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白の少女はこの世界に愛される  作者: 有氏ゆず
第三話 少女は狙われる
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3-3




「で、でもうちは攻撃は出来ひんくて……」


思わず口から飛び出したのは、か細く、自信なさげな声だった。


周りの生徒たちが、それぞれのペアと向き合っていく中で、まふゆだけがその場に立ち尽くしてしまう。


目の前には、すでにやる気満々の表情で木剣を構えるレオンハルトがいる。その堂々とした姿が、余計に自分をちっぽけに感じさせた。


(どうしよう……うち、レオンハルトさんの相手なんて、務まらへん……)


白魔術は、誰かを守ったり、癒したりするための力。人を傷つけるためのものじゃない。

模擬戦闘だとしても、どうやって攻撃の「型」を見せればいいのか、全く見当もつかなかった。




そんなまふゆの不安を察したのか、レオンハルトが屈託のない笑みを浮かべた。


「心配すんな、まふゆ。これは訓練だ。俺がお前の動きに合わせてやる」

「でも……」

「お前は白魔法使いなんだろ?だったら、防御や回避に専念してみろ。俺の攻撃をどれだけ避けられるか、どれだけ防げるか。それだって立派な戦闘訓練だ」


レオンハルトの言葉は、まるで暗闇に差し込む一筋の光のようだった。

そうだ、攻撃ができないなら、守ることに集中すればいい。彼の攻撃から、自分自身を守る。それなら、自分にもできるかもしれない。


「……わかり、ました。やってみます……!」


まふゆはきゅっと唇を結び、覚悟を決めて頷いた。


「よし、それでこそだ!」


レオンハルトが満足そうに笑う。


二人は少し距離を取り、向かい合う。

まふゆはドレスのような装束の裾を軽く持ち上げ、いつでも動けるように身構えた。心臓が早鐘のように鳴っている。




「いくぞ、まふゆ!手加減は無しだ!」


レオンハルトが叫ぶと同時に、地面を強く蹴った。

筋骨隆々とした体が、信じられないほどの速さで迫ってくる。振り上げられた木剣が、太陽の光を反射して鋭くきらめいた。


「……ッ!」


速い。目で追うのがやっとだ。

まふゆは咄嗟に、体を右にひねる。

ヒュン、と風を切る音が耳元を通り過ぎ、木剣が空を切った。


「ほう、今のを避けるか!いいぞ!」


レオンハルトが楽しそうに声を上げる。休む間もなく、今度は横薙ぎの一閃が襲いかかってきた。


(間に合わへん……!)


避けるのは無理だと判断したまふゆは、両手を胸の前で交差させ、とっさに叫んだ。


「聖なる光よ、我が盾となれ──『ライト・ウォール』!」


まふゆの前に、淡い光の障壁が瞬時に展開される。

ガキンッ!と硬い音が響き、木剣の猛攻を光の壁が受け止めた。衝撃で壁に細かなヒビが入るが、なんとか持ちこたえている。


「なるほど、これが白魔術の防御魔法か!大したものだ!」


目を輝かせるレオンハルトを見て、まふゆは少しだけ自信を取り戻す。


(大丈夫……やれる……!)


攻撃はできなくても、自分には自分の戦い方がある。

仲間を守るために磨いてきたこの力は、自分自身を守るためにも使えるんだ。


まふゆは光の壁を維持しながら、次の攻撃に備えて意識を集中させた。グラウンドの喧騒が遠のき、目の前のレオンハルトの動きだけが、鮮明に映る。




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