第30話 婚約者は誰だ!part1
「あ、そうだ。翠ちゃんってあのイソスタグラムのアカウント持ってたよね?」
「うん、持ってるわよ?」
お、やっぱり持ってた。いや現役のモデルさんだし当たり前か…
「じゃあさ、そこで宣伝しといてくんない?今SNSで起きてる事の説明のために生配信しますって」
「それはいいけれど…どのサイトで配信するの?」
ーー確かに。どこで配信しようか…俺も翠ちゃんも動画配信サイトのアカウントは持ってないからなぁ…よし、今から作るか。
pcを立ち上げて新規アカウントを日本で一番有名な動画配信サイトに登録して…チャンネル名は適当に『配信用』でいいか…ついでに他の設定もしておこう。昔なんとなく買った配信用機材はあるので収納ボックスから取り出して接続していく。
いやぁ本当になんでこんな機材買ったんだろうね…絶対こんな高価なカメラとかいらんだろ…音質の良いマイクはオンライン会議で使うからまぁまだ良いとしても…
それとOBSの設定もしておく。おそらく配信では俺の手元画面を映しながらコードを打ち込んでいる様子だとかを配信することになるので必要だろうしな
ほい、完了。そんで最後に俺のSNSアカウントにこのチャンネルのURLを貼っつけて。
「翠ちゃん今から送るURLを貼っておいて。ここで配信するから」
「わかったわ」
翠ちゃんはそう言って小声で『Chrona』と呟いてから空中に手を伸ばして何かを操作し始めた。
…使いこなしてるなぁ
さて、俺たちの準備は整った。あとは配信するだけだな…うっし、頑張ろう
・婚約者ってマジなん?
・マジだろ、複数人がおんなじ様な匂わせしてたし
・高校生で婚約者とかウケるなww
・役者辞めてモデルしてんのかと思ったら男作ってたのかよww
・速攻で暴露系のクソどもにまとめられてて笑った
・恋愛するために役者辞めたってマジ?
・相手誰だよ
・死ね死ね死ね死ね
……なんか配信の枠とった瞬間コメントが荒れ出したんだけど。え、強火のファン多ない??俺翠ちゃんの今やってる読者モデルっていう職業的に女性のファンが多いと思ってたんだけど…
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思考6「翠ちゃんは人気だからねぇ…」
思考3「……spでも雇った方がいいか?」
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「裕一、ちょっと洗面所借りるわね?」
「ん?別にいいけど……あぁ、そういうこと、大丈夫だよ好きに使って」
「ん、ありがと」
翠ちゃんはそう言って自身の化粧道具が入った可愛らしいコスメケースを持って洗面所に向かっていった。それを見届け俺は最終チェックを始める。
そうしてしばらくpcを弄り、映ってはダメなものを全て隠し終わったのでチラリと時計を見ると配信開始まで後2分になっていた。
おっと、もう直ぐか…翠ちゃんは…
「戻ったわ」
俺が扉を見たその時ガチャリと扉を開けて翠ちゃんが帰ってきた。
「わぁ…」
「なによ…」
「いや、ものすごく綺麗だったからびっくりしただけ」
ひっさびさにみたな翠ちゃんの本気メイク。前回見たのは確かしずこさんの前で翠ちゃんが舞踊を披露する時だったかな?あの時は凄かったなぁ2人の気迫…しずこさんも本気モードでガチだったから俺は冷や汗が止まらなかったんだよね
「そ、ありがと」
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思考3「今の主人格のセリフで翠ちゃんが照れない…だと…?」
思考2「ガチモードだね」
思考6「久々にみるね〜」
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君たち…翠ちゃんはちゃんとする時は凄いんだよ?
「んじゃ翠ちゃんはここ座ってね。」
「ん」
そう言って翠ちゃんは静かに椅子に座った。
「一応台本も用意したけどいる?」
「…それ本当に私が喋る部分あるのかしら?一応段取りの把握はしたいからもらうけれど」
「なぜバレた…」
「だと思ったわ」
俺は素人なので何を喋るのか書いておかないと忘れる気がするんだよね、翠ちゃんの喋る部分がないのは仕様です。だって翠ちゃんはそんなのなくても余裕でこなせるだろうし、むしろ素人が書いた台本なんて邪魔になるだろうに…
「じゃ、じゃあ始めるよ。最初は俺でないから説明よろしくね」
「ん」
俺は集中し始めた翠ちゃんの返事を聞き配信開始のボタンをおした。
「皆様こんばんは、今日は急なお知らせにも関わらずこんなにもお集まりいただきありがとうございます。」
・始まった
・説明しろ説明しろ説明しろ説明しろ
・うっわ顔面つっよ
・コメ欄やばくて草
・婚約者って本当なんですか!
・何があったの翠ちゃん!
わぁ…勢いがヤベェぜ…同接を見ると20万人を超えてもまだ増えているのが見える。すげぇな…
「まず初めにこの配信をさせて頂くことになった経緯についてお話しさせていただきます。」
・婚約者のことだろ
・高校生のくせに何考えてんだ
・相手誰なの
・そんなのいいから早く教えろ
・時間稼ぎか?おもんねぇ
「事の発端は本日あったテレビ番組での収録での事です。本日の予定では新進気鋭の読者モデルのトーク番組とお聞きしていたのですが、蓋を開けてみれば全く違う内容の収録でした。」
・え、何どゆこと?
・それ関係あんの?
・先延ばしすんな先延ばしすんな先延ばしすんな
・そんなのどうでも良いから早く言え
「その収録ではモデルの休日の私服を調べようというテーマで私、そして事務所に一切の連絡をせずに休日の私の事を盗撮していた様なのです。」
・ん?
