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白い雨のあと、僕らは旅に出た ――終末世界のキャンピングカー――  作者: 孔雀丸


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10/10

第10章 灰色の海

いつも『白い雨のあと、僕らは旅に出た』を読んでくださり、ありがとうございます。


第10章「灰色の海」を投稿します。


ここまで読み進めてくださった方は、ミナが探している「青い海」が、旅の最初からずっと物語の真ん中にあったことをご存じだと思います。


廃遊園地の観覧車で、ミナは両親との約束を打ち明けました。

その夜を越えて、五人と一匹はいよいよ海へ向かいます。


今回は物語の大きな分かれ目です。

旅の目的地に着いたとき、彼らの目の前には何があるのか。

そこで、誰が何を思うのか。


白と灰色と、ほんの少しの青。

そんな色の移り変わりを、ゆっくり見届けていただけたら嬉しいです。


それでは、第10章「灰色の海」をお楽しみください。

 廃遊園地を出てから、空はずっと同じ色をしていた。

 薄い雲が低く垂れ込め、太陽の位置さえよく分からない。観覧車の上でミナが両親との約束を口にしたあの夜から、俺たちは黙って北東へ進路を取った。地図の上では、あと一日もかからずに海へ出る。

 《白鯨号》のエンジン音は、いつもと変わらなかった。変わったのは、車内の空気の方だった。

 朝食のとき、ミナはいつもよりよく喋った。豆の缶詰について、リクの寝癖について、ハチが誰よりも早く起きて助手席を陣取っていたことについて。喋りすぎている、と俺は思った。何も言わなかったけれど。

 昼を過ぎたころ、道の様子が変わり始めた。

 アスファルトの上に、白っぽい砂がうっすらと積もっている。風向きが変わったのだ、と分かった。乾いた潮の匂いが、車の隙間から入り込んでくる。錆びた道路標識に「海岸」の文字が半分だけ読めた。もう半分は塗装が剥げて消えている。「民宿街」という案内板は、支柱ごと傾いて、砂に半分埋もれていた。

「海、近いね」

 ミナが言った。声は明るかった。でも、少しだけ上ずっていた。俺はそれに気づいていたが、指摘はしなかった。

 助手席のハチが、急に鼻をひくつかせた。潮の匂いだけじゃない。金属と、古い消毒液を薄めたような匂いが、風の隙間に混じっている。あの匂いだ、と俺は思った。白い雨が降る前に嗅ぐ、あの匂い。

「――止まるか?」

「匂い、薄い」

 ミナがハンドルを握ったまま言った。速度を落とし、窓の外の空を確かめる。ハチは唸ってはいなかった。耳も伏せていない。ただ鼻先を上げて、風の中の何かを追っているだけだった。

「たぶん、古い痕跡だ。走って平気」

 俺はそう判断した。地図の端に、小さく印をつける。ここにも、いつか白い雨が降ったことがある。それだけの話だった。

 道の両側に、色褪せた土産物店が並び始めた。窓ガラスの向こうに、埃をかぶった浮き輪と貝殻細工が見える。誰かが並べたまま、十年間、誰にも買われなかった品物たち。信号機は当然のように動いていない。赤も青も、ただの錆びた鉄の塊として、交差点の上で朽ちていた。

 防潮堤らしきコンクリートの壁が見えてきた。表面には蔦が絡みつき、隙間から乾いた海藻が路面まではみ出している。タイヤがそれを踏むたび、乾いた音がした。

 電線に鳥はいなかった。

 俺はそのことに気づいて、ふと窓の外を見上げた。この十年で、廃墟に鳥がいない光景には慣れたつもりだった。それでも、海が近いのに海鳥の一羽もいないというのは、どこか座りが悪かった。

