮制の学校のため、教師の何人かはここに寝泊まりして緊急時に対応できるようにしているのだ。
誰が担当なのか宿直室の入口に名前が書かれている札がかけられている。
…残念。期待していた名前はそこにはなかった。
先生が来るのは週明け。学校が始まってからになる。おそらく、『しーさん』に会えるのは放課後のどこか。
その頃には、椎那君も帰れているといいわね。
肩をすくめて、私は自分の部屋に戻ることにした。




