【異世界編】うっかたはバケモノか?(4)
シミュレーター戦当日。
ここは市ヶ谷防衛省にある、J-NEXUS管制判定センター
「公式戦争ごっこ鯖」の運営である。
武器管制の担当は鹿屋と横須賀から申告の電子メールを見ながら、
申告の通りにミサイルと弾薬をそれぞれの機体、船体へセットしていく、
「『つるぎ』は通常通りのミサイル配置だな、いじる必要はないですね。」
「ほう、なるほどね、一方吉野三佐の方のペイロード配置は…
対艦ミサイルラック…!?
Mk46?もう退役した魚雷だぞ?しかもなぜ?イナート?
退役した魚雷って、なぜ?、イナート弾…コンクリートの訓練弾じゃないか
設定候補には… ある…
胴体のガトリングには曳光榴弾、ポッドには半徹甲榴弾
交差は3000m
全部設定入るのか?
…
…
ほう、設定入った
燃料は全搭載量の50%…」
「退役した魚雷が、あるのかね」
質問してくるのは防衛大臣、普段は中立性を保つために部外者は立ち入り禁止だが、
防衛大臣を追い出すわけにはいかない。
「武器は各国共通です、日本で引退していても、登録国が抹消していないならば、リストには残ります、P-1に装着は可能ですし、今回のルールの範囲内です。」
「あの音速の魔女、吉野三佐だろう、何か面白いこと企んでいるようだね、特等席で観戦していくよ。」
大きなモニターがたくさん並ぶJ-NEXUS管制判定センター
の運営センター長から奪った椅子にすわり、足を組み出した、
その横では運営センター長が管制判定センターの設備について説明している。
*
「大臣、横須賀、鹿屋、映像つなぎます。」
「やあ、みんな、敬礼はいらない、楽にして、トイレには行ったかな、昨夜は良く寝れたかな?」
「今日は面白い試合が見れると聞きつけて、国外からも観戦者がきてるね、国内からも
いま何か所から来てるかな?」
「中継28か所あります。J-NEXUSの設置基地の全てからです。」
「てことで、試合が始まるまであと40分、これから運営センター長からの説明がある、
では運営センター長よろしく!」
そう告げると画面は運営センター長に切り替わる
「まず、HADSの通信テストから行います、全員装着済みだね?
姿勢のテストを行います、訓練対象者、全員両手を上げて万歳!」
鹿屋と横須賀のシミュレーターで一斉に両手を上げる一同
「次椅子から立ち上がって、屈伸、はい、イチニイ、イチニイ」
シミュレーター内で、一斉に体操がはじまった。
「次死亡判定通知の一斉送信テストを行います、お互いにランプのステータス確認してね」
一斉に、ヘッドセットや、ヘルメットに装着した端末が赤く光りながら携帯のマナーモードのような
バイブレーション音が聞こえる
「各地、動作確認したら、報告を上げてください」
「『つるぎ』艦橋、ウイング、全員問題ありません」
「鹿屋P-1全員問題ありません」
千尋が代表として報告を入れる
「『つるぎ』機関室、全員問題死亡判定通知鳴動しました」
「『つるぎ』CIC、全員死亡判定鳴動、クリア」
HADSシミュレーター訓練参加者の ヘルメット、ヘッドセット、両手足首、
腰のベルトに装着して、位置と姿勢を取得しダメージ判定や、死亡判定通知を行うための
特殊デバイスだ、ちなみに、バイタルサインも取得しているので、
心不全の兆候を拾い九死に一生を得た、訓練生がいたらしい、噂ではあるが。
現場では、「棺桶センサー」「デスゲームの爆弾」などいろいろな呼称がある
重量も軽く、装着しても活動に支障はない。
*
「今日の訓練シナリオはシナリオマップ14番トカラ列島突破、
訓練海域200キロ四方。」
「勝敗はこうだ。『つるぎ』はトカラ列島を西から東へ抜け、19時までに指定海域へ到着すれば勝ち。P-1を撃破しても勝ち。20時までに到着できなければ、あるいは戦闘不能になればP-1の勝ち。民間船舶・航空機・民間人に被害を出せば、その時点で即負けだ」
「採点は、勝敗とは別枠で付ける。ミサイル・弾薬・燃料は調達単価に応じて減点。
人員の死亡・戦闘不能は、もっと重く減点する。
得点より失点が重い——
相手を落とすより、自分が落ちない・失わない・使わないことを評価する。
任務に勝っても、高くつく勝ち方は評価しない。
いつも通りの、うちの採点だ」
「今回の参加者は横須賀 CIC 艦橋 機関室シミュレーターから65名
鹿屋 P-1シミュレーターから15名
自分に死亡、戦闘不能判定がでたら、速やかに操作をやめシミュレーターから退去すること
弾薬、ミサイル、燃料は申告通りに積載済みだ」
運営センター長が説明を終える。
「ではシミュレーター戦20分前です、訓練海域の天候は当日の時刻と実際の気象を再現しています、
お互いに150キロ以上離れている位置からスタート、
衛星などの、オンラインリソースの利用は禁止。使えるのは、自分の機体と艦のセンサーだけです
ほか質問がありますか?」
システム員が、説明を終えて、参加者に質問を募る。
「はい」
手を上げる防衛大臣
「鹿屋も横須賀も、この条件でいいの?私がセッティングしておいてなんだけどね
中名君と吉野君」
「はい、問題ありません、面白い試合をセッティングしていただきクルー一同感謝しております」
防衛大臣へ機長として返事をする千尋。
「瀬々串君と、小田代艦長」
「同じく問題ありません、こちらこそクルーの余興として楽しませてもらいます」
防衛大臣へ返す小田代艦長
「わかった、では始まるまで、15分ゆっくりすごして、双方とも武運を祈る」