「ユウト、この先で合ってる?」

「合ってる。防潮堤沿いに進めば、坂に出るはずだ」

 地図を膝の上に広げたまま、俺は答えた。指先が、自然と紙の上をなぞっていた。等高線が海へ向かって下っている場所。そこがおそらく、俺たちの目的地だった。

 車内に、細かい砂が入り込んでくる。窓を少し開けているせいだった。閉めろと言おうとして、やめた。ミナが、外の匂いを感じていたいのだと分かったからだ。

 リクは後部座席で、工具箱の中身を無言で並べ替えていた。手を動かしていないと落ち着かないときの癖だ。アオイはミナの背中を、ちらちらと見ていた。呼吸の速さを数えているような目だった。

 波の音が、遠くから聞こえ始めた。

 最初はエンジン音に紛れて分からないくらいだった。それが少しずつ、大きくなっていく。防潮堤の切れ目が見えた。その先に、坂道が続いていた。

「着いたら、先に俺が見てくる」

 俺はそう言ったが、ミナはもう車を停めていた。

「ううん。みんなで見よう」

 シートベルトを外す音がした。カメラのストラップを、ミナは指できつく握っていた。

 ***

 坂を上りきったところで、視界が開けた。

 そこにあったのは、灰色だった。

 鉛の板を溶かして広げたような、鈍い色の水面が、水平線まで続いていた。光を弾く場所がどこにもない。波の先端でさえ、白く泡立つというより、灰色に濁った泡を吐き出しているだけだった。

 空との境目がはっきりしない。曇り空の灰色と、海の灰色が、水平線のあたりで溶け合っていた。目を凝らしても、どこまでが空でどこからが海なのか、輪郭を結ぶ場所が見つからなかった。

 波打ち際には、白っぽい粒子が帯になって積もっていた。近くの消波ブロックにも、同じ粉が乾いてこびりついている。打ち上げられたペットボトル、朽ちた漁具、割れた看板の破片。砂に半分埋もれた小舟が一艘、傾いたまま動かない錆びた風見鶏の下で、静かに朽ちていた。

