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クラス転移に巻き込まれ用務員は魔力が0だった。  作者: ぐっちょん


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第3話

 俺が連れてこられた男娼館は指名された男性が女性の相手をして普通にお酒を飲んでもらう。

 その時に簡単な料理を振る舞ったり、酒のツマミを食べてもらったりしながら会話を楽しんでもらう。

 でも雰囲気は居酒屋っぽく賑やか。変に堅苦しくないからわりと気楽。


 そして、相手の気分が乗れば銀貨1枚の追加料金を払って貰い奥の部屋でえちえちタイムとなる。


 ちなみにこの世界の貨幣価値は、


 小銅貨1枚=10円

 半銅貨1枚=50円

 銅貨 1枚=100円

 半銀貨1枚=500円

 銀貨 1枚=1000円

 半金貨1枚=5000円

 金貨 1枚=10000円

 白金貨1枚=100000円


 こんな感じで単位が日本円に近いから理解しやすくて助かったけど、つまり男娼とのえちえちは一回1千円ってことだ。かなり安いよね。

 参考までに女性の娼婦はランクにもよるらしいけど、最低でも一回2万円以上必要だと聞いた。かなりの格差ですな。


 まあそれだけ安くしないと男娼は利用されないのだろう。


 でも指名してくれたお客様から注文をいただいた売り上げの半分が男娼の売り上げとしてカウントされるから、無理してえちえちを進めることはしないようだ。

 効率でいえば注文をとる方が儲かるし、儲かれば自分を買い戻すための資金にできる。


 ちなみに自分を買い戻すに場合は買われた価格の10倍払わないといけないようだ。


 買い戻してしまえばはれて自由の身となるけど、自分の意思でこの店に残ってもいいのだとか。


 あと男娼だと滅多にないらしいけど身請けされたりとかもあるらしい。ま、俺には縁がない話だろうけど。


 それでちょっと納得いかないのが、俺だけえちえち一回2万もするってことだ。


 お陰で男娼になって一回もえちえちな展開がない。というかエールやおつまみ作りばかりでカウンターから離れられないんだけど。


 離れられたとしても別の仕事が待っている。ほら、お客様がエールをこぼしたり、酔いすぎてゲロった時とかさ。まあクリーンをかけるだけだけど、かなり忙しい。


 俺の予想だと、俺がえちえちでこの場を離れると他の男娼(みんな稼ぎ頭)がアイス魔法を使わないといけない。アイス魔法も何気に魔力をかなり消費するみたいで疲労も大きい。


 それに男娼はえちえちの最後にクリーン魔法は必ずかけてあげないといけない。これもアイス魔法と同様、消費が激しく疲労も大きいので、魔力がなくなればその男娼の活動はそれまで、その日は仕事上がりとなるのだが、男娼もそれは望んでいないようで、自然の流れで俺がクリーン係っぽくなってしまった。


 オーナーがそんな能力があると俺を他のイケメン男娼たちに紹介したのが悪いんだけどさ、感謝されることはあっても嫌がらせや変に絡まれることがないからそれはそれで良かったと思う。


 職場って人間関係が一番ストレス溜まるしね。みんないい人たちでよかった。


 でもね毎日のように事後に部屋に入ってのクリーンは地味に辛いんだ。悶々する。悶々。欲求不満だよ。誰か俺を指名してくれ。


 でも、オーナーは俺が指名されると都合が悪いのだろうな、なんていったって俺だけ追加料金が金貨2枚(2万円)だもん。


 まあその分俺はクリーンやアイス、リペアなんかのスキル使用手当が貰えて月に金貨10枚の給金がもらえることになってるんだけどね。


 そんなオーナーだけど、たぶんいい人。来たばかりで入り用もあるだろうからと、今月分だけ先払いで給金を渡してくれたんだ。


 ちなみに俺の買い取り金って6000万。その10倍が買い戻し金額だから6億払わないと自由になれない。うーん、無理。


 まあ、でも、ここでの生活はかなり快適だから不満なんてないんだよね。

 綺麗な個室が与えられて昼は自由。外出したい時は管理人さんに伝えればいつでもオッケー。買い物もオッケーで締め付けも緩い、というかないに等しい。


 管理人さんは館の管理や食材にお酒の管理なんかをしているお爺さんで、腰と膝、それに消化器系がかなり悪かったからケアしてやったらかなり感謝された。


 長くお世話になるだろうしね。他のイケメン男娼たちにしろお爺さんにしろ、人間関係は良好な方がいいもんね。


 そして、働くのは夕方から夜中まで。まだここに来て一週間だけど、たまに自分が奴隷だってことを忘れそうになるよ。


 あのままマホマホ王国で誰かに買われていたらこんな生活は出来なかったんじゃないだろうか。あの奴隷商人には感謝だな。


「よしよし、いい感じに揚がったな」


 そんなことを考えながらも、空き時間を使っておつまみを作る。

 唐揚げを揚げたり、チーズちくわや、アスパラっぽい野菜にベーコンを巻いたり、不思議と食材は前の世界と同じものが多いからできるんだけどね。


 そんな時だった。


「君が……ゴローかい?」


 冒険者風の格好をしたお姉さんっぽい女性が俺をそう呼びながらカウンター席に座った。一瞬なぜ俺の名前を? と思ったがなんてことない、俺が胸に付けてる名札を見たのだろう。あ、ゴローってのがここ、男娼館での俺の名前。


 ちなみにここに来てまだ一週間だけど、ここを利用するお客様は女性冒険者が多い。


 それも男性に見向きもされないようなムキムキの女性だったり、外見が男っぽかったり、顔が男性受けしないような、ね。そんな女性たちをイケメン男娼がにこやかにお相手している。


 しかし、目の前のこの女性は冒険者にしては顔立ちがかなりいい。さぞモテモテだろう。

 だからこそ気になる、左目から左頬かけて大きくて深い傷痕があり左腕も肘から先がなく木製の義手を嵌めていたのだ。

 正直見ている俺まで痛々しく感じる。


 ——歳は俺と同じくらいかな?


「はい……そうです」


 自分で言うのもなんだが、俺の顔は他のイケメン男娼と違ってかっこよくもなく、地味で平凡な顔だ。

 現にこの一週間は酒場のマスターみたいな仕事をしていても、誰(女性客)からも話しかけられたことがない。


 だから話しかけられたことが信じられなくて戸惑いを隠せない。


「そうか」


 このカウンター席、1席だけは衝立があってテーブル席側から見えないようになっている。

 つまり俺と一対一で話せる席が設けられているのだが、その女性はそこに座った。


 カウンター席なら他にも5席ほど空いているのにね。

 これはいよいよ俺にもご指名が、と一瞬だけ思ったりもしたが、でもここで勘違いしてはいけないと気づく。


 ここは男娼館だ。彼女は人目を気にしているだけなのだ。


「誰か、ご指名の男娼待ちですか」


 たぶんお気に入りの男娼が接客中なのだろう。だから、とりあえずテーブル席から隠れているこの席に座ったのだ。

 そう思えば納得もするな。でもやはり傷痕は痛そう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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