・な、流れ変わったな…
・それはそれで気になるけど婚約者の件と何が関係あんだよ
・連絡なし?
・今時そんな気合いの入ったコンプラ違反する局あるのか?
・嘘じゃない?
「さらに、事前に渡された台本にもこの事は伏せてあり、本番が始まって漸く発覚し、私の所属している事務所のマネージャーさんが強制終了させてくれたので収録自体は中止になりました」
・ちょっと本当に待って??
・やwばwすwぎwるw
・そのテレビ局はバカなの?
・さっきまで早く言えって言ってた奴らが思ったよりヤバい事実が飛び出したせいで黙ったの笑えるw
・おもろw
「そして強制終了する前に公開された私の私服写真をめぐってこの様なことになっているという事になります。」
・?????
・キン○クリムゾン
・どゆこと?
・説明省きスギィ!
・ひょっとしなくても翠ちゃんテレビ局にキレてるな?
「そうですね、簡単に言うと…私が着けていた腕時計を見て一部の方があんな時計見た事ない。どこの時計?と物凄い勢いで私に尋ねてこられ、本来の収録内容と違う番組内容に混乱していた私が口を滑らした…と言う事です。」
・見た事ない腕時計くらいあるだろ
・読者モデルとかいうファッションに目を光らせてる人らが見た事ないならそりゃ気になるだろ
・って、口を滑らせた?
・おっと、流れ変わったな
・なーるほど…
「私が口を滑らせた言葉は…この腕時計は婚約者が自作してプレゼントしてくれたものです。という言葉です」
・はい、言ったああああああ!!!
・拡散しろ拡散しろ!!!
・うそだあああああああああ
・死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
・阿鼻叫喚で草
・一瞬でSNSのトレンド埋め尽くしてて草
・てか自作?
「では、ここからは質問に応じていきたいと思います。皆様がコメントしてくださった内容にできる限り答えていきます。」
・いつから知り合いなの?
・やったの?
・て、手とか繋いだんですか?
・すっげぇ下世話なやつとピュアなやつがいるな…
・どんな人?
「いつから知り合いなの?…そうですね。私が小学生の時からの知り合いになります。」
・小学生!?
・幼馴染って事!?
・って事はお相手も高校生か!?
・特定班仕事ができたぞ!!!
・おいバカやめろ高校生って事は未成年だぞ
「あぁ、いえ。高校生ではありません。彼はまだ中学生です」
・お、おねショタだああああああああ!!!
・おいガチで羨ましいが????
・別におねショタではないだろ
・というかモデレーターさん優秀だなヤベェコメントしたやつが速攻で弾かれまくってる
・自作の時計を作ってくれたって言ってましたが時計作りが趣味なんですか!?というか実物見せてください!
「あ、いえ時計作りは初めてしたって言ってましたね。実物…はこれですね。今ちょうど着けてます」
・かっわい!?
・待って!?めちゃくちゃいいじゃん!!
・ほしいい!!
・こんなの作って貰えるの!?羨ましい!!
・一気に女性コメっぽいのが増えたな…
・いやでもこれ本当に自作なのか…?
「はい、自作ですよ。彼こういうの作るのが得意なんで」
・なんかスッゲェ幸せそうな顔してんだけど
・コメ欄の治安がモデレーターさんのお陰で良いから勘違いしそうになるけどSNSの荒れ方やべえな
・殺害予告ですぎだろw
・翠ちゃんこんなガチ恋勢いたんだ
・すみません宝石商で働いてるんですが…その腕時計の宝石全部本物ですよね…?
・ん?
・今なんかヤバいコメントが通り過ぎた気が…
「凄い…よく映像越しで分かりますね…そうですよ。全て本物です」
・はあああああああ!?
・バカだろ
・相手金持ちのボンボンかよ
・くそが
・金持ち死ね
「一つ訂正しておきますが彼はボンボンではありませんよ。全て自分で稼いでいます。」
・中学生がこの額稼げるわけないじゃん
・もしかしてお相手さんも子役の人?
・いやでもこのレベルの腕時計作れるのなら幾らでも稼げる気が
・でもさっき翠ちゃんが趣味って言ってたから仕事にはしてないだろ
・何で稼いでるの?
「何で稼いでるの…そうですね。そろそろ良いですかね。」
翠ちゃんはそう言って必死になってモデレーターとしての仕事をこなしている俺に目線を飛ばしてきた。待って!?本当に待って!?今やばい!同接39万人のコメント欄の治安を俺1人で守ってるの!!かなりの重労働なの!!
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思考3「我々がやっておくから行ってこい…」
思考4「ばか」
思考2「やるならしっかりやって」
思考5「気張れ」」
思考6「翠ちゃんのためにもしっかりね」
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思考達にそう言われたのでキーボードとマウスから手を離し椅子から立ち上がって翠ちゃんの側に向かう。うっし、気合い入れろ!ここからだぞ勝負は。ここでかまして俺にとって最良の結果を絶対に手に入れる。
「どうも、翠ちゃんのファンの皆さん、『剣王』の作者兼『創世のレガリア』『恋色リフレイン!』『Fallen Remains』の制作者兼…翠ちゃんの婚約者をやらせてもらっていますyou_1と申します。どうぞお見知りおきを」
昔しずこさんから教えてもらった俺の顔が一番カッコよくて見える角度で、尚且つしずこさんに習ったかっこいい笑顔の作り方を意識しながら俺はカメラの前に顔を出した。