 誰も、何も言わなかった。

 波の音だけが、繰り返し聞こえていた。寄せては返す。その単調な繰り返しが、逆に沈黙を際立たせた。

 ミナがカメラを構えた。ファインダーを覗き込む。俺はその横顔を見ていた。

 シャッター音は、鳴らなかった。

 彼女の指は、ボタンの上で止まったままだった。何秒か、そのままだった。

 リクが何か言いかけて、口を閉じた。アオイは目を細めて、波打ち際と沖を見比べていた。何かを探しているような目だった。

 ハチは、海に向かって駆け出さなかった。いつもなら真っ先に砂を蹴って走っていくはずのハチが、俺たちのすぐそばに留まっていた。尻尾は下がっていた。

 俺はミナを見なかった。海だけを見ていた。見なければならない気がした。

 目の前にあるのは、ただの灰色の海だった。それだけだった。それだけのはずなのに、旅の目的そのものが、この色の中に溶けて消えてしまったような気がした。

 ***

「……曇ってるから」

 やがて、ミナがぽつりと言った。

「曇ってるから、こう見えるだけかもしれない。晴れたら、違う色に見えるかも」

 誰も答えなかった。ミナはカメラを下ろさないまま、続けた。

「それか、別の海岸なら。もう少し先まで行けば」

「沖に出れば、色が違うかも」

 言葉は、途切れ途切れだった。自分でもその説明を信じていないのが、声の震え方で分かった。

 俺は何も言わなかった。否定もしなかった。肯定もできなかった。何を言っても、今のミナには届かない気がした。

 やがてミナは、カメラを下ろした。両手で持ったまま、しばらく画面を見つめていた。それから、電源を切った。液晶の光が消える音が、妙にはっきりと聞こえた。

「私が、勝手に信じてただけだったんだ」

 声に、いつもの明るさはなかった。

「噂だよ。誰かが言ってただけの、噂。それを、まるで本当みたいに、みんなに……」

「ミナ」

 リクが呼んだ。でも続く言葉が出てこないようだった。

「みんなを、こんなところまで連れてきて」

 ミナは、俺たちを順番に見た。リクを見て、アオイを見て、最後に俺を見た。

「リクだって、集落を出なくてよかったのに。アオイだって、旅になんて出なくてよかったのに。ユウトの……ユウトの人生まで、私が」

 言葉が、そこで止まった。

 両親との約束が、ただ幼い自分を慰めるための、優しい嘘だったのではないか。そう疑っている目だった。俺には、それが分かった。

 ミナは、砂の上にカメラを置いた。乱暴にではなかった。もう、それを持っている理由が分からなくなったというように、そっと。

 そのまま波を見たまま、動かなくなった。

 ハチが、ゆっくりとミナの隣へ歩いていった。鼻先で、彼女の膝のあたりに触れる。ミナはすぐには撫でなかった。少しして、指先だけがハチの毛の上に置かれた。

 リクは、口を開きかけて、何も言わずに閉じた。いつもならすぐに軽口を叩く男が、何も言えずにいた。アオイも「大丈夫」とは言わなかった。ただ、少し離れた場所に立って、ミナを見ていた。

 誰も、ミナの絶望を取り除こうとはしなかった。ただ、隣にいることを選んだ。

 ***

 俺は、海を見ながら考えていた。

 やっぱり、世界は終わっていたのかもしれない。

 旅に出る前、俺はそう思っていた。生きられる場所で、余計な希望など持たずに、静かに生き延びていればよかったのかもしれない。希望を持てば、その分だけ失うものが増える。分かっていたはずだった。

 俺は地図を開いた。帰り道を、意味もなく指でなぞった。

 燃料の残量を計算する。食料と水を確認する。キャンピングカーの状態を確かめる。この町のどこかに、補給できるものが残っていないか考える。

 そういう、現実的な作業に逃げていた。

 地図を閉じた。気づけば、左手首のミサンガに指が触れていた。妹がつけてくれた紐。――大丈夫だ、まだやれる。誰に言うでもなくそう自分に言い聞かせていたことに気づいて、指を離した。外せずにいる理由は、いまだに自分でも上手く言葉にできない。

 顔を上げると、座り込んだミナがいた。少し離れた場所で、工具箱を抱えたまま立ち尽くすリクがいた。波打ち際にしゃがみ込み、何かを見つめているアオイがいた。ミナのそばから離れないハチがいた。

 もし、ここで俺まで諦めたら。

 この旅だけじゃない。この小さな寄せ集めの家族が、ここで止まってしまう。

 そう気づいた。けれど、その考えを口にはしなかった。根拠のない「大丈夫」を、俺は誰よりも嫌っている。今、それを言えば、ただの空虚な言葉になる。

 だから、言葉を飲み込んだ。

 ***

「――ちょっと、待ってください」

 しゃがみ込んでいたアオイが、抑えた声で言った。

 透明な保存瓶を手にしていた。医療バッグから出したものらしい。中には、波打ち際で汲んだ海水が入っていた。

「見てください」

 アオイは、瓶を光にかざした。それから、少し離れた岩陰の潮だまりから、また別の瓶に水を汲んだ。二つを並べて、比べる。

「波打ち際の水は、白い粒子が多い。でも、こっちの潮だまりの水は、少し違います」

 俺は近づいて、瓶を覗き込んだ。確かに、透明度が違っていた。片方は白く濁っている。もう片方は、うっすらとした灰色の中に、わずかに透き通った部分があった。

 アオイは無言のまま、他の場所からも水を汲んでいった。防波堤の内側。少し高い位置に残った水たまり。小さな流れ込みの近く。それぞれをルーペで確認し、紙片に書き留めていく。

