3-2
広大なグラウンドに出ると、強い日差しがじりじりと肌を焼いた。
様々な種族の新入生たちが、期待と不安の入り混じった表情で整列している。
まふゆはレオンハルトたちの後ろに並びながら、そわそわと落ち着かない気持ちで呟いた。
「今日はどんな戦闘訓練なんやろ……」
昨日のゴーレム戦は、みんながいたから乗り越えられたけれど、自分の力だけでは何もできなかった。
支援や治癒に特化した自分に、戦闘訓練で何ができるのだろうか。
そんな不安が、胸の中に小さな影を落とす。
「ふっ、どんな訓練だろうと、俺の剣の錆にはならねえさ」
前のレオンハルトが、自信満々に振り返る。その太陽のような笑顔は、まふゆの不安を少しだけ吹き飛ばしてくれた。
「戦闘訓練と言っても、いきなり実戦形式ではないと思うよ。まずは基礎的な動きの確認とか、種族ごとの特性を活かした戦い方の講義とかじゃないかな」
隣のセリウスが冷静に分析する。彼の言う通りなら、少し安心できるかもしれない。
「はっ、座学なんて退屈なだけよ。早く暴れさせなさいっての」
シャノンが腕を組んで、ふんと鼻を鳴らした。彼女にとっては、体を動かしたくてうずうずしているのだろう。
そんな会話をしていると、前方でガレオスが腕を組み、仁王立ちになっていた。その鋭い眼光が、グラウンドにいる全ての新入生を射抜く。
「よし、全員揃ったな!今から行うのは……ペアでの模擬戦闘だ!」
教官の言葉に、グラウンドがざわめく。
ペア?誰と?まふゆが戸惑っていると、教官はニヤリと口角を上げた。
「ルールは簡単だ!攻撃は相手の体に当てないこと!魔法も同じく、直撃はさせるな! あくまで『型』の確認と、互いの力量を測るための訓練だ! だが、本気でやらねえ奴はグラウンド100周だからな!」
ひええ、と誰かが小さな悲鳴を上げた。
「ペアは……そうだな、今から俺が指名する!まずは……そこのお前!赤髪の王子様と、その後ろにいるアルビノのエルフ!」
「え……?」
「俺と……まふゆか?」
ガレオス教官の太い指は、間違いなくレオンハルトとまふゆを指していた。
いきなりの指名に、まふゆの心臓がどきりと大きく跳ねる。
「レオンハルトさんと、うちが……?」
まさか、初めての戦闘訓練で、あのレオンハルトとペアを組むことになるなんて。
まふゆは信じられない気持ちで、力強く頷くレオンハルトと、心配そうにこちらを見るセリウス、そして何も言わずにじっとこちらを見つめるミカゲの視線を感じながら、ゴクリと息を飲んだ。