「岩の陰に、貝がついています」

 アオイが小声で言った。指さした先に、小さな貝殻がいくつか、岩肌に張りついていた。

「細い海藻も、揺れている。それに、ここ」

 潮だまりの水面に、彼女は紙片を近づけた。日の光が雲の切れ間から少しだけ差し込み、水の底にごくうっすらとした青緑色が見えた。

「白い粒子は、増えているんじゃなくて、沈殿して減っているように見えます」

 俺は何度も、アオイの持つ瓶と、目の前の灰色の海を見比べた。何かが劇的に変わったわけではない。それでも、確かに違いがあった。

「青くはない」

 アオイは、瓶を光に透かしながら言った。慎重に、言葉を選ぶように。

「でも、死んでもいない」

「それ、希望的観測じゃないだろうな」

 リクが、少し離れた場所から口を挟んだ。いつもの軽さを、無理に出そうとしているのが分かった。

「観測です。希望は、あなたの担当でしょう」

 アオイは振り返らずに言った。リクは何も言い返さなかった。ただ、少しだけ肩の力が抜けたのが見えた。

 ミナの視線が、ほんの少しだけ動いた。海から完全に背けていた目が、アオイの持つ透明な容器へ、わずかに向いた。

 ***

「――待て。これ」

 海辺の小さな監視所から、リクの声が聞こえたのは、それから間もなくのことだった。

 塩害で白く腐食した建物だった。窓ガラスは割れ、床には砂が吹き込んでいる。壁には色褪せた海域図と避難経路図が残っていた。「海洋観測」という文字が、辛うじて読み取れた。

 リクは、倒れた通信機器の前にしゃがみ込んでいた。父の工具箱を開ける、聞き慣れた音がした。

「完全に壊れてる。……けど」

 ドライバーで基板を確認しながら、リクはぶつぶつと呟いていた。細い配線をつなぎ直し、車載バッテリーからの電源を引き込む。俺はライトを持って、手元を照らした。アオイが入口で安全を確認している。ミナは、まだ中には入ってこなかった。ハチが、彼女と監視所の入口を、何度か行き来していた。

 無線機から、雑音が漏れ始めた。

 しばらくすると、その雑音の中に、一定の間隔で鳴る電子音が混じっていることに気づいた。ピ、ピ、ピ、と短く鳴り、続いて少し長い音が続く。

「これ、雑音じゃない」

 リクが顔を上げた。

「同じ間隔で繰り返してる。故障音でも、波の反射でもない」

 俺は音に耳を澄ませた。確かに、規則性があった。人間が――あるいは、機械が――意図して発している音だ。

「施設番号かもしれない。それか、水質の識別コードとか」

 リクは基板を見つめながら言った。座標のようなものを完全に読み取ることは、その場ではできなかった。数字の断片と、方角を示すらしい記号が、途切れ途切れに拾えるだけだった。

「発信元は、どこだ」

 俺が聞くと、リクはアンテナの向きを確かめた。

「沖だ。たぶん、あの影」

 窓の外を見ると、灰色の水平線の彼方に、かすかな黒い影があった。霧のような濁った空気の向こうで、輪郭がぼやけている。旧観測施設らしきその建造物から、一瞬だけ、弱い光が瞬いた。

 十年経った今も、あの場所は完全には止まっていない。

「……直しといて、良かった」

 リクが、誰に言うでもなく呟いた。工具箱の蓋を、静かに閉じる。その手つきに、いつもの生意気さはなかった。

 ***

 俺たちは、砂浜に戻った。アオイの調査結果と、リクが拾った信号を、ぽつぽつと突き合わせた。

「浄化装置が、一部だけ動いてる可能性がある」

「あるいは、海流のせいで白い粒子が薄まってる場所があるとか」

「自然に、少しずつ回復してるのかもしれません」

 すぐに結論は出なかった。誰も、断定はしなかった。ただ、灰色という色が、ひとつの意味だけではないかもしれない、ということだけは分かった。

 雲が薄く割れて、光がひとすじ差し込んだ。潮だまりの水面が、ほんの一瞬だけ青緑色を帯びた。灰色の波の表面にも、冷たい青が混じったように見えた。それが本当に青だったのか、光の悪戯だったのか、俺には分からなかった。誰にも分からなかった。

 ミナは、まだ完全には立ち直っていなかった。それでも、砂の上に置いたままだったカメラを、ゆっくりと拾い上げた。レンズについた砂を、袖でそっと拭った。電源はまだ入れなかった。

 その小さな動作だけで、俺には十分だった。

 ハチが、一度だけ尻尾を振った。

 海辺に、また静かな時間が戻った。沖合の信号灯らしき光が、もう一度だけ瞬いた。潮だまりに、わずかな青が映っていた。ハチが海の方へ耳を向けている。

 ミナは、拾い上げたカメラを、胸に抱えるようにして持っていた。

 俺は、止まったままの腕時計に指を触れた。それから、ミナのそばへ歩いていった。すぐには肩に触れなかった。少し離れた場所に立って、同じ海を見た。

 風が、二人の間を通り抜けていった。

「行こう」

 俺は言った。

「確かめるんだ」

 ミナは、海を見たまま答えた。

「青い海が、なかったとしても?」

 俺は少しの間、黙っていた。今見つけた事実と、自分の中にある何かを、確かめるように。

「まだ終わってない」

 言葉は、思っていたより自然に出てきた。

「そう言ったのは、お前だろ」

 ミナは、すぐには笑わなかった。泣きながら笑うような、そんな都合のいいことも起こらなかった。ただ、カメラを持つ指に、少しだけ力が戻ったのが分かった。

 灰色の水平線の向こうで、光がもう一度だけ瞬いた。

 それが、助けを求める信号なのか、まだ動いている何かの鼓動なのか、俺には判断がつかなかった。それでも、確かめに行く理由なら、今、ここにひとつ生まれていた。

 《白鯨号》は、まだ動き出さなかった。海を背にして、いつものように、そこに停まっていた。

 俺たちの家は、次の朝を待っていた。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。


第10章「灰色の海」、いかがでしたでしょうか。


この章は、物語の中でいちばん書くのに時間がかかった場面のひとつです。

旅の目的地にたどり着いたのに、そこにあるのは望んでいた景色ではなかった。

そのとき人は、どんな顔をして、どんな言葉を飲み込むのか。

そこを嘘なく書きたくて、何度も書き直しました。


あえて、今回は誰も派手に叫ばせていません。

ミナはカメラのシャッターを切れず、リクは軽口を叩けず、アオイは「大丈夫」と言いませんでした。

本当に言葉を失ったときの人間は、静かになるものだと思ったからです。

その静けさが、読んでくださった方にも伝わっていたら幸いです。


そしてハチです。

いつもなら真っ先に砂浜を駆け出すはずのハチが、今回はミナのそばから動きませんでした。

言葉は通じなくても、ちゃんと伝わっている。

そういう場面を、どうしてもこの章に入れたかったのです。


ユウトにとっても、この章は大きな節目になりました。

慎重で、現実的で、「根拠のない大丈夫」が大嫌いな彼が、ミナに向けて言った言葉。

あの一言を、ユウト自身がどんな気持ちで口にしたのか。

ぜひ、もう一度読み返して、想像していただけたら嬉しいです。


ミナがずっと口にしてきたあの言葉が、今度は別の誰かの口から、別の意味を持って返ってくる。

それが書きたくて、ここまで物語を積み上げてきたところがあります。


灰色は、終わりの色ではありません。

絶望と希望のあいだにある、途中の色です。

白い雨が世界を止めて、灰色の海が迷いを映して、その先に青がある。

そんな色の流れを、物語全体で描いていきたいと思っています。


アオイが見つけた小さな違いと、リクが拾った謎の信号。

あの灰色の水平線の向こうで瞬いた光が、いったい何なのか。

まだ、すべてをお見せすることはできません。

ただ、五人と一匹が「確かめに行く理由」を手に入れたことだけは、確かです。


次回は、第11章「青い海の座標」です。


旅はいよいよ、最後の道のりへ入ります。

彼らが向かう先で、何が待っているのか。

どうか、もう少しだけ、彼らの旅にお付き合いください。


物語も残すところあと二章となりました。

最後までしっかり書き切りますので、見守っていただけたら嬉しいです。


もし、この章を読んで心に残った場面や、好きになった台詞があれば、感想やレビューで教えてください。

ブックマークや評価も、書き続けるための大きな力になっています。


それでは、次回「青い海の座標」でお会いしましょう。


エンジンの音が、また聞こえてくるまで。

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